1章 3 突然の申し出
--中隊長?俺が?ふざけるな。ただでさえ学校など面倒なのに……。
そんなことを考えるサルビアの元に
「ハッ こいつが中隊長か。不登校生を中隊長とは。このマヘス様がいるといのに。全くふざけた教師だっ。」
威圧的に話しかけてきたのは随分と図体のいい男。
「俺様が中隊長の方が何倍もいいってのになぁ!!
おい、精々俺様の邪魔をしないでくれよ。中 隊 長。」
威圧的なマヘスにサルビアは笑みを浮かべる。
「随分と好戦的だね。」
「てめぇなんかよりこのマヘス様の方が優秀だからな。てめぇごときが中隊長になるとは理解できん。」
またしても上からな物言いのマヘスにサルビアは笑みを強め
「じゃぁ、試してみるかい?」
「はぁ?試すってなんだ。」
「勝負だよ、1対1の。中隊長をかけて。」
『はぁっ!?』
唐突な申し出。クラスはマヘスを含め皆驚愕している。対してサルビアはマヘスは確実に乗ってくるという自信のもと笑みを浮かべ続けている。サルビアにとってマヘスのようなタイプは扱いやすいただの人形に等しい。
「ジギリタスさん。そんな勝手にっ!。」
「ダ~イジョウブ、大丈夫。君が勝ったら僕からも先生に頭を下げることを約束しよう。ね?」
止めに入るアイリスを横目にサルビアは話を進める。
「てめぇ この俺様をなめてんのか?
ふっ面白い。いいぜっ 乗った。
明日の放課後にグラウンドでどうだ?
詳しくはその時に伝える。」
「(かかった。血の気が多いのは転がしやすくて助かる。)
オーケー。じゃぁ決まりだ。」
帰路につくサルビアにアイリスがついてくる。
「勝手にあんなのダメですよ、ジギリタスさんっ。しかもアンスリウムさん相手に。」
「あいつそんなに強いのか?」
何の危機感もなく問いかけるサルビアにアイリスは呆れながら返答する。
「ジギリタスさん本気で言ってます?彼は十傑第5位アンスリウム家の嫡男ですよ。」
「まぁ、アンスリウムって言ったらあそこの家しかないだろうな~。」
十傑第5位「アンスリウム家」
彼らは魔法の中でも自己強化魔法に優れ、「刀知らずのアンスリウム」と言われるほど接近戦に強かった。
勝負の会場はグラウンド、一見広いグラウンドではフェアのように見えるが障害物がない分マヘスは移動しやすい。
しかも強化魔法を使えばサルビアの放つ魔法の影響を減らすことも難しくはない。
加えて勝負の詳細も不明。
圧倒的にサルビアは劣勢であった。
「どうしてそんなに余裕そうなんですか。自分の置かれている状況を理解してるんですか?ちょっと、 ジギリタスさ~ん。もぉ~っ!」
困り果てるアイリスを横目にスキップしていくサルビアが「学生なんかに負けるかよ。」と呟いたのはアイリスの耳には届かなかった。