第零尾 後半 消失存在
……体が暑い? 寒い? 暖かい? 涼しい? その全てを内包したようなこの感覚は何だ?
何かがおかしい。いつの間にか闇色の泥も周りになくなっているんだが。
ただ周りには優しいと印象付けるような闇があるだけだ。
一体どうなってるんだ? 俺は俺を失いつつあってそれを受け入れたような記憶もあるんだが…。
今、こうして俺が俺として物事を考えられてるのは何故だろうな? ……うーん、分からん! 分かることと言えば今は俺の事を自覚できることと、もうすぐ目を覚ますであろうということと、目を覚ましたらここの事をほぼ覚えちゃいないだろうってことくらいか? ちなみになんでそんな事が分かるのか聞くなよ? 俺だって分からん。
あえて投げやりに言うならご都合主義ってやつじゃないか? まあ、ここが俗に云うあの世とかそれに近いなにかなら不思議な事の一つや二つや三つや四つあっても可笑しくないだろ。
ああ、それにしても暇だ。こうしてここにいると寂しくて泣きそうになるな。さっきまではそんな感情も無かったんだがな。
ワタクシハ、イツデモ、キミトトモニイルヨ
おや? なんだか寂しく無くなったぞ? それに何だかとても親しい誰かと一緒にいるような気分だ。
まあ、いいか。寂しくないならそれに越したことはないだろ。
…………ん、体の違和感も消えつつあるし、もうすぐで目を覚ますのか。
ああ、何だか眠くなってきたな。ここで寝たら現世で目を覚ますって仕組みてか。それじゃあ、おやすみなさい…………
そしてかつて“彼”だったものはこの空間から消え失せた。自分自身の変化に全く気が付かず…。
こうして“彼”の喜劇的(一方では悲劇的であるかもしれない)な人生が再び始まった。
短くてすいませんでした。しかもTSどころか彼の名前も出ていません(彼の名前がまだ決まってないのは秘密)。
まあ、次からはもっと長くなる(かもしれない)のでご期待してくれる人が僅かにでもいることを祈って書いて行こうと思います。
それではまた。