1日目・昼ご飯も相変わらずだぞ、俺
食事の話は長くなる。
美味しい物は好きですか?
コンコンというノックがあり、ばぁやの声が聞こえる。
「ウィリアム様、昼食の準備が整いました。」
「あぁ、分かった。」
そう返事を返し、執事とともに食堂にむかう。
(昼は何が出るのか・・・。)
記憶では1日の食事は朝食が最も豪華であり、昼食は朝食に及ばず、夕食は質素だった。
何か特別な事があれば晩餐があり、夜でも豪勢な食事が出される。
確かに朝食はあまり美味しいとは言えなかったが、品数が多く腹を満たすには十分だった。
(確かドイツも朝食が豪華で夕食が質素なんじゃなかったか?)
朝は1日働く為に豪勢に、夜は寝るだけだから質素に。
そんな事を聞いた気がする。と思いながら廊下を歩く。
二階の執務室から食堂はわりと近い。
自室は三階のため、朝は少し面倒かもしれない。
「どうぞ、お入り下さい。」
「あぁ。」
階段をおりて、大きな扉を執事が開く。
朝は使用人が開けていた。
考え事をしていたせいで立ち止まってしまっていたらしく、執事に声をかけられる。
(やっぱり朝より品数は減ってるけど、結構多いな・・・。)
ハムやオムレツなどが並ぶ。
パンは相変わらず黒パンだ。
ふわふわでなくとも白パンは特別な時にしかだされなかった。
もっと爵位があがれば変わるのかもしれないが・・・。
そう言えばパンの材料である小麦には等級がある。
有名な所で言うと、マリーアントワネットの”パンがなければお菓子を食べればいいじゃない”だ。
実際に言ったかどうかは知らないが、当時パンは一等麦でお菓子のブリオッシュは二等麦で作られていた。
故に高い一等麦が食べれないなら、安い二等麦を食べればいいという意味が、どこからか違う意味を持って広がったのがこの台詞らしい。
俺の感覚からすると、パンよりブリオッシュの方が高いイメージがあるせいかあまりピンとこないが。
(つうか黒パンって小麦じゃなくてライ麦じゃなかったっけ・・・?あんまり良い土地じゃないから、ここらじゃライ麦が主流なのか・・・?)
などと取り留めないことを考えながら席に付き、食事を始める。
相変わらずの薄味&臭み渋み。
(うん、あんまり美味しくない。)
日本での食事を知っている分、多少辛い物があるが、この体はこの味になれているので食べ進める。
もしゃもしゃと取り分けられたサラダを食べながらドレッシングの有りがみを身を以て思い知る。
しんそこマヨネーズが欲しいなどと思うが、作り方を知らない。
卵と油と酢だった気がするが自信がない。
あれは作る物じゃなく、買うか弁当についてくる物だったからだ。
調味料がどれくらいあるのか分からないが、この世界では味が濃い程豪勢な扱いになる。
塩や胡椒はテンプレな感じで高価らしい。
貴族であれば帰るが一般人にしてみれば十分高価で、准男爵でしかない俺から見ても高いと思わざるおえない。
だがなかったら正直食事がきつい。これ以上の薄味は無理だ。
だってそれはもう素材の味そのものだ。
(やっぱり早急に食事を改善しよう。このままだとテンションが上がらない・・・。)
朝も思ったが昼もやはり食事を改善しようと強く思う。出来るかどうかは別として。
そして昼食も食べ終わり、朝にも飲んだルヒルベリー水を飲む。
(これやっぱうまいな・・・。)
常備できないかな・・・。などと考えつつ口内を潤す。
昼食も終わり、食休みの後はいよいよ村をまわる事になる。
初めてこの目で見る異世界に、期待が膨らむのを止める事が出来なかった。
朝は王様、昼は貴族、夜は乞食のように食べる、という諺があるらしいですね。
一応食事イメージは黒パン沢山にハムやチーズが数種類、肉か魚料理、卵料理とサラダとスープがある感じです。
ドイツのイメージですが貴族なのでちょっと豪勢に。