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平凡貴族は僻地で暮らす!  作者: 六さん
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1日目・地図を確認する、俺

やっとこさ地図を見ます

「こちらがウィリアム様の領地である、ルヒルの地図になります。」


執事とばぁやの話が終わり、やっと地図を見る事が出来た。

箱から取り出された大きな一枚の羊皮紙には、精巧とまではいかないが見やすく分かりやすい図が広がっていた。

所々に描かれている魔物の様な絵で、この地図が分布図を兼ねている事がわかった。


「広いね。というか村が小ちゃいね・・・。」


地図には、北にある高山ルヒル山の山脈が、東側から地図の右上を通る様に北西まで続いている。

山脈は北西の崖で途絶えており、崖にはルヒルの南東から南西を通り崖に流れ込む川がある。

またルヒル山からは村の左側を通る様に川がながれており、村の北東に小さな湖がある。

村は小さく、田畑含めて地図の下半分に収まっており、なおかつ森に囲まれている。

村のしたには小さな丘があるようだ。


「ルヒルは3分の2が森と山脈ですからね。開拓するにも人手がいりますし、タダではありません。」

「何よりこのルヒルは、農業より森や山で採れる資源がメインですしねぇ。わざわざ必要以上に開拓する方は少ないのです。小さくても貧しくはないですから。」


執事の言葉を引き継ぐ様にばぁやが話す。

その言葉で小さくてもこの村がやっていけてる理由を察する事が出来た。


「冒険者が森や山にはいるのにはこの村は拠点として最適だもんなぁ。森と山に資源が無くならない限り、冒険者達がお金落としてくれるもんね。」

「はい。このルヒルは昔からこの形態で営みがつづいております。」


俺の呟きにニコニコと言葉が返ってくる。

今のは領地運営した事ない16歳の言葉じゃなかったなぁ・・・。

やめて、期待した眼差しを向けないで・・・。


「あー、この村にはどれ位人がいるの?冒険者がどれくらいかわかる?」

「人口は1328人です。冒険者は100人程が出入りしていますが、住人の中にも冒険者がおります。教会には21人と孤児が11人おります。」


そう言うと先ほどとは別の村の詳細な地図を出される。


(つうか全部覚えてんの?俺も覚えるべきなの?たまたま覚えてただけだよな?)


若干戦々恐々としてしまう。

村の地図には東に俺が今いる館、北東に冒険者ギルドや武器屋、北西に教会と孤児院。

村の中心には店が並ぶ。

南側は農家が中心の家屋と畑が広がっている。


「気になる場所はございますか?」

「んーそうだなぁ・・・。」


(畑と中心の店は見に行くとして、冒険者ギルドと教会かぁ挨拶に行った方がいいのか?)


ううん?と首をかしげる。

こういうのって領主からいくんじゃなくて来るのを待つのが常識なのか・・・。

前世で読んだ小説にはそれらしき事がかいてあったが、正直この世界の常識だとどうなのか?

そう考えながら地図を眺めていると、ばぁやが察したのか声をかけてくる。


「ウィリアム様、教会の神父様は良き日に挨拶に来られますわ。訪問はその後がよろしいでしょう。」

「そうなんだ、分かった。ギルドは?」

「ギルド長も後日挨拶に来ますので、寄らずともよいでしょう。視察の際は村の中心を通って南側をぐるりとまわるようにいたしましょう。」


執事が引き継ぎ答え、ルートが決まってしまった。

これもしかしなくても着いてくるやつだよなぁ。

うっすら分かってはいたけど、一人歩きは厳しいか・・・。


「分かった。それでいこう。護衛をつれていけばいいか?」

「いえ、護衛の他に使用人を一人つけますので、ウィリアム様を含め三名での視察になります。」

「使用人?誰をつけるんだ?」

「私の孫ですわ、ウィリアム様。」


護衛がいればいいかなと思っていたが使用人もつけるらしい。

ばぁやの孫、というかばぁやの家族は全員、ザウバア家で働いている。

幾人かは実家に残っているが夫と末娘、そして長男の子である件の孫がこの領地についてきた。

たしか俺と同い年で、おっとりした感じの子だったはずだ。


「そういえばあんまり話した事ないなぁ、同い年なのに。」

「小さい頃はご一緒に遊んでいただいていたのですけれど覚えていらっしゃいませんか?。あの子ははきはきしている子ではありませんが、仕事はしっかりこなす子ですからウィリアム様のお役に立てると存じますよ。」

「そうだっけ?まぁ悪い奴じゃないのはしってるからいいよ。」


そう俺が返すと、ばぁやはにっこりと笑みを返した。

しかしふと、懸念が浮かび上がった。


(徒歩でいくのか?馬か?馬車か?馬だったら俺のれんのか?)


記憶だとそれなりに乗れてはいるが、特別上手い方でもなかったはずだ。

それをいきなり町中で乗ったとして、きちんと操る自信がない。

実家にいた頃は街に行く時は歩いていく事もあった。


「あのさ、歩いていくんだよね?」


そう俺が言うと執事とばぁやは顔を見合わせて驚いたような顔をした。


「とんでもない!ウィリアム様は領主なのですよ、馬上にいてくださらなければ示しがつきません。」

「そうですよ、今はもうザウバア家の三男ではなくルヒルの領主なのですから。」

「そ、そっか。そういえば父上は馬車か馬だったね。」


そうだ、父上はそうだったと記憶から思い返す。

護衛数名と使用人を歩かせ、自身は馬に乗っていた。

何かを買う時は使用人に買わせていたっけ。


(使用人つけるのってこの為かー。)


護衛は側を離れられないから、使用人を連れて行くのか、なるほど。

三男坊感覚が抜けていないと、好きに動けないのはちょっと不便に感じる。

納得した俺に満足したのか、驚いた顔からいつもの表情に二人が戻る。


「難しい事ではありませんわ。旦那様の様に気丈に振る舞えばよろしいのです。」

「あぁ、慣れるまで頑張るよ。」


そう苦笑をこぼす俺に二人が微笑を浮かべる。

微笑ましがられてるのはわかるけど、もうちょっと表情隠してくれ・・・。

前世がある分中身が育っているとどうもこの扱いはむずがゆくて仕方がない。


そんな二人と話しながら午前の時間は過ぎていく。

そろそろ昼の支度に行くと、ばぁやが飲み終わったカップと共にワゴンを押して退室した。

俺は執事と村の地図を見ながら詳しく店の詳細を聞いている。


もうすぐお昼ご飯だ。

そしてやっと外に出れる。

異世界が見れる!と内心テンションをあげながら昼を待つのであった。

これで午前中が終わりです。

話数が多いのでそのうち一つに纏めたいです。

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