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平凡貴族は僻地で暮らす!  作者: 六さん
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1日目・初仕事だ、俺

お仕事は一体なんでしょう?

執務室に着き、執事に扉を開けられ中に入る。

執務室と言うよりかは書斎に思えた。

というのもーーー


「本、結構あるんだ・・・。」


壁に並ぶ、本、本、本。

一面の本棚と言う訳じゃないが、左右の壁に2つずつ。

計4架の天井まである大きな本棚。


「えぇ、この領地にある書籍類は全てここにございます。地図等も納められております。」

「地図、後で見たいな。」

「かしこまりました。」


(地図もちゃんとあるのかーーー。)


本は背表紙からもわかる、高そうな雰囲気があった。

正直に言えばこの辺鄙な領にこんなにも本があるとは思わなかった。

”記憶”でも、本は高価なものなのだったからだ。


(紙は羊皮紙か・・・。)


机の上にあるそれは、普段見慣れた紙の白とは違い茶色がかった、色むらのあるものだった。

植物紙はないのだろうか?

と思い浮かぶが、作り方なんてテレビで見た断片的な物しか知らない。

紙を漉くところは想像出来るが、あの白くドロっとした物が何かなんて知らなかった。

そこで窓から差す窓を見てふと思った。


「日差しがはいってるけど、本大丈夫なの?」


そんな俺の疑問に執事は何でもない事の様に和やかに答える。


「はい。このように目隠し用と日焼けせぬ様にカーテンがありますし、何よりここにある書籍類には魔法がかかっておりますので。」

「魔法?」


俺の不思議そうな声に執事はやはり和やかに答える。


「保存の魔法です。一般的に知られる攻撃性のある物や支援魔法とは違う、生活魔法と呼ばれる物です。」

「生活魔法・・・。」


記憶にある生活魔法は攻撃魔法に満たない威力の物をそう呼んでいた。

フー(初級の火魔法)に至らない種火をおこす魔法。

オー(初級の水魔法)に至らないコップ一杯の水を出す魔法。


「一般的には知られたいませんが、時間に関する魔法は攻撃魔法ではないので生活魔法の分類になるのです。」

「へぇ、そうなんだ。」

「学園に入り学ぶか、職人の元で学ぶかしませんと知る物方は少ないのです。」

「そっか。」


学園、貴族や大商人等のお金持ってる奴らが通う社交場のようなところだ。

家では長男は行ったが、俺は行っていない。


短く返事をし、俺が一つ頷くと椅子が引かれる。


「それでは書類に関する説明をいたしますね。」


さほど広くない部屋の奥に、窓を背にする形で大きめの机が置かれている。

そこに座り、書類とやらを眺め、説明を聞く。

聞く限りでは、今まで代官が行っていたこの村の作物や税に関するもの。

人工の増減と、家畜の増減。

旅商人からの売買の頻度や価格、その品物名。

それと村人の病気やら怪我やらの詳細。

最後に俺が今いる館に関する管理と、使用人に関する書類だった。


(以外とちゃんとしてるんだなぁ。)


正直もっと適当かと思っていたーーー。

そう口に出さなくても思っているのが伝わったのか、少し笑みを含みながら説明が続けられる。


「ウィリアム様が治めるこの領地は、人が住める場所はそう広くはありませんが、周辺の森や、見渡せる山、森を暫く行った所にある大きな谷間も領地となりますので、単純に広さで言えば旦那様の領地の十分の一はあるのですよ。」

「そんなに?」

「はい。故に求められる書簡の数も増えるのです。例え人が少なくとも大きな領である事は変わりありません。」


管理が面倒な領地を押し付けられたんだな、と思うがあるだけマシと思い直して書類を見やる。

幸い量は多いが、文章のチェックとサインをするだけの物が半分だ。

後は簡単な計算ばかり。

四則計算ができれば余裕だ。


「頑張ってさっさと終わらせますかー。」


そうつぶやいて取りかかる。

計算はともかく物品に分からない物があれば聞きながら進めていく。

”俺”であった時に比べてなんて楽な仕事だ・・・。

途中から俺の計算仕事の速さに執事は驚いていたようだが気にしない。


結果、俺の初仕事は二時間足らずで終わったのであった。


もと社会人には余裕っぽいです。

記憶がある分齟齬も少ないようです。

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