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Episode 143

「それではあなた達の処分を言い渡します。」

「やっぱりその為に来たのかヨ!」


ミディアはまた敵意のある目付きに変わる。

しかしアドミンはそんな彼女を無視して続けた。


「杏珠さんについてですが、公務執行妨害は懲罰棟行きの重罪とはいえ普段の素行も問題無く初犯と言う事で、刑は執行猶予付きとなります。」

「おぉ~何かドラマみたいですねw」


他人事じゃあ無いだろ……。


「つまりは……。」

「今回に関してはお咎め無しです。これは一役買ってくれた杏珠さんへ私からの気持ちです。」

「本当ですか!?ありがとうございます!」


俺に礼は無いって言ってたのにかよ……。


「ふぅ……良かったネ!アンジュ!」

「はい!ミディアさんもありがとうございます!」


な~んか嫌な予感が……。


「それからシカリウス。色々微罪を犯してますが、それは私がお願いした事ですので何とか不問に出来ました。」

「当たり前だ!お前等の手伝いで有罪にされても困る。」

「ですが……拘束が決まった人形を庇い、逃走援助罪にあたる行為。それに続き重罪に然るべきは私へ銃口を向けると言う明確な殺意。公務執行妨害と殺人未遂に該当します。」

「ちょ……ちょっと待ってくれよ!ミカ達にやった事はあの場を収める為に……。お前に銃を向けたのも演技だって分かってた事だろう?」

「ですからこちらの予定としては、人形を一時拘束はしても処刑まではするつもりはありませんでした。あなたはやり過ぎたのです。私には通じてもヒロさんには通じなかった。」

「それじゃあ俺は…………。」


何だこの状況は。


「シカさん……犯罪者になってしまうんですか!?」


そう言われると元から犯罪者ではあるのだが……。


「何とかならないのか?アドミン?」

「そうだヨ!根本の解決を助けた功労者じゃないかヨ!」

「そうですねぇ…………。」


この場の全員が固唾を呑んでアドミンの次の言葉を待っている。


「私が罪を消せる訳ではありませんからねぇ。残念ですが今回は刑罰を受けて貰います。」

「マジかよ……。」


ガックリする俺。


「だ……大丈夫です!シカさんが犯罪者でも私は味方ですからね!!」


ありがとう。相変わらず気を使ってくれるな。

しかし君は味方どころか、ずっと犯罪者の相棒をやっていたのだよ。


「どんな刑なのヨ?」

「では言い渡します。シカリウス。あなたに科せられる罰は……。」


禁固刑なら脱走するしかねぇな。


「合計で50時間の社会奉仕活動です。」


うっしゃあ!逃げ出してやるぜ!……ってあれ?


「奉仕活動?」

「はい。今回の事件で壊れた建物も沢山あります。取りあえずその再建を手伝って貰いましょう。」

「只のボランティアかヨ……。」

「良かったですね!軽い罰な上に皆さんの役にも立てる!良い事です。」

「いやでも50時間って長くね?」

「これでもあなたの罪を考えると少ない方です。それに"人形の責任は俺が取る"等と言ってませんでしたか?人形が壊したウエスト・コーストの店もまだ直ってません。」

「…………。」

「シカさん!頑張りましょう!私もお手伝いしますので!」

「これはこれは何とも良いパートナーを見付けましたね。まるで天使の様な心の持ち主です。」


クソッ!このニヤケ面が今は余計に腹立つ!


「さて……それでは1番の問題。人形についてですが。」


処刑はしない……。

そうは聞いたものの、やはりその発表にこの部屋の空気に緊張が走る。


「先ず殺人容疑ですが、8件の殺人にに関してはほぼ確定です。それからウエスト・コーストにおける公務執行妨害と傷害罪。器物破損等挙げればキリが無いです。」

「何かヤバそうだネ……。」

「ミカちゃん大丈夫ですよね……?」


確かに3人の中では1番罪が重い。


「ご存知の通りこの街には少年法などありません。人形がそれなりの罰を受けるのは当然の事です。」

「じゃあミカは……。」

「まぁ待って下さい。今朝ヒロさんが部下たちに向けて行ったスピーチをそのまま紹介します。」


アドミンは一呼吸置くと話し始めた。


『現在ボラカイ関係者に預けてある人形の処分について決まったので報告する。奴の行いで同胞が傷付き、街の治安を乱され、お前達は憤りを感じている事だと思う。元よりオレ達はドルギースの犯罪を抑制する為に、未成年者に対しても容赦の無い処分を行ってきた。人形の行為は第一級犯罪に該当し、死罪以外に該当する刑は存在しない。だがオレは敢えて言わせて貰う。人形に死刑は行わない。異例の事ではあるがそろそろオレ達も変わらなければならない。まだ心の出来上がっていない子供達を操り、自分達のやりたい様に変えてしまう連中。そして犯罪に走らせる事でしか生きる道を与えられないオレ達鬼棲街の住人。憎むべきは子供達に邪悪な心を芽生えさせ、いとも簡単に見捨てる大人達。オレ達側に問題は山積みだ。だから先ずは第1歩として"特級犯罪"の枠を設ける。これは未成年者に対しての洗脳行為、またそれに関して犯罪教唆を行った者には問答無用で死罪を言い渡す。そして洗脳を受けていた子供には罰の軽減を与える。いきなりではあるが、今回の事件はそれが適用される第1例とする。この件に関してはハッキリ言ってオレの私情も挟まっている。気に食わない奴も居るだろう。人形に個人的な怨みを持ってる奴も居るだろう。だからもしお前等の中で、今回の変革でヴィジランテに付いて来れないと言う者が居るのなら、この場から去る事を認めよう。誰もそれを咎めたりはしない。遠慮せずに申し出てくれ。…………以上だ。残りたい奴は引き続き新型ドラッグの捜査を頼む。お前達に幸運を…………。』


またヒロの勝手な改革か……。

前回ヒロの一存でヴィジランテが恐怖政治に切り替えた時、多数の脱退者を出したらしい。

あの頃の仲間もそれで大分抜けてしまった。


だが今回は俺達にとって都合の良い話ではあるが……。


「脱退を申し出る者は1人も居ませんでした。皆ヒロさんの正しさを感じていたからでしょう。」

「アイツも急だよネ。でも確かに今回の改革にはワタシも賛同出来るヨ。」

「ではミカちゃんに罰は無いんですよね!?これからも私達と一緒に……。」

「残念ですが人形に処罰が無い訳ではありません。飽くまで与えられるのは罪の軽減。それに鬼棲街の住民にとって彼女は恐れられる存在です。最近では"人形"と言う言葉すら禁句になっています。野放しにする訳にはいきません。」

「そんな…………。」

「しかしながら人形に対してはヒロさんが情状酌量をかなり認めています。そこで下った判決は…………。」


軽めの罰を期待する!


「鬼棲街からの追放です。」


マジかよ。結構重い罪だ。

特にミカの状況では……。

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