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Episode 101

「いや……今の所は特に……。」

「逆に音沙汰が無いのが怖いな。」

「まぁアイツラだって特に理由が無ければ追い出す事もしないと思うヨ。だけどあまり目立つ行為は控えてネ?それでなくてもあの街じゃ有名人なんだから。」

「もう10年も経ってるんだ。誰も覚えちゃあいないさ。」

「そうでもないヨ。まだ"あの頃"の奴等がチラホラ残っているのさ。そういう奴は大体力を持ったポジションに立っているからネ。気を付けなヨ?」


気を付けるって……何を??


「はい!!おっけーです!!!これで大丈夫ですか?」

「ハイハイありがとネ!えぇーっと…………チョット待って!"ふぁくとたむ"って……これで良いの?」

「何かダメでしょうか???」

「いやダメじゃないんだけど……。平仮名だと可愛らしい感じがすると言うか……。ユージーンはこれで良い?」

「……まぁアンジュが良いなら。」


正直コンビ名とかどうでも良い……。


「やったぁー!!シカさんありがとうございます!」

「ホントに能天気な2人だヨ……。じゃこれで送っちゃうからネ?」


どうぞどうぞ。


「それからこれが依頼内容の詳細。」


ミディアから依頼書を渡された。


「何々?ターゲットの写真は無し。特徴は黒とオレンジの斑紋(はんもん)のある身体と鈴の付いた赤い首輪……。」


鈴を付けた猫って……未だ居るんだな。

もうそんなの付けているのは、某ネコ型ロボットだけかと思っていたが。


「この2点を知っていれば見た瞬間分かると……。」

「何か印象の強い猫さんなんですね!きっと!!」


怪しさ満点だな。


「捕獲後支給の麻酔薬で眠らせ、薬が切れる24時間以内に引き渡しと……。」

「捕まえたらすぐにウチに連絡くれればワタシがクライアントを呼び出すヨ。引き渡し場所もウチになってるしネ。」

「何か仕事っぽくなって来ましたね!w」


楽しそうで何よりです。


「麻酔を使わなきゃいけないなんて凶暴なんじゃあないか?普通猫くらいの捕獲ならケージで充分だろ。」

「どうだろうネ。一応自己申告の危険度は低くなってるけど……。」


信用出来るのか?それ……。

危険が少しでもあったら追加料金を請求するぞ?


「とにかく心配してても、もう受けちゃったんだからやるしかないヨ。」

「まぁそうなんだが……。」

「大丈夫ですよシカさん!何てったって私達は最強コンビですから!!!」


アンジュはピースサインを俺に向けた……。



―*―*―*―*―*―*―*―*―



「それで……これがターゲットなワケ?デカいネ…………。」


俺達は"猫"を捕獲後ボラカイに連絡を取り、眠っているソイツをそのまま運び込んだ。


「だろ!?これ猫じゃあないぜ!契約違反で俺は罰金を請求する!!直接文句言ってやるぞ!」

「まぁまぁ。飼い猫でも大型種だと10kgを超える個体もあるって聞くヨ。普通は直にクライアントとは会わせないんだけど、依頼内容が異なる可能性がある場合は仕方無いネ……。とにかく今こっちに向かってるから、相手から話を聞こうじゃないか。」


聞かなくてもコイツは小型のヒョウだろ!


「それよりアンジュが大人しいけど何かあったの?まさか怪我でもしたんじゃないでしょうネ!!?」


アンジュは椅子に座ってポケーっと考え事をしている様だ。


「違う!捕獲後に合流してからずっとこんな感じなんだ。猫の大きさにショックでも受けたのか……。」

「オマエ……子供じゃないんだからそんな事あるワケ無いヨ……。アンジュ?何かあったの?」

「あっ……ごめんなさい。その猫ちゃんに少し思い当たる節があって考え事を……。」

「知ってるの?このデカい猫を?」

「その子を知っている訳では無いのですが……。飼い主さんが来たら聞きたい事があります。」


ヤケに真剣だ。

そして俺はアンジュのこの顔を知っている。

自分の理想に反する事が起こった時に見せる顔だ。


「姐さん失礼します。クライアントが来ました。」


ドアがノックされる。


「あら丁度良いネ。じゃ行こう!」


俺達はミディアがクライアントと会う際に使う応接間へと移動する。


「初めまして。私は直接の依頼主では無いのですが、代理で引き取りに参りました。委任状も持参しております。」


そこで既に待っていたのは品の良い老紳士と言った佇まいの男性。

立ち上がり挨拶をするその腕には大型のケージが抱えられている。

それはどう見ても猫用などでは無く、かなり頑丈に作られた物だと分かる。


「どうぞお座り下さい。今回は事情があって、エージェントの2人も同席する事をお許し下さい。」


ミディアが敬語で喋っているぞ……。


「何か問題が?」

「問題が?ってどう見てもこれは普通の猫じゃあないだろ!」

「チョットユージーン!黙っててヨ!!」

「…………いいえ猫です。」


何だその間は。


「どう見ても小型のヒョウにしか見えないぞ!」

「もっと気を使って!相手はクライアントだヨ!?」

「クライアントもクソもあるか!これは重大な契約違反だ!」

「私共は猫の捕獲を依頼し、その子は紛れもなく猫です。何も内容に間違いは無い筈ですが……。」

「まさか同じネコ科だから良いだろとか思ってんのか?普通の猫とヒョウとじゃあ別物っつーのが一般の認識だろ?」

「ユージーン!良い加減落ち着いて話してヨ!」

「この子は本当にペットの猫ちゃんかもしれません。」


突然アンジュが話し出した。


「アンジュ!?コイツの味方か?」

「ごめんなさい話を遮って。でも私1つ聞きたい事があるんです。」


さっき言ってた事か。


「この子オセロットちゃんですよね?」

「…………。」


老紳士の顔が曇った。

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