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6 淡い期待

正直に言おう、この時ぼくはまだ、ことの重大さとか、世界のこととかなんて考えていなかった。


非日常に猛烈な感動を覚えて、ただ走っていただけだ。


ーーこのあと、世界の存亡がぼくの双肩にかかることになるなんて、この時、一体誰が予想できただろうか……







……なんてね?


いや、でもそれぐらいすごいことじゃない?


校庭から全速力で逃げ出して、道に出たぼくは、あてもなく走っていた。


あの子達、ちょっとおかしい人にも見えたけど、あれこそ『非日常』の体現なのかなーって思えばいける!


全然、普通に『非日常』のアニメみたいな展開だ!!


あー、次は何が出てくるんだろう?


あのレッドローズちゃんが、まあ、突然主人公を非日常につれこむ少女みたいな感じでー、あの危険な感じの子が、ライバル的な? でしょー。で、普通、この次の展開ってー……


ん? 待てよ、これって逃げちゃいけなかったんじゃない?


普通、こういう感じの状況の主人公って、『足手まといになるかも?』とか考えずに、『守りたいから』みたいな理由で、共闘するんじゃないっけ?


あるいは、戦わないとしても、そばで見ていて……とかするんだっけ?


それで、なんか覚醒(?)したりとか?


……だとしたら、ヤバいぞ! ちゃんとした主人公ルートから外れちゃったら、主人公の成長の為に、死んでしまうモブとかになるかもしれない。


それも、やっぱり駄目だ。


非日常って言うのは、主人公じゃなきゃ意味がないしな。


ってことで、ぼくは踵を返して、学校の方に走り出した。


うん、学校に着いたんだけどさ、そしたらさ、いやー綺麗さっぱり、戦いが終わってたんだよね。


そっかー、うん、OK、OK。帰ろっかなー……


「トイレの少年、レッドローズを助けなくていいのか?」


いやー、酷い呼び方だねー、『トイレの少年』だって。


黒ドレスの危ない女の子がね、レッドローズちゃんを足で踏みながらね、校門から出ようとしている僕の背中にそうやって語りかけてきたんですよー。


「えっとー、レ、レッドローズなんて知りませんよー」


と、完全に裏返った声でぼく。酷い男だなー。


「や、やよいくん……?」


あーあ、レッドローズちゃんに懇願するような目で見られちゃったよ……


なるほどね。


これが、非日常か……いいだろう、ここで逃げ出すのはさすがにぼくでもできない。


むしろ、ここは、思いっきり格好つける場面なんだろうな。


ーーはーあ、いっちょ、やってやりますか……


ゆっくりと振り向きながら


「おい、黒ドレス、レッドローズに手を出すな! そいつは俺のたいs……」


ガコンと変な音がしながら、ぼくは黒ドレスちゃんに殴り飛ばされた……拳で……


「痛い!?」


「調子に乗るなよ、トイレ少年。お前みたいにくだらない能力者はここで朽ち果てろ!」


声とか怖っ!


「『我の身体を糧とし、我の魂を拠り所とし、死を導く道となれ! 混沌の光ケイオス!』」


え? 呪文の詠唱? え? 魔法? あるの?


嘘でしょ!? ……すげー!! 非日常じゃん!!


と思ったらです、黒ドレスちゃんは、超能力で光る拳でボコボコと殴ってきた。


「……え?」


そんなけ?


では、さすがになかった。


光ってるだけじゃなくて、その拳はなんか強化されてた。


女の子に殴られて、地面に突き倒されてるって、酷い状況だな……


いやー、どれくらい殴られたかな?


「なぜ、まだ生きている」


とか、黒ドレスちゃんには言われたりした。


ぼくの唯一の長所は、打たれ強いことだからな。


って、そんなこんなで、黒ドレスちゃんが、ぼくに夢中(他意はない)になっている間に、レッドローズちゃんも回復して復活したみたいです。


「ありがとう、やよい君!! おかげで、チャンスができたよ!」


「なっ、しまった! トイレがあまりにも打たれ強くて、面白かったせいで、気をとられていた!」


二つほど突っ込みましょうかね


ひとーつ! トイレって誰だー!


ふたーつ! あなた馬鹿ですかー!


うん、スッキリした。


あ、別にトイレって言われたから、『スッキリ』ってわけじゃないからね?


ってことで、魔法少女の戦い、超能力戦争の二回戦目が始まるみたいです。


えっ? 今回の題名の理由? それはさ、魔法あるかもーっていう部分に関する期待のことだよ。



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