プロローグ
昔、ある所に 一人のオルゴールを作る職人がいました。
その職人が作るオルゴールは、評判が良く 一年近くオルゴールを待っている人がたくさんいました。
何故なら、オルゴールから流れる音楽は 人によって違い、
奏でる音色は 嫌な事や悩み事をなくし、懐かしく,楽しかった思い出を思い出してくれる
そんな 夢のようなモノでした。
職人は、どんなに忙しくても 笑って楽しく 作っていました。
ですが、そんな幸せな時間が終わってしまいました。
内乱が起きてしまいました。
あちこちで、火の海があがっていました。
火の粉と死臭と死体と…。
職人には、家族がいます。
今は、残りの家族の安否が確認できないまま 孫を抱え必死に走っていました。
道なき道を―――…。
着いた場所は、知らない所で 小さな山小屋がありました。
誰もいない小屋に、そのまま住むことになりました。
職人は、若くありません。
意識が薄れていく中、『世界で一つだけのオルゴール』を創りました。
それを渡し
深い深い眠りにつきました。
眠る前、
「おじいちゃん!!」
「死なないでよっ!!」
「後は… たのんだよ。 ううっ!
…2人共、最後まで 生きなさい…。」
「ううっ…うっ…」
「ディルを、必ず守るから…。」
「…。オルゴールと…あの本を」
「守る…守るよ…!」
「(にこっ)」
「おじいちゃん…?」
「ううっ…ううっわっ…!!」
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「これから、力合わせて 生きていこうな。」
「…うん。」