こんな漫画みたいな現象についていけない・・・
先輩がニッコリキラキラスマイルで玄関に招きいれてくれた。
「お邪魔します」
入ってすぐ周りを見渡してみる。
・・・何というか・・・すごく何も無い家だ・・・松本先輩の親って、結構長い間旅行に行ってるのかな?
「まあ、あがって。服ぬれちゃったね。今タオル持ってくるから待ってて」
「あっすいません」
・・・本当に松本先輩の家に泊まらせてもらってよかったのかな・・・?考えてみれば、先輩と二人っきりだし・・・。まあ、いっか。
「はい、タオル」
「ありがとうございます」
「・・・姫野ちゃん寒かったりしたら言ってね」
やけに心配性だな・・・。でも、大丈夫っ!私は今まで雨程度で風邪なんか引いたことないからっ!だから、今回もきっと大丈夫っ!
「大丈夫ですっ!体だけは強いんでっ!」
「・・・そう?でも、女の子はちゃんと自分の心配しないといけないよ」
余計なお世話ですっ!・・・なんていわないけど・・・でも、こんなに心配してもらって、ちょっと嬉しかったりなんて・・・。どうしたんだ自分。ちょっと自分自身に引いた・・・。
「・・・はい・・・」
「まあ、とりあえず、夕食にしようか。作ってくるね」
ん?・・・いや、ここはお世話になるんだし、女子だし、私が料理すべきだよね?
「あの、これからお世話になりますし、私に料理させてもらえませんか?」
「えっ?いいの?」
「はい、ご迷惑でなければ・・・」
「やった!姫野ちゃんの手料理、食べれるんだ」
子供のように少しはしゃぐ先輩・・・先輩ってなに考えてるのかよめない・・・。
「あんまり自信ないですけど・・・」
まあ、料理はけっこうするし、出来るほう・・・だと思う。
「どんな料理でも、姫野ちゃんが作ったものなら食べるよ」
はっ!こうゆうこといわれるとたぶん女子はドキッとかキュンッとするんだろうね・・・。ごめん・・・私はまったくドキッともしないしキュンッともしない・・・。
それから十分くらい・・・。焼き飯を作った。・・・。すごく簡単だけどね・・・。あるもので作った。味のほうは・・・良くわかんない。私猫舌だから、味見したとき熱くて、味が全然わかんなかった・・・。まあ、不味くはないと思う・・・たぶん。
「どっどうぞ・・・」
「わあ、おいしそう!いただきますっ!」
先輩・・・ちょっとキャラが崩壊しかけてるんですけど・・・。あっ味どうだろう。まずかったらどうしよう・・・。
「・・・」
何にも言わない・・・まさか、まずいの!?
「・・・すっごくおいしい・・・こんなの食べたの久しぶり・・・」
・・・はい?何でそんなに感動してるの?演技・・・ですよね・・・?
「・・・どうも・・・」
「姫野ちゃん料理上手なんだね。いいお嫁さんになれるね」
うっ・・・お嫁さん以前に彼氏が出来るか・・・。いや、好きな人が出来るかどうか・・・。
「・・・はあ・・・」
「ん・・・?あっじゃあ俺、姫野ちゃんの旦那さん立候補ねっ」
「・・・冗談ですよね・・・」
「それはどうかな?」
「・・・先輩は・・・誰のことも好きじゃないですよね・・・」
「・・・!?」
って、私、何決めつけてんの!?あーまた、やっちゃったよー!
「・・・あの・・・先輩・・・」
「・・・はは、分かったよ降参、冗談ってことでいいよ」
「・・・え?・・・あ、はい・・・」
あれ、怒ってない・・・?
「ご飯食べ終わったら、先にお風呂入ってきたら?俺ちょっと用事あるから後で良いよ」
えっ!お風呂!どんなお風呂なんだろう?私の家のと同じ感じかな?ちょっと楽しみ!あっ・・・普通もうちょっと警戒するもの・・・かな?
「はい、ありがとうございます」
・・・すっすごい・・・!?
「広っ!」
なぜか、ジャワールームっといったように、一つずつ部屋になって分けれており、しかも、サウナまであるという・・・。その他にもすごいものがたくさんある・・・。
確かに、家も大きいとは思ってたけど・・・このお風呂場、私の家のリビング二つ分くらいあるんじゃ・・・いや、もっとあるでしょ・・・って、驚いてないで、さっさと入らせていただこう!
「ああ~気持ちよかったー」
先輩に、あがったことと、お礼言っておかなくちゃ。
「あのー先輩?」
あれ、リビングにいない・・・二階かな?行ってみよう。人の家を勝手にうろうろしちゃってるけど・・・まあ、いいよね・・・?
「せんぱーい?」
あっあそこの部屋電気ついてる・・・先輩いるかな?
「先輩?いま―――」
「いますか?」そう言おうとしたそのとき―――
「姫野ちゃん!?」
「えっ?」
ドッシーン!
・・・ん・・・痛くない・・・確か、私がドアを開けようとしたのと同時に先輩がドアをあけて勢いで倒れちゃったんだけど・・・まさか・・・。
「・・・つぅ・・・姫野ちゃん大丈夫?」
そのまさかだー!私、先輩の上にのっかてるよー!
「すすすっすみません!今すぐどきます!」
「姫野ちゃん、落ち着いて。そんなに焦らなくても良いから・・・っ・・・」
「先輩!大丈夫ですか!右手、痛いんですか?」
「いや、少しだけだから、そんなにたいしたこと無いよ」
「・・・私のせいで・・・ごめんなさい・・・」
怪我を負わせちゃうなんて・・・私、最悪・・・。
しかも、この先輩様だしっ!。ちょっとだけ、先輩にこんなことをしたのがばれて、先輩ファンに何かされたらと思うと怖い・・・。
「姫野ちゃん・・・本当に大丈夫だから、気にしないで・・・俺、風呂入ってくるね」
「・・・はい・・・」
・・・ごめんなさい・・・悪いと思いつつも、内心先輩のファンのこと考えてました・・・。先輩ホント、ごめんなさい。
「そういえば、私って何処で寝させてもらえるんだろう・・・?」
部屋の扉が開いた。
「姫野ちゃん・・・大丈夫だった?」
「はい、さっきは、本当にすいませんでしたっ!」
「ホント、もう大丈夫だから・・・そんなに痛くもないし」
「・・・」
実は別のこと考えてました、なんていえない・・・。。
「あっそれで、君の寝るところなんだけど・・・」
・・・そうだった、何処なんだろ?
「俺の部屋のベッドで寝てもらってもいい?俺は床で布団敷いて寝るから・・・」
は、い?一緒の部屋で寝るの?しかも、先輩様のベットで?絶対にいやだー!!
「あっあの、リビングのソファーとかじゃだめですか?」
「・・・駄目っていうか、そんなとこで寝たら風邪引いちゃうし・・・他の部屋もちょっと使えそうにないし・・・」
・・・こうなったら・・・。
「じゃあ、せめて先輩がベッドで寝てください。私が床で寝ます。先輩は怪我人なんですから!」
「でも・・・」
「お願いします!」
「・・・姫野ちゃんがそこまで言うなら分かったよ・・・でも・・・」
「・・・?」
「・・・君も、俺と一緒にベッドで寝て?」
は・・・?なんで?
「・・・なんで?って思ったでしょ、今」
「へっ・・・!あっ・・・えっと・・・」
「当たり前だよ。男の俺がベッドで寝て、君を床で寝させるなんて出来ないよ。だけど君は、俺が床で寝るのは反対するから・・・。だったらもう、一緒に寝るしかないと思って・・・」
・・・どうしてそんな結論に到達するんだろう・・・。この人の場合たぶん反発しても無駄なんだろうな・・・。それだったら、先輩を床に寝かすほうがよかったかも・・・なんて。
「・・・わかりました・・・」
・・・大丈夫だよね・・・先輩のほう見なきゃいいんだもん・・・。きっと、何もされないだろうし・・・。
「じゃあ先にベッドに入ってて、俺電気消すから」
・・・私が奥か・・・。
・・・パチッ・・・
電気が消えて先輩がベッドに入ってきた。
「・・・」
「・・・スースー・・・」
私はすぐに寝てしまった・・・。
ここは警戒して眠れないものだよね・・・私女子失格だね・・・。
・・・・・・
「・・・バカだろこいつ・・・」
・・・ん・・・?先輩が何か・・・喋ってる・・・?
「手が痛いなんて、嘘なのに、あんな落ち込むか、普通・・・?まあ、一週間楽しめそうだ・・・」
・・・なんて言ったのか・・・よくわからないな・・・まっいっか。