出会い?と親友
【恋したい、青春したい、でもできない】
という詩をノートに書き込んでみたら・・・。
「・・・ぷっ・・・くくくっ!」
「ちょっと、笑わなくてもいいじゃん・・・」
「いや、だってこれは・・・ぷっ、あはは、やだーつぼった」
「もう、美香!」
「ごめん、ごめん」
美香ったら、人事だと思って・・・今、人の詩を見てつぼったこの子は、加藤 美香。私は、姫野 舞 です。
私達は今、青春の真っ最中といわれる高校1年です。入学式はもう過ぎ、夏休みの二日前です。
「まぁ、そんな気持ちも分からなくはないけど・・・でも私は・・・彼氏いるし・・・」
「くっ・・・憎い・・・私なんて好きな人も出来ないのに・・・」
「はは・・・あはは・・・」
「だって美香は、可愛いから・・・」
「なに言ってんの、だって私は化粧してるもん!だから、舞はスッピンでその可愛さでしょ?私なんかの何倍も可愛いよっ!」
「はは・・・美香はどんなでも可愛いよ。でも、ありがとう」
美香は、小柄で、目がぱっちりしているし、爪の先まで手入れが行き届いていて、傷一つないすごく綺麗な手で、ちゃんと可愛くなるための努力をしてて・・・だから美香は女の子らしい雰囲気があって可愛い。あと、化粧してるって言ってるけど、スッピンもすごく可愛い。
それに比べて私は、背も結構高いし、常にスッピンだし、手には自分のドジで出来た傷があるし、こんなこといってても美香みたいに頑張ろうとしない・・・だから、全然女の子とはいえない。結局は自分が悪いんだ。
そんなことを考えていると、涙が出てきた。
「ちょっ舞、どうしたの!」
「あっあれ、どうしたんだろう私、変だなぁ・・・。ちょっと顔洗いに言ってくるね」
そう言って、逃げるように、教室を出た。
「・・・舞・・・」
どうして涙なんかでたんだろう、別に悲しいともなんとも思わなかったのに・・・。
そんなことを思って、顔を隠すように、下を向いて歩いていると・・・。
ドンッ!
「わっ!」
「わおっ!」
誰かとぶつかった。
いたたた・・・あっ謝らないと・・・。
「あっえっと、ごめん・・・」
って・・・男で先輩!ああ、最悪だ・・・自分に苛立ってタメ口になってしまった・・・今からでもちゃんと誤ったほうが・・・。
「大丈夫・・・って何、そんなに痛かった!ごめん!どこか怪我してない?」
え・・・?なんで、私こんなに心配されてるの・・・?
「えっと・・・なんとも無いですよ・・・?」
そう言ったらその先輩が不思議そうに・・・。
「えっ?じゃあ何で泣いてるの?」
あ・・・そうゆうことか・・・ああ、恥ずかしい!この先輩、声大きいよ!周りの人たち、何事かと思ってみてるよー!
「いえ、大丈夫です!何でもないですから気にしないでください。すいませんでした!」
私はいそいでその場を離れ、教室の戻った。
「はあっはあっ・・・恥ずかしすぎる・・・」
「あっ舞、おかえり。大丈夫だった?どうしたの、そんなに息切らして!顔真っ赤だよ!何かあったの?」
美香が心配そうにそばに駆け寄ってきた。
美香は本当に優しいな。いつも私が困ってるときに助けてくれる。だから私は、美香に甘えちゃって、本音をぶちまけちゃうんだ。でも、私は何か美香の力になれてるのかな?美香は私に何でも話してくれてるのかな?・・・ううん、疑ったらダメだよね・・・私は美香を信じてるから。
「えっと・・・」
さっきにことを、美香に話した。
「そっか、たいへんだったね。でも、舞に大事がなくてよかったよ。それで、そのお方はどの様なお方だったのかね?」
美香が冗談交じりに言う。
「えっ、だから、人目を気にしないとんだ迷惑なひとだって」
「いや、そうじゃなくて外見だよ。」
「外見?あんまり見てなかったから、なんとなくだけど・・・背が結構高くて、髪が少し茶色っぽくて・・・えーと」
「あんな感じ?」
美香が扉のほうに指をさして言った。
「あっそうそう、あんな感じ・・・って」
「どうしたの舞?」
「・・・たぶん、あの人だ・・・」
あの雰囲気と、身長、髪色、それらを加えればたぶん・・・。
「・・・えー!舞、それ本当!かなりのイケメンだよ!てゆうか、あの人、今モテモテの、松本 海斗 だよ!」
「・・・誰それ・・・何でこんなところにいるの・・・?」
「知らないのー!あの人は―――」
美香が興奮気味に説明しようとしたときに・・・。
「姫野ちゃん、落し物だよ」
ななな、なんで、こんな近くにいる!そして、なぜ私の生徒手帳を持っている!
「そっその生徒手帳・・・っ」
「はい、どうぞ。さっきぶつかったときに落としちゃったみたいだね」
そう言って、その生徒手帳を渡してくれた。
「・・・あっありがとうございます・・・」
「はい、どういたしまして。姫野 舞 って可愛い名前だね」
「・・・はあ、どうも・・・」
うさんくさすぎる!何この王子様キャラ&チャラいの!まさかこの見た目と性格もかっこいいとか皆思ってんのかな?かっこいいの見た目だけだよ!私のタイプじゃないし、そこまでかっこいいとも思わないけど・・・。
最近の女子は見る目無いなあ。あれ?もしかして、こんなこと言っちゃったら・・・最近の女子は見る目が無い=自分は最近の女子ではない=古いってことになっちゃう感じ!?
「ふっ、どうしたの姫野ちゃん、そんな今まさに突っ込みいれてるような顔して?」
えっ!私顔に出てたの!?恥ずかしい・・・笑われてしまった・・・。
「なっ何でもないでしゅっ!」
あっバカッ、何かんじゃってんの私!
「あはは!姫野ちゃん面白いね」
あ・・・笑うんだ・・・いやいや、さっきからずっと笑ってるから。でも、今の笑いがちょっと本当だった気がする・・・って何乙女っぽいこと思ってるの!
『キーんコーンカーンコーン』
「おっと、そろそろ教室にもどらなくちゃ、じゃあね、姫野ちゃんまた来てもいいかな?」
嫌だね。絶対に嫌だ。断ってやろう。
「えっと、先輩・・・」
私が親切に優しく断ろうとしたとき・・・。
「はい、ぜひっ!」
他の女子たちに返事をされてしまった・・・。ちょっ・・・!何を言っちゃってるのこの子達はっ!?
「あーえっと・・・ってほんとに教室に戻らないと、じゃあね、バイバイ」
そう言うと先輩は教室を出た。
ちょっとー、今返事した女子さん方ー。先輩さりげなく返事に困ってましたよー。嫌がられたんじゃないですかね?まあ、なんてことは口が裂けても言いませんけど・・・。てか、怖くて言えない・・・。
「はあー・・・疲れたー・・・」
「・・・はは、大変だね」
美香が「よしよし」と頭をなでてくれた。
「やっぱり、どこがどうかっこいいのか、私にはまったく分からないよ」
私がそう言ったすぐあとに・・・。
「何言ってるの」
さっき勝手に返事をした女子の中の一人が口を挟んできた。
「へ?」
「あれはもう全てがかっこいいのよっ!見た目だけでも鼻血ふきそうなのに、あんな、王子様&ちょとチャラいみたいな・・・もう最高っ!」
そう興奮気味に言う。
え・・・鼻血ふきそうになるほどのイケメンかなぁ?しかも王子様&チャラいって最高の逆だよね・・・?嫌じゃない?というか、この子変態にしか見えない・・・。
そんなことを考えていたら、美香が私のほうを見ていた。
「どうしたの、美香?」
「舞ってさ、めっちゃ分かりやすいよね。今絶対、そうかなぁって思ったでしょ」
「へっ!」
私ってそんなに顔に出てたの!そういえば、あの松本先輩とやらにもそんな感じのこといわれたっけ?やだ、ちゃんと意識しておこう。
「ほら、今意識しておこうと思ったでしょ」
なっなっ何!美香ってば人の心読めるの!いや、私がこんなに顔に出すぎてるのか!もうどうしたらいいの!
「あはは、もう舞、そんなんじゃ心配だよ」
そう言いながら美香が笑い出した。
ちょっとムッとしたけど、なんとなく、私も笑いがこぼれた。
こうして、親友との仲もより深まり?松本先輩とやらのこと意外はうまくいきました。