第1話
ほぼ1年ぶりに書きます! そしてこれまでほとんど書いていないのでクオリティはあまり期待せずにお願いします。誤字脱字をしていたり同じ文章が繰り返されてておかしいなと思ったりしたときはどんどん報告してもらえると嬉しいです!
「ミリス! どこだ! 返事をしろ!」
「カイト! 熱っ! ここよ! こっちよ!」
俺は燃えている家の中へと入ってミリスの声がする方へ向かう。くそっ、きっと村の連中が火をつけやがったんだ!
炎の中を進むとミリスの姿が見えてきた。
「そこか! 今行くから待ってろ!」
「だめ! こっちに来たら戻れなくなっちゃう! せめてこの子だけでも⋯⋯受け止めて、カイト!」
そう言って風魔法で包んだローグ――俺たちの生まれたばかりの息子を投げてきた。
「でも! ミリスは!」
「私はいいから! 早く行って!」
「くっ⋯⋯すまない! ローグは必ず俺が守る!」
俺はミリスに背を向けて走り出す。すまない⋯⋯お前のことも俺が守ると誓ったのに⋯⋯
そんなふうに思いながら家の外に走っていると、あと少しというところで頭上から何かが降ってきて咄嗟にローグを庇った。
「ぐぁっ⋯⋯ああああっ!」
「おぎゃー!! おぎゃー!!」
今まで大人しく眠っていたローグが大声で泣き出した。よかった⋯⋯大きな怪我は無さそうだ。
頭上から降ってきたのは燃えた屋根の一部のようで、背中が燃えるように熱い⋯⋯実際、燃えているんだろう。このままローグを抱いていたらローグまで燃えてしまう⋯⋯
「ローグ、最後まで守ってやれなくてごめんな⋯⋯愛してる」
そう言って、俺は最後の力を振り絞って水魔法を発動させ、ローグを家の外まで押し流した。
すまない、ローグ。お前を置いて先に死んでしまう父親をどうか許してくれ⋯⋯どうか、幸せに、生きて⋯⋯
◇
「おい、悪魔憑き! 俺の代わりに風呂掃除してこいよ!」
「え、でも、今日の掃除当番はガイでしょ?」
「なんだ? 口答えすんのか? 気持ち悪い悪魔憑きに俺が仕事をやるって言ってんだよ。感謝しろよ」
「そうだぞ! 大人しく言うことを聞いていればいいんだ悪魔憑き!」
「そうだぞ! この悪魔憑きが!」
はぁ、今日もいじめられる。僕はローグ。5歳になった。みんな僕のことを『悪魔憑き』って左目を覆うようにある黒いあざを見て言うけど、本当に僕の中には悪魔がいる。それを知ってる人は居ないと思う。言ってないし。
『お? 今日もいじめられてるな。 いいぞ、もっとやれ〜お前ら〜』
うるさいな〜。こいつが僕の中にいる悪魔のルシファー。いっつも僕の嫌な気持ちを見つけると話しかけてくる面倒なやつだ。『俺は悪魔の王ルシファーだ! その体さっさとよこせ!』とか最初の方に言ってずっと失敗してるからうるさいな〜と思ってる。こんなやつでもどうやら強いらしい。
「何無視してんだよ! さっさと行ってこいよ!」
「「そうだそうだ!」」
あぁ、忘れてた。いつも僕に話しかけてきていろいろ言ってくるやつがガイ。いつも同調してるだけの子分がケンとトム。言うことを聞かないと殴られるから大人しくお風呂掃除しに行くか。
「ちょっと! ガイ! 掃除当番はガイなんだからガイが行きなさいよ!」
「げっ⋯⋯アリス」
「人の顔見て『げっ』って言うなんて失礼ね! ほら、行きなさいよ!」
「わかったよ⋯⋯お前ら、ついてこい」
「ええ!? 俺たちも!?」
「あたりまえだろ! ほら、行くぞ!」
「「そ、そんな〜」」
庇ってくれたのはアリス。この孤児院で唯一僕と仲良くしてくれる女の子だ。アリスはケンカも強くてあの3人でも勝てないらしい。3人がかりで、だ。あれでも同年代の男の子では強い方なんだけどな⋯⋯
「もう! いっつも言い返さないで言うこと聞いてる! 言い返していいんだよ!」
「一応言ってるつもりなんだけど⋯⋯僕はアリスみたいに強くないから言い返せないよ」
『お? じゃあ俺が代わりに言い返してやろうか? 俺は強いからな、口答えしてきたら実力で分からせてやるぜ』
やめてくれ。死人が出てしまうじゃないか。
「むぅ⋯⋯ローグの顔に生まれつきの痣があるだけで悪魔憑きなんかじゃないのに」
「あはは、しょうがないよ、うん⋯⋯」
うん、本当に悪魔憑きだから、こう言って庇ってくれるアリスになんか罪悪感が⋯⋯
「まぁ、あの3人を追い払ったし、あっちで一緒に遊びましょ!」
「うん!」
僕は外で遊んではいけないと院長先生に言われているからやることはあまりない。でもアリスと遊んでいるときは大体嫌なことも忘れられる。
『けっ⋯⋯こいつのせいでローグに黒い感情が溜まらなくていつまでもローグの体を操れないじゃねぇか⋯⋯つまんねぇの』
大国の元王女のやつも更新しようかなと思っております(思ってるだけで実現するかは別の話ですけど)。