表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/33

25

先にメイは図書館へ行き、勉強を始めた。その約30分後にアーサーがやってきた。アーサーはメイの隣に座り、自分の勉強を始めた。とりあえず、いつものように隣に座ってくれたことにメイは安堵する。しかしすぐに、彼は花祭りのことはなんとも思っていないからか、と気が付きまた傷ついた。

わからない問題があれば、メイはアーサーに尋ねた。アーサーは自分の勉強の手を止めて、すぐにメイの疑問に耳を傾けて、彼の中で問題を理解すると、いつものわかりやすい解説をしてくれた。メイは、余計なことは考えず、勉強に集中することにした。


夕方になり、図書館で勉強していた生徒たちがちらほらと帰宅しだした。メイとアーサーもキリのいいところでお互い手を止めて、一緒に帰ることにした。

図書館を出て宿舎へ2人で歩き出したとき、アーサーが口を開いた。


「明日もいつもの席で待ち合わせようか」


アーサーの申し出に、メイは、え、と漏れた声が裏返った。


「さ、さすがに悪いです。テスト前日なのに…」

「もう、大方範囲は終わっているから、構わない」

「…すごいですよね、アーサーさんって…」


1週間以上テスト直前に学校を休んで家の仕事をしていたのに、なぜ勉強が完璧に終わることができているのか、メイには不思議で仕方がなかった。


「それじゃあ、お言葉に甘えようかな…」

「ああ」

 

メイは、お世話になります、と頭を下げる。アーサーは、たいしたことじゃない、と返す。


「アーサーさんって、クラスメイトにも勉強教えてあげたりするんですか?」

「しないな。聞かれることがない」

「(聞きにくいんだろうな…)エドガーとか、ダニエルさんからも聞かれないんですか?」

「ダニエルは自分で解決できるから、人に聞く必要がないんだろう」 

「ダニエルさんって頭良いんだ…。でも言われてみたら、良さそう」

「エドガーは、勉強にそこまで熱心じゃないからな。それでも、成績は良いほうだな。あんなに授業中寝ているのに…」

「あはは、エドガーっぽい」

「あいつは、やればできる奴だからな」

「そうなんですね」

「何を考えているのかわからないが、根はいい奴だ」

「はあ(それをアーサーさんが言うんだ)」

「…」

「…」


メイは、アーサーの言葉に、ん?と疑問符が頭に飛ぶ。


「(やっぱり、私がエドガーを好きだと思われている…?)」


確かに、アーサーの前でエドガーに花を渡したから、そういう風に思われても仕方がないだろう。


「(もしかして、エドガーをとっとと好きになって、婚約解消したらいいのに、とか思われてたりする…?)」

「(明日は俺とではなくエドガーと勉強したらどうかと勧めるべきなのか?…その方が良いことは分かっているが、言い出せない…)」

「…」

「…」


何となく沈黙が重くなってきたのをメイは感じた。その時、アーサーがそうだ、と呟いた。


「すまない、寄りたいところがあるんだが、構わないかな」

「え?はい」

「すぐに終わる」


アーサーはそう言うと、宿舎とは違う方向へ歩き出した。メイは、それについていく。




アーサーの後をついていくと、メイは校内にある教会にたどり着いた。教会に入り、アーサーは十字架の前に行くと、自分の首元に手を入れて、シャツの中に入れていたらしいペンダントを取り出した。そして、祈りのポーズを取った。メイはアーサーの隣に立ち、一緒にお祈りをした。


数分間の祈りの後、アーサーは、すまなかったな、とメイに言った。メイは首を横に振った。


「それじゃあ帰ろうか」

「はい。…アーサーさんって、教会にお祈りするのって、日課なんですか?」

「そうだな。今日は実家から帰って慌ただしくて、足を向ける時間がなかったんだ」


アーサーは、ペンダントをシャツの中にしまいながら言った。メイは、そうなんですか、と返す。


「どんなことをいつもお祈りしてるんですか?」

「…」


アーサーは少し考えるように黙ってしまった。メイは慌てて、あの、言いたくなかったらいいんです、ごめんなさい変なこと聞いて、と言った。するとアーサーは、いや、と言った。


「もう、願いは叶ったんだ。だから、叶えてもらえたことの礼を伝えているんだ」

「…?」


メイはよくわからずに首を傾げる。アーサーは、少し気まずそうにメイから視線を反らしたあと、さあ帰ろうか、と言った。メイは、はい、と頷いた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ