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「日下部さんは自分の将来の夢、なにか考えてるの?」と時計を見てから小唄は言った。
道子は小唄と同じように一度柱時計を見てから小唄を見る。
「将来の夢、もちろんあるよ。私の将来の夢、白川くん。なんだかわかる?」
とふふっと笑って(とても楽しそうな顔をして)道子は言った。
小唄は少し考えてから「わからない」と自分の正直な気持ちを道子に言った。
「適当でもいいから、当ててみて」
お茶をひと口だけ飲んでからにっこりと笑って道子は言う。
小唄はまた、少しだけ考えてから「先生かな?」と道子の目を見ながら言った。道子は視線を少しも外さずにずっとさっきから小唄の目をじっと見つめていた。(まるで本当のなにかの試験でも受けているみたいだった)
「はずれ」と楽しそうな声で道子は言った。