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小唄は「どうぞ。体、あったまるよ」と言って道子が煎れてくれた温かいお茶を飲んだ。
そのお茶は、とても美味しかった。(それに体も確かに温まった)
突然の大雨はまだ降り続いている。
それから二人はなにを話すでもなく、お互いに相手のことを見つめあった。
「白川くんのお家は、確か神社だったよね」
道子はいった。
道子の言う通り、確かに小唄の家は神社だった。
白川神社という古い時代に建てられた神社の家系に小唄は生まれた。
「うん。そうだよ」
道子を見て、小唄はいった。
道子は客間の明かりをなぜかつけなかったから、薄い暗闇の向こう側に道子は見えた。
道子の白い顔はその薄い暗闇の中にぼんやりと浮かんでいるように見えた。