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「どうぞ。遠慮しないで入って」

 とても立派な日本庭園の庭を抜けて、二人は道の家の玄関に入った。

 道子の家はとても立派な家だった。

 玄関は広くて、床はよく掃除がされていて、とても綺麗に光り輝いていた。でも、外から見たときと同じで、家の中に明かりはどこも灯っていなくて、なぜかとても寂しい雰囲気を小唄は感じた。

「お邪魔します」そう言って小唄は道子の家に靴を脱いで上がった。

 綺麗な床の上には小唄の濡れた足跡が残った。

 小唄がお邪魔をしたのは、庭の見える障子と畳のある大きな客間だった。

 畳が濡れてしまうかも、と思って開いた襖のところで遠慮している小唄に向かって道子は「別にそのくらい平気だよ」といって小唄の手を引いて一緒に客間の中に入ると、小唄に座布団を用意してくれた。

「ありがとう」

 といって、小唄はそこに座った。

 それから道子は「ちょっと待ってて。今、タオル持ってくるから」といって、一度、客間からいなくなった。

 一人になった小唄はその間、開いた障子の外側に見える雨降りの庭の風景を見つめていた。

 そこからは門からはみ出して見えた松の木がよく見えた。その松の木はもう随分と長い年月を生きてきたように見える、松の木だった。

「お待たせ」

 そう言って道子は真っ白なタオルを持って客間に戻ってきた。

「どうもありがとう」そう言ってから、その真っ白なタオルで小唄は雨に濡れた顔や髪を拭いた。

「着替えとかあるけど、着替える? それともお風呂に入る?」大きな木のテーブルの小唄のちょうど反対側に自分用の座布団を引いて座ってから、道子は言う。

「そこまで迷惑はかけられないよ。少ししたら、家に帰る」柱にかかっている時計を見て、小唄は言う。

「ふーん。そっか」

 と、すごくつまらなそうな顔をして、背伸びをしながら道子はいった。

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