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銭形平次
おいらは神田明神下に住まいする岡っ引きだ。
おいらを支えてくれるのは恋女房のお静と下っ引きの八五郎だ。
三ノ輪の万七はおいらと手柄争いをする中だが、嫌いではない。曲がったことが大嫌いな男なのだ。だが、彼はいつも見当外れな推理をして無実の人間をしょっぴいてくる。困ったもんだ。
武器は投げ銭。犯人を捕まえるべく投げる銭は百発百中。
本来、おいらは平和を好んで、お静とまったりしていたいのだが、それを破るのは八五郎のいつもの声だ。
「親分!大変、大変、大変っ!」
銭形平次は野村胡堂による小説内の人物であり、架空の人物です。
作者の野村胡堂は、文藝春秋から「岡本綺堂の半七捕物帳のようなものを」と依頼され、構想を練った。そのとき、たまたま建設現場で見かけた錢高組の看板と社章から「銭形」の名前と投げ銭を思いついたといいます。