矛盾点
「ロイ様…起きてください…」
メイが起こしてくれて目が覚めた、女の子に起こされたことなんてないから少しドキドキする。
一応僕は前世で22歳だったから、メイにとってロイはまだ子供かもしれないけど朝部屋に入ってくるのは辞めていただきたい。
「メイ、僕はこれでも16歳なんだこれからは一人で起きるよ」
「何言ってるんですか、ロイ様はそう言って一人で起きたことありませんよね」
メイが、そんなことより早く支度してくださいよ~と僕をせかす。
ニコッとほほ笑む顔が可愛らしい、メイはとても可愛らしく整った顔をしている。
僕はメイに見とれてし合っていた。
ゲーム内で顔は出てこなかったし、昨日も焦ってよく見てなかったけどこれはもしかしたら
ヒロインのフローラ姫に匹敵する可愛さのではないかと思ってしまった。
見とれている暇なんてない、時間を見るとかなりぎりぎりだったので僕は朝食を食べすぐに学校に向かった。
ロイは友達がいない、いつも付き添ってくれたメイもいない、急に不安になってきたけど
僕は意を決して教室に入る。
教室には、このゲームの主人公アレックス、そしてヒロインのフローラ姫、勇者になる主人公と同じパーティーに入る同級生、物語で出てくる色々な人物がいた。
その中でも主人公アレックスは、僕が住んでる国の隣国の王族なだけあってオーラが違う。
そしてまだ入学式も始まっていないのに人に囲まれすごい人気だ。
「入学式が始まりますので新入生の方は校庭にお集まりください。」
校内アナウンスが突如に聞こえて、皆ぞろぞろと校庭に向かう
僕の周りには誰か集まるどころか、距離を取ったりこそこそ僕を見て話す声が聞こえる
これに耐えてきたロイはほんとにすごい精神力だなと思った。
校舎ではなく校庭に呼び出されたのは、この学校の第一イベントで入学式と呼ばれているが本当は
魔力測定会だ、魔力測定会とは先生が生徒の才能やステイタスを見極めるために最初に行われる行事である
確かそこで主人公アレックスは人より優れたステイタスと才能を見せ学校中の注目の的となる。
ゲームではこのイベントでフローラ姫がアレックスに話しかけ恋がスタートする。
【幸せの王国】と言うゲームは基本は戦闘ゲームだが、恋愛要素も織り交ぜた所で人気に拍車がかかった。
基本的なプレイヤーはフローラ姫と付き合い、ロイがフローラ姫を刺してしまうエンドになる人が9割だが
フローラ姫と付き合わないというルートもある
その場合でも、ロイはフローラ姫に振られフローラ姫を刺してしまう。
付き合わないルートでもアレックスは正義感が強いのでフローラ姫を生き返らせて、二人は友情エンドそしてロイは処刑される。
まずロイが死ぬのはどのルートをたどってもフローラ姫を刺してしまうからである。
でも不思議で仕方ない、だってもし僕意外にもロイに転生させてる人が居るのならこんな嫉妬で刺してしまうサイコパスな奴らばっかりだったと言うことになる。
それに神様が言うバットエンドにならないということは、ロイが死なない道を選べと言うことなのか
それともこの物語に隠された真のエンドを迎えろと言うことなのか。
考えても結論は出ないのでとりあえず僕はこの魔力測定会でフローラ姫とアレックスを出合わせない様に
見張ろうと思った。
確か、全ての測定が終わった後フローラ姫がアレックスに話しかけに行くその時にどちらかに話しかけ
出会いイベントを邪魔する。同じクラスだからこれから先二人が話さなくするのは無理だろうけど
出会いイベントを延期させることによって運命が少しでも変わるかもしれないという希望にかけることにした。
魔力測定会が始まり、やっぱりダントツだったのはアレックスだった。
アレックスの特殊スキルは火炎、炎を自由自在に操る魔法が使える
そして見た目もそのままで赤と黄色が入り混じった髪色に赤色の目、そしてやっぱり美形である。
アレックスと僕は相反している、僕の魔王高位と言う特殊スキルは、属性で言うと闇属性で
大ざっぱに言ってしまうと魔王が出来そうなことを魔王以上のパワーで出来てしまうというスキルで
昨日見たステイタス表の備考欄に書いてあった。
アレックスは火属性、光属性ほどではないが僕との相性は悪い。
そしてフローラ姫はゲーム内で珍しい無属性だ、だからフローラ姫には特殊スキルはない。
しいて言うなら誰もが使える普通の魔法をそれ以上に強化して使える、そのような感じだった。
フローラ姫はキラキラした目でアレックスに駆け寄る、きっとアレックスの才能の凄さに惚れてしまったのだろう。恋する乙女のようにキラキラ輝いてるフローラ姫はとても美しかった
ピンク色の目と髪色、白い肌、天使のように美しい顔立ちでこれはロイが狂うように惚れても仕方ないなとも思ってしまう美貌だった。
メイも綺麗な方だけど、本物のフローラ姫はオーラが違う、僕は魅了されないようにしないとなと思った