閑話─現人神─
更新遅くなりました(-_-;)
沢山のブックマーク、評価、有難うございますヽ(*´∀`*)ノ
花粉症ツライ(っ*>з<)っ・:∴
─?side─
コクミック王国の国王達が帰国する日、再び姿を見せた冒険者一行。
カイトは子供二人を抱き上げている。
細身で力があるようには見えないのに……現人神というのが関係しているのだろうか?
だが、彼の滞在中、消されたのは私が把握しているだけで十数名。
その間、彼の奴隷達に行ったような奇跡は起こされていない。
……奇跡を起こす価値がないと判断したのだろうか?
それとも、奇跡の執行には何かしらの条件でもあるのだろうか?
「変わった服を着せているのだな。」
コクミック王国国王の言葉通り、抱えられている子供達の着ている服には、背中部分に大きめの飾りが付いている。
……布で作られた翼、だろうか?
神の遣いの背にある翼を真似ているのだろうが、不敬ではないのか?
……現人神だからこそ出来る事なのだろうか?
「可愛いだろう?俺にとって、二人は“癒し”だからな。俺なんかより余程『天使』が似合う。」
「…………」
「…………」
「……………………」
シン……と静まり返った。
それはどういう意味だ?
「兄さんの本物の翼、綺麗だった!」
「おにいちゃんは、いちばんにあうよ!」
「そうか?」
「おそろい、うれしい!」
「眩しかっただろう?神格が上がっているから、普通の天使の姿になれなかったし。」
子供達と話している内容に、耳を疑うばかり。
(“神格”が上がっている!?普通の天使の姿になれないという事は、どんな姿になったんだ?)
内容的に、子供達はその姿を見たらしい。
つまり、現人神という噂は本当だったという事だ。
教皇という立場でなくても、一目で良いから拝見したいと思う。
……見せて頂く事は出来ないだろうか?
そんな風に思ったのは、コクミック王国の国王も同じだったようだ。
「その姿を余も見る事は可能だろうか?」
「は?見てどうなる?天使の姿になったところで、俺は何もしないぞ?」
相手が国王であっても慇懃無礼。
子供達に向けていた表情も消え、声も冷たく感じる。
護衛として同行したが、コクミック王国に属した訳ではないという事なのだろうか?
「おにいちゃんと、ソフィアと、シスにいと、みんなでおそろい!?かぞくでいっしょ、うれしいね!」
だけど嬉しそうに黒猫族の子供が口にした途端、彼の雰囲気がガラリと優しくなった。
次の瞬間に起こった彼の変化は、一生忘れる事はないだろう。
濃藍色のローブや中に着ていたらしき薄手の防具などが、一瞬のうちに別の服に変わった。
白を基調とした教皇である私の法衣に似た服に、額に眩いドロップ型の黄色い宝石のついた飾りが。
彼の全身から突如として発せられた光は、直視出来ない程神々しい。
それなのに目を逸らせずに凝視してしまう。
頭上に浮かぶ金の輪に、バサッ……と音と共に広がった三対の白色の翼。
(……三対!?六枚翼の存在自体、架空だと言われていたのに……!)
神の遣いの翼は、一対の二枚翼しかいないとされていたが……これは覆ったという事だろうか?
神らしき彼だからこその姿なのだろうか?
「この姿になった俺は、眩しくないか?」
「ソフィア、へいき。」
「優しい光だから眩しくないよ。」
彼の腕に抱えられている子供達も、強い光なから“眩しい”とは思わないようだ。
気付けば私は、彼に対して祈りを捧げていた。
周りも同じように手を組み、跪いて祈りを捧げている。
それは彼の背後にいた奴隷達も。
彼に抱き上げられている子供達と、従魔2体だけが跪いていない。
「家族三人でお揃いだな。」
「おそろい!」
だが、彼はそんな周りの様子を気にする素振りも見せず、子供達と会話をしている。
(……そういえば、私達に神としての姿を見せるのは、何やら規制がある為に出来ないと仰っていたな……)
それはつまり、彼が神であると認めた事になる。
そんな彼が大切にしている“黒猫族の子供”と“固有能力が使えない白狐族の少年”……
どちらも、暴力を振るわれる立場だっただろう。
特に黒猫族は縁起が悪いとされていて、見つけ次第、殺していた時期もある。
神が大切にしている存在を、私達この世界の住人達は忌避してきた。
彼等へ暴力を振るっても、咎められるような法はない。
そんな現場を目撃したとて、“見て見ぬふり”というのが現状。
……だからなのか?
だから私達は、神の奇跡に立ち会えないのか?
この世界の神ではないと言っていた彼が、この世界の神がこの世界を放棄した可能性を示唆した彼が、成り代わって神として君臨する事はないのだろうか?
その可能性は皆無……?
彼の視界にすら入れて貰えない私達は、どうすれば良いのだろう?
……これから黒猫族を見つけて保護すれば、何か変わるだろうか?
──今のままでは納得が出来ない。
“教皇”という立場にいる私が、神に見捨てられたと認める訳にはいかない。
神に見えないものとして扱われるなんて、認められない。
神に見捨てられた世界なのだとしたら、私達は今までいったい“誰に”祈りを捧げていたというのだ?
“この世界はクズが多い”と口にされていたが、光があれば闇があるのは当然ではなかろうか?
「神よ。黒猫族を保護すれば、この世界を放棄された主に成り代わって頂けるのですか?」
思わず口をついた言葉に向けられた眼は、ひどく冷たいものだった。
「は?何で俺が、こんな腐った世界を見守らなきゃいけない?この世界の神になったとしても、直接手を出せなくなるから意味はないし。神の奇跡は、勇者や聖女がいなければ使えない。教皇なのに、そんな事も知らないのか?」
教皇であれば、知っていて当然と言いたげに。
(そんな話、前任の教皇から聞いた事もない!!)
現在残っている文献にも、そのような記述は見覚えがない。
勇者や聖女は、魔王復活の際に現れるとされている。
“勇者として”“聖女として”生まれる訳ではないらしく、魔王復活に合わせて力が覚醒される。
……私が知っているのはそれ位。
彼は神だからこそ知っていたという事だろうか?
「おにいちゃん、かみさまになるの?」
「この世界の神様を、兄さんは知っているの?」
「神としてこの世界を管理するってなれば、俺はこの世界にいられなくなるからな。誰もいない、何もない所で世界の管理なんて、退屈過ぎる。それにこんな腐りきった世界の管理を任されるだなんて、俺には無理だな。破壊して、一から創った方が早い。……俺は他の神に会った事はないな。俺がこの世界に飛ばされたって事は、記憶にはないが、神に会っている可能性もあるのかも知れないが。」
子供達へ向けられる目は、私へ向けられたものとは違い過ぎる。
何だか凄い事を仰っているようだが……誰も何も言わない。
(破壊して一から創る……?)
神だからこそ為せる業なのだろうが、それはつまり、この世界が終焉を迎えるという事だ。
そんなにも簡単に命を消せるものなのか?
神にとって、生き物とはどういう風に写っているのだろう?
……どの神も同じ考えなのだろうか?
それとも彼だけ?
“世界の管理”には、生き物の生死の関与は含まれていないのだろうか?
「勇者も聖女もいない時期、神の言葉を聞くのは“巫女”の役目だ。普通は代々巫女を担う一族がいるものだが、この世界にはいないようだしな。神の意思を伝えられない世界なんて、神から見放されたって仕方がない。どうせ歴史の中で巫女の一族を殺したのだろう。現状は自業自得だ。」
彼の言葉に、思い当たる歴史があった。
確かに遠い昔、神の言葉を聞く事が出来る巫女の一族がいたとされている。
だが、大きな権力のあったその一族は、当時の教皇勢力への謀叛により一族郎党処刑されたと伝わっている。
権力を持ち、増長しだしたのだろう一族を、受け入れていれば良かったというのだろうか?
愚かな次世代が生まれる事は、長い歴史の中でも多々ある。
……それとも、残されている記述は間違っているのだろうか?
歴史は当時の権力者によって歪められる事もあるだろう。
当時の教皇が、権力を持ったその一族を疎まなかった……とは断言出来ない。
もしそうだったなら、とんだ間違いを犯した事となる。
神の言葉を聞ける者は、その事件以来現れていないと言われている。
彼の言葉がどれだけ本当なのかは分からないが、文献に残されていない以上、私達にはどうする事も出来ない。
……彼をこの世界の神として崇めたら、この世界は終わるというのは確実性が高いが。
私達はこれから、どのように過ごせば良いのだろう?
……巫女を探すしかないのだろうか?
─?(教皇)sideエンド─




