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可愛い弟妹

長い間更新が滞ってしまいました。

来年も暫くは更新が遅いと思います。

ご了承下さい。



再びコクミック王国、フォールの街に戻ってきた。


直接家の上空まで移動して貰い、俺達は門前に転移。


ソドムは小さくなって、俺の頭の上へ。


(あ、そういや、二人が何か買うか聞いていたんだった。)


二人が話す前に邪魔が入ったから、きちんと聞いていなかった。


「どうする?このまま買い物に行くか?それとも、使わないで貯めておくか?」


二人のお金なんだから、どちらを選んでも構わない。


俺が与えられる物ならあげても良いが、自分で金を貯めて買うという事がしたいなら、止める理由もない。


人から与えられた物と、自分で苦労して手に入れた物なら、思い入れが違うのは当然だ。


……今のところ、二人は俺が与えた物を凄く大切にしているけど。


畑作業用の服に土が付いた時、泣きそうな顔をしていたくらいだ。


汚れても良い服だって説明していたんだけど、二人にとってはそう思えなかったようで。


そんな事があった為、二人が初めて覚える魔法は清浄になりそうだ。


普通はイメージしやすい火か光の生活魔法を最初に覚えるんだけどな。


二人の強い希望だから、無下にはできない。




「…………」

「…………」


「ん?どうした?」


二人で顔を見合わせているけど……


困惑している様子。


……俺に秘密にしたいって事か?


二人の性格的に、危険な事はしないと思うが……


「危険な事をしないって約束出来るなら、俺に秘密でも良いぞ?その代わり、家の外に出るなら護衛の二人を連れていくのが条件だけどな。」


俺だって子供の頃、僅かな小遣いを手に、親に内緒で行動していた事もある。


大抵が両親へのプレゼントを買いに行ったり、黙って拾った犬や猫の世話などが、そういう行動の理由だったけど。


護衛の二人を連れていく条件は、譲るつもりはない。


二人には魔道具を渡しているけど、万全という訳ではない。


確かに物理攻撃、魔法攻撃、スキル攻撃、状態異常も弾くが、それだけ。


暴言や態度による精神的攻撃には何の防御力もない。


それに、NPC最強のカルロスがレベル58しかないとはいえ、それ以上のレベルを持つ奴がいないとも限らない。


俺と同等の奴等がいないとも限らないのだから、あの二人をつけたところで意味はないかも知れないが。


今のところそういう奴等の噂を聞かないが、俺とは違い、力を隠して生活している可能性もある。


警戒していて損はないだろう。




「何かあれば直ぐに俺を呼ぶように。何処にいようとも駆けつけるから。外へ行く時は、一応あの二人にも俺と通信が出来る物を持たせるが、緊急時には遠慮せず、俺を呼べば良い。まだお金を稼ぎたいなら、今日のように薬草摘みをして買い取りして貰えば良い。」


二人にはある程度生活出来るだけの金を持たせているが、自分で稼いだ金とは違う。


俺としては勝手に使って良いと渡してあるけど、二人は一向に使わないんだよな。


“これが欲しい”とか物をねだる事もないし、もう少し我儘を言っても構わないんだけど。


今のところ、俺が勝手に与えているだけだからな。


食べたい物を口にするようになったものの、それだけ。


でもそれは我儘じゃなく、要望を口にしているだけ。


そんな些末な事を口にするだけでも、二人はまだ少し怖がっている。


──もしかしたら、俺に嫌われるんじゃないか、と。


言う事をコロコロ変えたりするならともかく、そんな事くらいで嫌いになる訳がないのに。


我儘から程遠いこの二人を嫌いになる要素などないのに。




「…………いいの?」


「二人の事は俺が引き取ったと街の連中は知っている。まだ暴言を吐く奴等はいるだろうが、アレックスとマイクと一緒なら少しはマシだろう。何かあったら俺も駆けつけるしな。」


街の奴等の攻撃は魔道具で弾くんだから、それ程心配していない。


俺が心配しているのは、心の方。


でも、俺と離れて行動したいと初めて口にした事を尊重したい。


何にしても、二人が俺と離れて行動出来るようになるのは、喜ばしい事なのだから。


取り敢えず、いつまでも門前にいたってしょうがない。


門をくぐると庭で鍛練中だった様子の二人が俺へ目礼してきたから、そのまま呼びつける。


子供二人が一緒にいる時、俺が呼ばない限り、無闇に近寄るなと言ってあるからな。


呼ばなきゃコイツらは近寄って来ない。


普段近付いてくるのはニアとマリーだけ。


この二人だけは使用人用の建物以外に、家の中に入る許可を出している。


少しずつ人に慣らす為に。




「「お呼びでしょうか、御主人様。」」


俺の前まで来ると、サッと跪く二人。


この二人は毎回これだ。


他の奴隷達には今のところ用がないし、顔を合わせる機会は少ないが、それでも大袈裟な程畏まる。


(今まで練習用の剣を与えていたけど、ソフィアとシスの護衛として外に出すなら、それなりの剣を与えておかないとな。)


現在渡している剣は、武具屋で買うよりは少し頑丈って位のもの。


冒険者をしていたマイクはともかく、騎士団長をしていたアレックスはもっと良い剣を持っていた事だろう。


……いや、マイクもBランクの冒険者だったみたいだし、それなりの剣を持っていたかも知れない。


大剣使いだったようだし、弱い武器だとすぐ壊れただろうから。


「二人が外へ行く際、護衛としてついていってくれ。近寄る羽虫は始末しろ。」


「「御意!」」


「それと、いつまでも鍛練用の武器では護衛もままならないだろう?新たな武器を渡しておく。」


二人に渡している武器は、ゲーム内で大量生産されていた剣。


俺が今から渡す武器は、俺が鍛冶師の時に作ったもの。


「アレックスにはこれだ。」


アダマンタイトとオリハルコンの合金のロングソードと、純ミスリルのショートソード。


アレックスは大剣も使えるようだけど、やはり使い慣れているロングソードやショートソードが使い易いらしい。


「マイクはこれだ。」


アダマンタイトとヒヒイロカネの合金の大剣と、大立ち回りが出来ない場所用のソード。


マイクは銀狼族だから鉤爪でも用意しようかと思っていたけど、剣を振るうには邪魔になる。


だから結局武器は剣だけにした。


合金の剣を渡したのは、純アダマンタイトの剣は重過ぎて、振り回すには不便だから。


「防具も用意したから、外へ行く際は使え。門番として来客と接する際に着ておきたかったら、毎日着けていても構わないが……手入れは怠るなよ?」


有事の際に使えないようでは意味がない。


二人に渡す防具も武器も沢山持っている為、いくらでも渡せるけど、渡した物をぞんざいに扱うような事をされると流石に腹が立つ。


奴隷達は俺に恩義を感じているようだけど、俺は特に何とも思っていない。


つまり、切り捨てようと思えば直ぐに出来る。


今の俺は、ソフィアとシス以外の人達に対して、護ってやりたいと思わない。


親しくなりたいとも思わない。




「「有り難く拝受致します。」」


二人に渡した防具は、オリハルコン製。


アダマンタイトとは違い、軽くて丈夫だから、防具に適している。


……アダマンタイトと比べ、オリハルコンは数倍の価値があるけど。


武具屋を覗いた時、アダマンタイトの合金の物はあったけど、オリハルコン含有の物は一つもなかった。


この世界では超稀少な金属なのか……あるいは皆無なのかなのだろう。


防具を持ち上げた二人の驚愕を見れば、自ずと理解出来る。


「二人が外に出る際、頼んだぞ。」


「「御意!!」」


いい大人が、玩具を与えられた子供みたいなキラキラした瞳を向けてくる。


二人共バトルジャンキーの気があるからな。


武具を与えられたのが余程嬉しいのだろう。


……今度、ダンジョンにでも連れて行こうか?


現時点で、二人が戦う機会は略々ないからな。


その場合、子供二人を連れて俺も行く事になりそうだから、普通の奴等の戦い方を見る機会に丁度良いだろう。


将来的に戦い方を教えるつもりだから、見るのも二人の為になると思う。


俺の戦い方は一撃で終わってしまうからな。


……先ずは二人に護衛をつけて外出させ、その間、俺は遠視でその様子を見守る事とするか。


──過保護?


──兄バカ?


何とでも言えば良い。

皆様、良いお年を!

来年も宜しくお願い致します。

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