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無駄だった

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仲裁に入られると、鬱陶しくてもういいやってなるのは俺だけだろうか?


クソ女はカルロスに任せ、もう用事のない俺は二人を抱き上げたまま、ギルドを出る事にした。


「二人は、そのお金で何か買うか?」


初めて稼いだ金の使い道は、結構覚えているものだと聞く。


俺は欲しかった鞄を買った事を、きっとずっと覚えているだろう。


……この世界は日本ではないんだから、考え方は少し違うかもしれないけど。


「えっとね、──」

「そこの冒険者、待ちなさい!クレア様のお話は終わっていませんよ!」


ソフィアの言葉を遮って発されて言葉が、背後から飛んで来た。


女の後ろにいた従者の女だ。


性格がきつそうな顔。


クソ女と言い合いをしていた時、ずっと俺を睨んでいた女。


カルロスが凄い形相でその女を見ている。


……当たり前だろう。


せっかく俺が手を出す事なくこの場を去ろうとしていたのに、カルロスの行いをこの女が無駄にした。




「──選べ。此処でお前ら二人が死ぬか、目の前でコンファレンスという国が消えるのを見るか……お前らの選択肢は、この2つだけだ。」


俺とはもう関わりのない事だと判断したっていうのに、それをコイツが覆した。


もう猶予を与える必要はないだろう。


カルロスが諦め顔をしている。


カルロスが誰の為に仲裁に入ったのか、この二人は気付きもしなかったようだ。


「一介の冒険者が、何様のつもり!?私に命じる事が出来ると思わないでちょうだい!」


「俺が王族の力という微力でしかないものに屈するとでも思っているのか?俺が冒険者になったのは手っ取り早く身分証を手に入れられるからだ。緊急依頼以外、ある程度自由だしな。」


それ以外に冒険者になった事によるメリット?


ランクが早く上がった為に、あくせく働かなくて良いところだろうか?


本来低いランクから始まるから、何度も依頼を達成しなきゃいけなかったし。


「お前らこそ、いつまで俺に対して傲慢でいるつもりだ?俺の力が嘘だと思うのなら、コンファレンス国の総力をもって俺を攻撃してみろよ。……完膚なきまで叩きのめしてやる。」


流石にここまで言えば恐怖を感じたのか、二人は言葉に詰まった。


だけど──


「私は第二王女よ!?王族に生まれた私には、神の御加護があるんだから!罰せられるのは貴方よ!!神の裁きが落ちるわ!」


馬鹿がバカな事を口走った。


「クックックッ……」


笑いが止まらないとはこの事だ。


「な、何が可笑しいのよ?」


「そうです。きちんと説明しなさい!」


王女は恐々と、従者は態度を崩さず口を開く。


「“神の裁き”が俺に落ちる訳がないだろう?神官や司祭が神の名を騙って行う『神の裁き』と一緒にしてくれるなよ?俺は“裁きを与える側”だ。……たかだか一人の人族に、レベル312の聖獣が従うとでも思っているのか?ずっと聖獣2体を召喚し続けられると思っているのか?」


「レベル312!?」


驚愕の声をあげたのは、二人の一番近くにいたカルロス。


ゲームでは、使い魔もレベル100までしか上げられなかった。


全体的に弱くなっているこの世界でも、歴史上使い魔はそんなにレベルの高いものではないのだろう。


聖獣という事で、カルロスはソドム達をレベル100近くだとでも思っていたのかもしれない。


だからこそ驚愕の声をあげたのだろう。




『言って良かったのか?主は周りに知られたくなかったのではないのか?』


頭上からソドムが声を掛けてくるが、それは考え過ぎというものだ。


「俺は特に気にしていない。ソドムやグラニを召喚している時点で、疑われると思っていたくらいだからな。」


一時的に召喚するだけなら大して疑惑を持たれる事はなかっただろうが、ずっと召喚したままにしている。


普通なら有り得ない事だ。


この世界に召喚士がいないから知らないといえど、考えなくても分かりそうなものだろうに。


「召喚士は通常、召喚時に莫大な魔力を消費する。それによって聖獣や魔獣が一時的に力を貸す。送り込む魔力や召喚相手によって滞在時間は変わるといえど、ずっと召喚したままでいられる訳がない。それが出来るのは、もはや人ではない。……それくらい、気付けるだろうと思っていたけどな。」


ソフィアを引き取ると決めた時から、力を隠すのは止めた。


それでも、全力は出した事がない。


何故俺がこんな有り得ないステータスをもってこの世界に送り込まれたのか分からないけど、力はあるに超した事はないし。


人外判定されようが、どうでも良い。


あれからステータスを良く調べてみたけど、どうやら俺は不老不死みたいなんだよな。


神のジョブを持っているから、そうなんじゃないかと薄々は感付いていたんだけど。




「……で?そんな俺に、誰が神罰を与えるって?神はお前ら如きの願いなど聞き届ける訳がない。奴隷だろうが、王族だろうが、等しく“有象無象”でしかないからな。立場に胡座をかき、傲慢に悪政を強いるなら、それこそ天罰が落ちるぞ?……なんなら、俺が天罰を落としてやっても良いが?神としての力を此処で使うのは色々と規制があるが、やりようは幾らでもあるからな。」


「う、嘘よ、そんなの!神を名乗るなんて、不敬極まりないわ!!」


「カイトは現人神なのか!?」


声を荒げる王女に、その言葉に頷いている従者。


カルロスは純粋に驚いているだけのようだ。


だけど、納得したような顔。


俺の力がそれ程逸脱していると理解していたからだろう。


「お前ら如きに信じて欲しいなどと思ってもいない。お前らの感情など、俺には関係がない。関心すらない。俺にとってウザい奴だから排除するまで。……お前らのようなクズ二匹の為に、コンファレンス国を滅ぼすのは流石に可哀想か。やはりお前らが死ね。」


この女が王族だからとはいえ、国に連帯責任をふっかけるのは暴挙になるだろう。


国へ報告もしていないし。


国にいる人達が、俺達に何かした訳でもないし。




「さて……そろそろ死ぬ覚悟は出来たか?まさか自分達が助かりたいが為に、母国を売らないよな?」


自分達二人の命と、コンファレンスにいる沢山の命なんて、普通なら比べるまでもないだろう。


王族だというのなら、民を護る義務がある位だ。


潔く自分の首を差し出すものだ。


……そう、常識ある王族ならば──


「どうして私が死ななきゃいけないのよ?私は何も悪い事などしていないわ!死ぬのは貴方よ!!」


「そうです。冒険者風情が、クレア様の御尊顔を拝謁する事すら烏滸がましいというのに……!」


コイツらはみっともなく命乞いをするならとこかく、更に傲慢をかましてきた。


(これは駄目だな。)


俺が言った事を、何も信じていないのだろう。


今まで口にしなかったステータスに関する事を言ってやったのに……


呆れて溜め息が出る。


「カイト、此処で殺るのは止めてくれないか?コンファレンスの第二王女がコクミック王国に来ているのは、他国も知っている。同盟国を交えての戦争になってしまう!」


焦った様子で声を掛けてくるカルロス。


“此処で殺るのは止めてくれ”って、国を出たら良いと言っているのと同じだと気付いているんだろうか?


「……じゃあ、コンファレンス国の前でこのクズ共を殺ろうかな?それならこの国に戦火が及ばないでしょう?ソドム、コンファレンス国まで乗せていってくれ。あれらは俺が運ぶから、ソドムは心配しなくて良いぞ?」


『了解した。』


“あれら”というのは勿論、クズ二匹の事だ。


ソドムの背に乗せる価値など皆無。


ソドムのスピードで空を飛ぶなら、普通の人族は呼吸出来ずに死ぬだろうから、防壁を張る必要がある。


それだけは施してやるんだから、後は知らない。


洩らされでもしたら汚いし。




「先に上空にいてくれ。後で転移して背に向かう。……ほら、行くぞ、クズ共。」


二匹を一纏めに魔力で捕縛し、引き摺っていく。


さながら、鎖で繋がれた罪人のようだな。


後ろで喧しく喚いているけど、無視。


俺が気にしてやる義務はない。


「出番はなさそうだが、グラニも来るか?」


今回、ソドムをコンファレンスへ行く足にするってだけで、戦力には加えていない。


二人だけにしろ、国ごとにしろ、俺だけで充分。


元々過剰戦力だからな。


『儂は先に戻り、お主がコンファレンスという国へ向かう事を報告してこよう。』


「そうか。頼むな。」


グラニが空の旅を苦手としている事くらい知っている。


そんな事をわざわざ口に出したりしない。


ペガサスも一応喚べるけど、空を飛ぶならソドムだけで充分過ぎるし、今後召喚する事はないだろう。


後、喚ぶとしたらワンコ枠だな。


フェンリルは……プライドの高い狼だし、やっぱりケルベロスの方が忠犬で好ましい。


でも、ゲームでは召喚獣と共にいる時間は短かったし、大まかな性格くらいしか把握していない。


それで考えると、ソドムが人族の生活や食べ物に興味がある事や、グラニが子供のように思いっきり走るのが好きだったりなど、知らなかった事ばかり。


ゲームでは、ソドムは戦闘に参加するというより、知識を求めて喚ぶ事の方が多かったし、グラニは軍馬として戦場を駆ける時に喚んでいた。


たかだか数分程度の召喚で、相手の全てを知る事など不可能なのは理解しているけど……新たな事を知るたび、新鮮だ。




「二人は一緒に来るだろう?買い物したいなら帰ってからな。」


「ん。ソフィア、おにいちゃんといっしょ、いく!」


「うん。……早く留守番出来るように頑張るね。」


ギルドから出ながら二人に声をかけ──だけど、シスの言葉に足を止めた。


「……馬鹿だなぁ。そんなに焦らなくて良いよ。シスはこれから先もずっと、俺の弟なんだから。一応、成人したら自立するようにとは言っているけど、だからといって他人に戻れと言っている訳じゃない。シスが望むなら、成人後も一緒に暮らしたって良いんだから。」


「……家、出なくても良いの!?」


余程懸念だったのか、食い付きが凄い。


もしかしなくとも、ずっと悩んでいたんだろうか?


俺が“成人したら自立して貰う”と言った事で、離れる選択肢しかないと感じたのだろう。


……離れたければ、離れて良いけど。


去りたい者を追う趣味はない。


「ああ。成人すれば、俺の助けなく生活出来るようになれってだけで、俺から強制的に離れろと言っている訳じゃないからな。居たいなら好きなだけ居れば良い。」


成人しようが、この二人が生きていくのは大変なのは変わらない。


成人したからといって、直ぐに俺と手を切れば、確実に変な輩に絡まれるだろう。


与えている魔道具をそのままにしていても良いけど、肉体的な攻撃は防げるが、精神的な攻撃には無力。


どうやら俺は不老不死のようだから、二人を置いて死ぬ事はなさそうだし、生涯保護者でも構わない。


数年もすれば、俺が本当に不老不死なのか分かるだろう。


それよりも、この世界に送り込まれた理由をそろそろ知りたいんだけどな。


何の理由もなくただのバグだとしても、異世界転移した事に諦めがつきそうだから。


だって俺、このままだと世界が終わるまで死ねないのかも知れないんだ。


親しい人が亡くなったとしても、ステータス上、発狂も号泣も出来ないだろうし。


それが延々続くとなると……地獄でしかない。




「……良かった……」


「おにいちゃん、ソフィアもね、ずっとおにいちゃんといっしょにいる!」


安堵の息を漏らすシスに、キラッキラな瞳で見上げてくるソフィア。


……可愛過ぎか!


未だに喚いているクズ共に、爪の垢でも飲ませて──いや、それもコイツらには勿体無いな。


ギルドを出た後、上空にいるソドムへ防壁を張る。


これはコンファレンスに着いた際、もしも攻撃されたとしても跳ね返す為のもの。


ソフィア達にはきっちりと何重にも防壁を張る。


あの二人には風を防ぐ防壁と、上空は気温が低いから、それを防ぐ防壁を張る。


(ソドムが飛ぶスピードに合わせたら、Gがかかるか。)


重力緩和の防壁もかけておくか。


着いた時に死んでいてはコンファレンスへ行く意味がなくなるし。


グラニは勝手に家へ帰るだろうし、俺達はソドムの背へ転移。クズ二匹は魔力の鎖で縛っているから、そのまま浮かす。


視界に入ると鬱陶しいから、俺達よりも低い位置に。


これでコイツらが失禁しても、俺達に被害はない。


可愛くない絶叫が下から聞こえるけど、無視してGo!


ザザンの森の上空を突っ切るから、すぐに着くだろう。

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