ネックレスに寄せ付けられた者
魔ねき猫です。
誤字脱字があれば報告お願いします。
レンは一人で、夜の道を歩く。
夜とは良い。
何者にも阻害できぬ空間だから。
特に一人で考え事をしたい時、四月の少し肌寒い風は孤独をより一層感じさせる。
だが、レンの思考は一気に一つの事に集中させられる。
近くで声がしたのだ。
その声がした方向を見ると、少し意識しないと分からない程の光が現れたり、消えたりしていた。
レンは声のする方へ向かうと、そこには綺麗な銀髪に、白い杖を持った女性がいた。
彼女は、少し広い場所で魔法の練習をしていた。
綺麗な銀髪に綺麗な魔法は、この深淵の闇の中に現れた光の如くマッチしていた。
その姿に目を離せないでいたレンに、彼女は気付いた。
「誰ですかっ!」
大きな声で発せられたのは、明らかにレンに向けてだった。
レンの顔を見た彼女は、安心した様子になり、こちらに近づいてきた。
「あなたは...?」
「アマクサ・レン。一年生だよ」
「私は同じ一年生の、シャル・クレア・バレットですわ。
しかし、アマクサ...。どこかで聞いた覚えが」
シャルは少し考え事していたが「まぁ、良いわ」と言って考える事はやめたらしい。
「シャルはここで何をしてたの?」
「え...はぁ。貴方のせいで集中が切れましたわ。
いいでしょう。教えてあげます。」
シャルは、杖を一振りする。
杖からは炎や水と、様々な属性の魔法を使った。
「魔法の練習ですよ。
私は【選ばれし魔法使い】の一人、クレア家の次期当主なので毎日の訓練です」
シャルが言った言葉をレンは少しの時間理解できなかった。
何故ならクレアとは、【選ばれし魔法使い】の一人【創造の魔法使い】だ。
【創造の魔法使い】の特徴は、物から魔法まで何でも作れることだ。
人によっては【選ばれし魔法使い】の中で一番強いと言われている。
まさか最初に出会ったのが【創造の魔法使い】だとは思わなかった。
「これが【創造の魔法使い】の力...」
「貴方,,,魔力が感じられないですけど。本当に魔法使いなのですか?」
レンは目の前の彼女、シャルの事で先程まで悩んでいた事を思い出す。
「俺、魔力が無いらしんだ。
でもどうして分かったんだ?」
「私くらいの魔法使いは、魔力なんて感じれます」
「そうなんだ。
俺、ここに世界一の魔法使いになるって考え出来たのに、無理みたいだ。」
「そうなんですか?
私はそうは思いません。
魔力が無くたって、魔法使いになれますよ。」
シャルは真剣な顔でそう言った。
魔法の杖を手から離すと、弾けてなくなった。
何処かにしまったのだろう。
しかし、意外にも否定した。
こういうタイプはすぐに切り捨てるタイプだと思っていた。
「シャルって...意外にいい奴だな」
「っ!!ふん!」
シャルの顔が赤くなったと同時にそっぽ向かれた。
「魔力が無くてもできることってあるの?」
魔法がなくても最強になれる方法。
聞いていて損は無いだろう。
「例えば魔法道具を作ったりとか...ですね。
魔法道具で有名になった人だって居ますから...ね...ん?」
すると、シャルが首飾りに気が付いて、それを気にする。
これはお婆ちゃんが、両親の形見だと言って渡してくれた物だ。
物心ついた時から肌身離さずにつけている首飾り。
シャルはそれを気になったらしいので、レンは服から首飾りを取り出すと、シャルに見せた。
「貴方、一体これをそこで手に入れたの!?」
シャルが先程までと違う、驚いたように首飾りについて聞く。
その拍子に首ごと引っ張られ、レンの首が締まる。
「く、苦しかった。殺すきか。
この首飾りは両親の形見だけど」
「嘘です!では、何故この首飾りにクレア家の紋章があるのです!」
シャルが見せて来たのは、レンには何のマークか分からなかっやものだった。
レンの、透き通った赤色のクリスタルの中にあった紋章はクレア家のと同じ紋章だったらしい。
「この首飾りからクレア家の力を感じます。
間違いありません」
「でもこれ、俺の持ち物だよな」
「これから私の部屋に来てください。
話はそれからです」
シャルに手を掴まれ、強引に連れて行かれる。
拒否権はないのかよと思いつつ着いて行く。
着いた先は、少し大きな家だった。
「ここは?」
「貴方、寮に案内されてないの?
あれ?貴方の名前ってアマクサって言ったわよね」
シャルが考え込む。
そしてはっと息を吐いたように、顔を上げる。
「貴方は私とバディですわ」
バディとは何か聞こうとした瞬間に、再度手を引かれて家の中に入っていく。
少し大きめな部屋に案内される。
「ここが私の部屋です。
とりあえず座ってください」
言われた通り、当たり障りのない場所に座る。
近くにベッドがあったが、そこに座るのは男としてダメだと思った。
シャルは近くにあった椅子に座る。
シャルの目の前にある机には沢山の本がおいてあった。
普段から勉強している証拠だな。
「まさか貴方とバディとは、考えてもみませんでした」
また出てきたバディという単語に再び疑問を持つ。
「その、バディって何?」
バディについて、シャルが教えてくれた。
アルスマグナ魔法学園は二人組の、バディを作り、実習とか授業をしたりするらしい。
ここでは命を賭けることが多々あるらしいので、普段から同じ空間で生活していると、絆も深まるだろうと。
その為には、信頼を置ける仲間がいる。
そこで造られたのが、バディらしい。
入学から卒業までバディと二人で生活から勉強までするらしい。
異性と同じ屋根の下ってのが問題だと思うが...
そこはあえて触れないでおこう。
「さて、本題に移りましょう。
その首飾りをもっと見せてください」
シャルに近付き、首飾りを見せる。
シャルはもう一度じっくりと首飾りを見る。
レンも同じに首飾りを見る。
「ち、近いです!」
えぇ!!見せろと言われて見せたのに、近いって言われて押し返された!
「外して見せてください」
「お婆ちゃんから、これは片時も外しちゃいけないって言われているから」
「ふーん。ますます怪しいです」
近くにあったぬいぐるみをギュウっと抱きしめるシャル。
その姿は妹の舞を思い出す。
「今から私は、この首飾りについてお母様に聞いてみます。
貴方はここにいてください」
「え?【創造の魔法使い】クレア家の人が異性の人と、同じ部屋に居るのは不味くないか?」
「不味くありません。私が誰と同じ部屋に居ようが居まいが勝手です。
しかも貴方にも関係があることなのですから」
そう言ってシャルは魔法道具を出してきた。
鏡を出してきた。
「私の母、へーゼ・クレア・バレットを表せ」
数秒待っていると、今世紀最大に美女とも言える女性が、写し出される。
髪の毛はシャルと同じ、綺麗な金髪からシャルの母親だと分かる。
「あら、シャル。どうしたの?」
「こちらはアマクサ・レンさんです。」
「あらあら!彼氏さん?」
「ち...違います!
お母様に聞きたい事があってきましたの」
「聞きたい事?」
「ええ、アマクサさんが付けているこの首飾りについてです」
シャルが言うので、ヘーゼさんに首飾りを見せる。
ヘーゼさんは困った顔をしていた。
「アマクサ君は、この首飾りについてどこまで知っているんですか?」
ふわふわした雰囲気から真剣な空気に変わる。
それに合わせてレンも真剣な顔をする。
「両親の形見だと、祖母に教えられました」
「なるほど。それを絶対に外してはいけません。
クレア家の紋章が入ってますが、それはアマクサ君のものですよ」
ヘーゼさんにも、お婆ちゃんが言っていた事を言われた。
それ程までにこの首飾りが大切なものらしい。
「お母様。この首飾りについて教えてください」
シャルがここぞとばかりに聞く。
だがヘーゼさんは首を縦に振る事はなかった。
「今はまだ教える時ではありません」
「なんでですか!もう、意地悪なお母様なんて知りません!」
シャルが後ろにあるベッドに倒れる。
「嫌われちゃったなぁ。
アマクサ君、シャルちゃんをバディとして、一人の男の子として守ってあげてね。お願いね」
「魔法が使えない俺なんて、逆に守られそうですけど。
同じバディというわけもありますし、お願いは、一応受けます」
ベッドで丸まり、怒っているシャルを見る
こう見えても【創造の魔法使い】だ
俺じゃなくて、こんな人が世界一の魔法使いになるのだろう。
学校の体育で持久走が始まり、憂鬱です。




