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捜索と決別

魔ねき猫です。

誤字脱字があれば報告して下さい。

評価、レビュ、感想、ブクマしてくれると嬉しいです!



朝目が覚めるといつも確認するのは日付。

いつお兄ちゃんが帰ってくるのかワクワクしながら見ている。


そして今日は学校では無い。

今日は日曜日で、朝起きるのはいつもより遅い。


と言っても7時に起きるのだ。

舞は普段着に着替えると、リビングに降りる。

そこにはお母さんの姿があった。


「舞、おはよう」


お母さんは笑顔で挨拶する。

これこそいつもと変わらない日常だ。


「お母さん、おはよう!」


舞はテレビのリモコンを取り、チャンネルを変える。

ニュースの番組から、ファッションの番組だ。


日曜の朝はこういう番組がしているから、女の子からすれば良いかもしれない。


「舞は小学生なんだからファッションとかまだ早いんじゃないの?」


「お母さんは分かってないなぁー。

 来年は中学生だよ?

 そして女の子がやっと恋愛対象になる瞬間でもあるの!

 その時にお兄ちゃんを悩殺しないと誰かに取られちゃうの!」


お母さんは「そうなの?」と言って朝ごはんの支度を続ける。

徐々に良い匂いがリビング全体に漂う頃、舞も食器を出す手伝いをする。


テーブルに置かれていく美味しそうな料理。

朝に相応しいあっさりとした物ばかり。


用意が出来たのか、二人は席に着く。


「いただき...」


そこで家のインターホンが鳴る。

お母さんが席から立ち、玄関に向かう。


舞はお母さんが帰ってくるまで箸を置く。


さらに2回目のインターホンが鳴る。

来訪者は相当急ぎの用らしい。


それに応えるかの様に、急いで玄関に向かうとドアを開ける。


「沙霧お母さん!!!

 ご主人様を...ご主人様を...助けて下さい!!!」


「ヨミちゃん!?

 それに......っっっっっ!!!!!!!」


そこにいたのは、血だらけのヨミちゃんと、腕と足が無い蓮君の姿だった。


玄関の方からお母さんの声が聞こえた。

そして今確実に聞こえた「ヨミちゃん」という声。


ヨミちゃんがいるって事はお兄ちゃんもいるって事だ。

舞は椅子から立ち上がり、急いで玄関に向かう。


「舞!来てはダメよ!」


舞の足音で、お母さんは舞が玄関に来ようとしているのが分かったのだろう。

お母さんが大きな声で舞の行動を制限する。


だが言うのが数秒遅かった。


「お......お兄ちゃん?

 その血......誰の?」


舞は血を見て青ざめる。

ヨミとお母さんに聞く。


その血は誰のかを。


だが舞自体は知っていたのかもしれない。

その血が、ヨミが背負っているお兄ちゃんのものだと。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



アルスマグナ魔法学園に立ち入り禁止の森がある。

そこには誰もいない筈なのに、二人の影があった。


真っ黒なドレスを着た女性は怒っていた。


「アマクサ君を捕まえろと、私は言ったはずよね?

 どうして逃がしているの?」


「それがあの学生の女どもが追う筈だったのに追わなくて」


女性の正体はミラだった。

見た目は穏やかな顔をしているが、分かる人には分かる。


これは激怒している顔だ。

アマクサという少年が、やっと自分の手の中にくると期待していた分、怒りも大きい。


まさに逃した魚は大きい。


「すぐに探しなさい。

 私は本部に戻ります」


ミラは箒に乗って本部がある方向へ飛んで行った。

残されたダニエは冷や汗を袖で拭き、背後から来る人物の方に体を向ける。


そこにいたのはザリオンだった。

今はレンの【宿りの箒】を盗んだ罰で、停学処分になっている筈だった。


「ダニエ先生、計画が成功した場合の報酬はちゃんとくれるんですか?」


「はい。

 確かアマクサ君のバディであるシャル・クレア・バレットのバディになる権限をやると言う報酬でしたね。

 明日になれば貴方はシャルさんのバディになっていると思います」


「おお!ありがとうございます!」


話が終わると、ダニエ先生も箒に乗って本部の方に帰る。

すでに命令は下された。


アマクサ・レンを見つけなければならない。


出ないとダニエの首が飛んでしまう。

それは物理的に...と言う意味だ。


通常案内人の妖精が操る船に乗って移動する空間に、ダニエは箒に乗って移動していた。


【ストゥルティ】の本部に着いたダニエは、急ぎ足で城に入って行く。

書物ばかり置いてある自室に入ると、急いで全ての世界が記されている本を手に取る。


「まさか一つずつ行って探すつもりですか?」


「誰だ!!!」


ダニエは驚いて振り返る。

このクソ忙しい時に誰が声をかけて着たのだと思いながら見ると、そこには不思議な仮面を付けている男、イシュがいた。


「これはアルスマグナ魔法学園に在籍している生徒の情報が入ってる本です。

 これを見ればアマクサ・レンの生まれた世界なんてすぐ分かりますよ」


「本当か!」


イシュはダニエの机の上に本を置く。

ダニエは急いでページを捲る(めく)


最後の方にアマクサ・レンの情報があった。


そこに書いてあったのは、レンの生まれた世界は【デレン】と言う場所だった。

地球とは書いてなかったのだ。


「ここにアマクサ・レンが...」


ダニエは箒を持ってすぐに行こうとする。

自分の首がかかっているのだ。


疲れたから休憩、なんて馬鹿げたことはしていられない。

ダニエはイシュにお礼をすると、部屋から出て行った。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



一人で出来る事をしているヤヤ。

今日はアルスマグナ魔法学園の謎を解くと言って、遅くなるらしい。


だから自分には出来る事をやって、レンお兄様に褒めてもらおうと言う算段だ。


「レンお兄様喜んでくれるかなー!」


自然と口元も緩んでしまう。

ソファに座って待っていると、玄関から物音が聞こえる。


「レンお兄様、シャルお姉様、おかえりなさい!」


だがレンの姿だけ見えなかった。

そしてシャルに付いている返り血。


シャルはヤヤの事を一度も見ずに、リビングの方に向かった。

その時のシャルの目を見たヤヤはゾッとした。


シャルの目からは何も読み取れなかった。

ヤヤからすると、それは恐怖でしかなかった。


「シャルお姉様...?

 レンお兄様は何処ですか?

 それにその血は...」


「黙って。

 もう貴方はここから出て行きなさい」


「え...?」


ヤヤはシャルの言っている事が分からなかった。

とにかくヤヤの歳では理解が出来なかったし、どんな人でもこの状況は理解出来ないだろう。


「何しているの?

 早く出て行く用意しなさい」


「シャルお姉様の...馬鹿!!!!」


小さなヤヤにはこの位の悪口しか言えなかった。

そしてシャルから言われた冷徹な言葉は、ヤヤには絶える事が出来なかった。


ヤヤは泣きながら荷物をまとめる。

その姿は悲しさに溢れて、とても可哀想だった。


ヤヤは荷物がまとまったのか、この寮から出て行く。

レンの所在が分からない事が惜しいが、いないものはしょうがない。


この寮にはシャル一人となったのだ。



毎日投稿は一旦やめます!

ですが出来るだけ投稿するのでよろしくお願いします!

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