交渉?脅迫?
魔ねき猫です。
誤字脱字があれば報告して下さい。
月明かりに照らされている城。
そこには誰も近づかない程の奇妙さがある。
その城の長い長い廊下を歩く女性。
黒いドレスを身に付けて、妖艶な姿だ。
彼女はとある扉に近付き、一息をついてそこへ入る。
木の扉から軋む音が聞こえる。
その部屋は暖炉の光だけで明るくなる程の狭さだ。
そこにいる人物に会う為にミラは此処にやって来た。
「ミラさん...何故このような場所へ?」
「私は貴方に用があって来たの」
ミラの目の前には、白い鎖に繋がれた少女の姿があった。
真っ白な髪と、真っ白な肌だ。
一種のアルビノと言うものだろうか。
そんな少女は怯えた様子でミラを見る。
こんな気味の悪い城で監禁されている。
それはこの少女の魔法にあった。
「用...ですか?」
「はい。貴方の特別な魔法を使って、今から話す計画を手伝ってほしいの」
言葉では選択肢を与えているの様な感じだが、選択権は無い、強制だ。
少女は嫌な予感しかしていなかった。
これまで【ストゥルティ】の協力をして来たが、もう後悔しかなかった。
今まで自分のせいで奪って来た命の数は底知れないだろう。
そしてミラから話された計画は、予想していたものとは遥かに超えてとても残酷なものだった。
「そんな事をすれば......それでも人間ですか!」
少女は見た目とは裏腹に大きな声を出す。
それほどまでに話された計画の内容は酷かった。
「私達【ストゥルティ】は元から人間じゃないわ。
貴方も同様にね」
「そう...でしたね」
少しの間沈黙が生まれる。
それは気まずさからでは無い。
”人間ではない”
その言葉で2人とも再度実感してしまったのだ。
少女は悲しそうな顔をしていたが、ミラが話し始めると、元の綺麗な顔に戻っていた。
「貴方は大規模な魔法を使ってくれるだけで良いわ。
私だけのアマクサ君...」
何処か遠くの方を向いてレンを思い出す。
一度は失敗したが、次は確実に捉える。
この計画はミラの元にレンが来る様に仕向けている。
「分かり...ました」
少女は下を向いて言う。
目を瞑り、自らの罪から逃げる様に。
だがもう後戻りは出来ないのだ。
少女は【ストゥルティ】に協力し過ぎた。
ミラは少女に計画を話して部屋を出る。
扉を閉めた後、少女のすすり泣く声が聞こえた様な気がした。
ミラは扉から離れると、廊下には女がいた。
「貴方がこの子に会うって珍しいわね?
どういう事なの?」
女は少し笑った顔でミラを見る。
ミラは廊下歩くと、その女もついて来る。
「確かに、この子は私の嫌いな子よ。
でも計画には私の好き嫌いは関係ないわ」
「そうなの?でも貴方アマクサ・レンの気持ちは計画に入れるのね」
ミラは乙女の様に赤面する。
どうしてもレンの事を考えていると、気持ちが高揚してしまう。
「私はアマクサ君を愛しているし、欲しいの。
そしてこの組織と目的が一緒だっただけよ。
私は私の目的のために動かさしてもらうわ。」
「そう?
それなら頑張って」
女はミラが来た道を通って何処かに行ってしまう。
残されたミラも女がいた道に行く。
「私の計画を邪魔する者は例え神でも許さないわ。
ああ。私だけのアマクサ君...後もう少しで貴方が手に入る」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
アルスマグナ魔法学園の3つ目の謎に挑もうとしている4人がいた。
3つ目の謎の場所は一度レンとシャルが守護鳥に襲われて逃げ込んだ森にあった。
そこには沢山の生き物がいる。
中には油断すると命を落としかねない生き物だって。
「ここに3つ目の謎があるのか?」
「ローレッタ先生の情報によるとこの森にある生き物を捕まえる事らしいわよ」
レンの問いかけにシャルは答える。
この森自体入る事が禁止されている。
そこに生息する生き物とは一体どんな生き物なのだろうか。
「その生き物の特徴とかないの?」
カリムが質問する。
見た目が分からなかったら探しようが無いからな。
「残念だけど、その特徴が無いから難しいのかも」
そういう事か。
これだったら諦めたくなるな。
4人はとりあえず探してみようと話し合いの結果が出る。
それぞれが別れて探索すれば見つけるのも早いだろう。
レンとヨミが北の方角を中心に探す。
シャルとスザクが南の方角に。
ナターシャとナターシャの使い魔、蛇のジャンと西の方角に。
カリムとカリムの使い魔、身長は小さくて忍びの格好をしているシャドウは東の方角へ。
4人はそれぞれの方角へ歩みを進める。
レンはヨミと一緒に走り出す。
生き物の速度は遅いとは限らない。
そしてこんなに広い森を4人で探すのだ。
ゆっくりしていたら数日かかってしまう。
レンは木の枝を飛んだり、倒木を飛んで避けたりする。
その動きにヨミも付いて行く。
いつの間にかヨミも人の姿になっていた。
「どんな姿をして何を持っているか。
何も分かっていない状態から探すのは危険だが、しょうがないな」
「そうですね!
生き物を見つけ次第何かおかしい所があるか確認したほうが良いですね!」
レンとヨミは生き物を見つけては何かおかしい所がないか確認する。
そして無ければ、違う生き物を探して確認する。
それの繰り返しで、陽は少しずつ傾いていく。
明日にすれば良い話だが...
「ダニエ先生に取られる訳にはいかないよな。
なんたって怪しすぎる」
「私が怪しいですと?」
レンとヨミは驚き、すぐに声の主の方に向く。
視線をうろちょろさせ、探し当てた場所は木の枝に座っていたダニエ先生がいた。
「ここは生徒立ち入り禁止ではなかったですか?
どうしてアマクサ君がいるのでしょうか?」
ダニエ先生は悪戯な笑みを浮かべ、レンとヨミを見る。
分からない振りをしているが、本当は知ってるのだろう。
レンとヨミがアルスマグナ魔法学園の謎を解いているのを。
「ダニエ先生こそここは限られた先生方しかこの森には入れない筈です。
新しく赴任してきたダニエ先生が此処の森に入れる筈がない!」
「クククク...!
私は貴方と交渉しに来たんですよ?」
ダニエ先生は木の枝から飛び降りる。
段々と近付いてくるダニエ先生にヨミは警戒して、レンの目の前に出る。
ダニエ先生も迷わずにレンの方に進んで行く。
「そこで止まってください!
交渉ならそこでも出来ます」
納得した様にダニエ先生は笑って歩みを止める。
そしてダニエ先生はレンに話を持ちかけた。
「私達【ストゥルティ】側に来い。
さも無ければ君は絶望を知る事になる」
冗談が微塵も感じられない様子で言い放つダニエ先生。
彼が【ストゥルティ】の1人だったのも驚きだ。
レンはダニエ先生の交渉の真の意味が分からなかった。




