可愛い乱入者
魔ねき猫です。
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今日の朝は全校生を集めて、集会が行われようとされていた。
新しい教師の方が赴任して来るそうだ。
広間にある長い長い付けを取り囲むように座っている生徒達。
横には先生方が立っている。
前方には学園長と、今日赴任する男性の先生がいた。
「なんか優しそうな先生だね!」
隣にいるシャルが新任の教師を褒める。
確かにニコニコしていて優しそうだ。
「そうだな。
でもなんでこんな時期に来るんだろう」
「この学園は教師が足りないって事は無さそうなのにね」
不思議な時期にやって来る教師。
レンがその教師を見ていると、何故か目が合ったような気がした。
「それでは今日から赴任して来る先生にご挨拶をしてもらいます。
ダニエ・フリン先生、よろしくお願いします」
ダニエ先生は座っていた椅子から立ち上がり、マイクスタンドまで歩いて来る。
一度全校生徒も見渡して、一礼する。
その姿は皆から知れば好印象だった。
「アルスマグナ魔法学園の皆さん、おはようございます。
私の名前はダニエ・フリンと言います。
主に魔道具を作成する授業をする予定です。
よろしくお願いします」
ダニエ先生の挨拶は生徒を考慮したせいか、すぐに終わった。
再度一礼して、座っていた椅子に戻って行く。
その後は、諸連絡をして集会は終わった。
生徒達は一斉に自分のクラスに帰って行く。
レンとシャルはその人混みに飲まれたくないのか、少しの間帰ろうとせずに立ち止まる。
「今日の放課後、3つ目の謎解きに挑戦するか」
「そうしましょう!
本、剣と来たら次は何だろう!」
シャルはウキウキした様子ではしゃぐ。
こういう姿を見たらシャルも子供だと実感する。
レンとシャルは人混みが少なくなったのを確認すると、歩き出す。
だが、後ろから足音がするので、振り返ってみると先程紹介されていたダニエ先生がいた。
レンとシャルは歩みを止めると、ダニエ先生はニコニコしながら小走りで近づいて来る。
「ダニエ先生?
どうしたんですか?」
「初めまして!
君達は一年生の生徒かな?」
レンとシャルは顔を見あって、ダニエ先生の質問に肯定する。
「君達ってこの学園のお宝って知ってる?」
ダニエ先生の口から出たのは驚くべきものだった。
今現在レンとシャルはそのお宝を集めている。
それに興味を示している先生がちょうどお宝を探しているレンとシャルに話しかけたのだ。
レンとシャルはポーカーフェイスでその場を凌ぐ。
「この学園にお宝ってあるんですか?」
シャルがダニエ先生に質問する。
お宝のことを知っているはずなのに惚けるシャル。
「いや、知らないんだったら良いんだ!
時間を取ってしまったね!また今度私の授業を受けに来てくれたまえ!」
ダニエ先生はレンとシャルを疑う事なく去っていった。
2人の嘘は完璧だった。
ダニエ先生は広間から出ると、誰もいない、誰も聞いてない様な場所に来る。
イラついた雰囲気を醸し出し、壁を殴る。
壁には傷一つ付いていない。
壁を殴ったダニエ先生の拳からは真っ赤な血が出て来ていた。
「ガキが!!
宝の事を嗅ぎ回っている事は把握済みだ!
この俺が危険を冒してまでアマクサに近づいたのに!」
同じ場所を行ったり来たりしながらダニエ先生は文句を言う。
先程のニコニコしていた顔とは似ても似つかない憎しみの顔で壁を見つめている。
だがダニエ先生は何かを思い付いたのか、悪に満ちた顔で笑う。
「まぁいい。
アマクサ・レンを確実に社会的地位を下げて、皆から疎外させる為に俺は来たんだ。
その為にも.....クククク!」
静かの場所で、ダニエ先生の笑い声だけが聞こえて来る。
ダニエ先生の正体を知っている者は、この学園内には1人もいなかった。
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レンとシャルは困っていた。
今は放課後で、太陽も徐々に沈みかけている頃、予定していた謎解きは中止になった。
何故かと言うと、レンとシャルが謎解きするので一度寮に戻って用意をしていると、ササが来たのだ。
それはまだ良い。
何か用があったのなら要件を話して帰ってもらえれば良いのだから。
だが事はそうはいかなかったのだ。
ササが来た理由は、ササの妹ヤヤが寮に来た。
そしてここに住むと言って聞かないのだ。
「ヤヤ、アマクサ君とシャルに迷惑をかけないであげて?」
「嫌です!
私はここに住みたいのです!」
ササが帰ろうとするとこうなってしまった。
ササが立ち上がり、帰ろうとする動作をするがヤヤはソファに座ったまま。
「ねぇレンお兄様、一緒に住んでも良いですよね?
私家事とか出来ますよ!」
「そう言われてもねー?」
レンは濁したままシャルに助けを乞う。
シャルも困った様にヤヤを見る。
ヨミの事や謎解きの事を隠したい状況ではヤヤを住まわせる事は不可能に近い。
疚しい事が無ければ住まわせる事自体承諾してやりたいのだが...
「ではヤヤちゃん?
私達の言う事がちゃんと聞ける?」
「聞けます!
私はもう子供じゃありません!」
ヤヤは一生懸命公言するが、見た目に関しても精神的に見ても子供だ。
だがシャルはヤヤを受け入れようとしている。
ヤヤにヨミの事やアルスマグナ魔法学園の謎の事を話すのだろうか。
「私は将来アルスマグナ魔法学園に入って【マスター】の称号をもらいます!
なのでここに住む事は損ではありません!」
だからユユさんは許したのか。
しかしアルスマグナ魔法学園と【マスター】と言う称号はどういう繋がりがあるのだろうか。
レンはシャルに耳打ちで【マスター】とは何かを聞いた。
「レンはその称号が欲しくてこの学園に入ったのではないの?」
「え?この学園を卒業したら【マスター】の称号がもらえるのか?」
「アルスマグナ魔法学園に入学する人の8から9割は【マスター】の称号が欲しくてここに入学して来るのよ。
【マスター】の称号を貰うと、【ストゥルティ】や魔物などを討伐できる様になるのよ」
驚いた。
まさか【ストゥルティ】と戦うのに称号がいるとは。
確かに一定の水準を決めないと、色んな人が【ストゥルティ】に挑んでしまって、戦力が減ってしまう。
なら一定の水準を決め、【マスター】の称号を持つ者しか戦えなくすれば良いってことか。
この世界にも”魔物”がいるのも驚いた。
アルスマグナ魔法学園を守護している守護鳥も魔物なのだろうか。
「そんなことより私はここに住んで良いのでしょうか?」
「ヤヤ、良い加減に...」
「私は良いですよ!
ちゃんと言う事を聞けるなら」
「本当ですか!?」
ヤヤは大喜びでソファに立ち上がり、ジャンプする。
ササは申し訳なさそうな顔をする。
今日からヤヤが、レンとシャルの寮に住む事が決まった。
連続投稿だーーーー!!