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救援

魔ねき猫です。

誤字脱字があれば報告して下さい。

感想や評価をしてくれると喜びます。



レンは【スカイ】を構えると、ミラを狙う。

ミラの使う魔法は分からないが、様子見をしていると殺られてしまう。


ミラは初めて見るレンの武器に驚き、少し距離を離れ警戒する。


【スカイ】のマガジンには爆裂魔法の魔法陣が書かれている。

レンは迷いなくミラの方へ撃つ。


念のため距離を取っていたミラだが、その意味もなくなったことに気付いた。

迫り来る魔弾は、ミラの顔をスレスレに通り過ぎる。


ギリギリのところで避けたのだ。


「危なかったー!

 アマクサ君、逃げようとするんだ。でも、そんな事させないよ?」


ミラの足元から杖が召喚される。

ミラはその杖を取ると、地面をトン、と突く。


突いた地面からは獣が出てくる。

その獣はレンの方に一直線に向かう。


「召喚魔法!?」


レンはこの世界に来てまだ日は浅い。

だから獣の種類や情報はまだ無い。


召喚された獣の対処が分からないレンは【スカイ】を使い、攻撃する。

直撃した獣は爆裂魔法によって、体が破裂する。


「私の眷属になんて事を...

 これはアマクサ君に()()()()が必要みたいだね」


もう一度杖を地面に突く。

今度は一体だけだった。


だが大きさ、雰囲気が違った。

真っ赤な皮膚に頭には大きな角が生えて、片手には金棒。


その姿は...まるで鬼そのものだった。


「この子の名前は【サツイ】。

 私の眷属の中でも上位に入るほどの強さ。

 【サツイ】、アマクサ君を捕縛しなさい!負けた時、そして殺した場合は...分かるわね?」


「ゴォォォォォォォォォ!!!!!」


【サツイ】という鬼は命令を受けた瞬間、数十メートル先のレンに雄叫びを上げる。

その刹那、鬼はレンの目の前にいた。


鬼はレン目掛けて金棒を振る。

レンは【スカイ】を鬼に向けるが間に合わなかった。

レンの横腹に、鬼の金棒が減り込む。


真っ白な床や壁は血で染まる。

レンは吹っ飛び、壁に直撃する。


壁は破壊され、レンが飛んでいった先は煙で見えない。

鬼とミラは煙の先を、目を凝らしながら見る。


薄れていく煙、その中に現れたのは魔法学園の制服を着た少女だった。

少女の後ろには、薄い透明な壁に守られているレンがいた。


少女の杖によって浮いている防御壁の中でレンは倒れていた。


レンは強い衝撃で気絶していた。


「レンは殺させない!」


その少女は、レンの友達であるナターシャだった。

ナターシャは真っ直ぐに、そして目は怒っていた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



レンとヨミが、イシュに襲われる少し前まで遡る。


ナターシャは教室で考え事をしていた。

その内容とは、レンとシャルが休んだ事についてだった。


「レンとシャルさん、どうしたんだろう」


「何か用事があったんじゃ無いの?」


ナターシャのバディである彼女カリム・アンダー。

カリムは心配しているナターシャを気遣うように言う。


シャーロット先生から、二人が休みだと聞いた。


それを聞いたナターシャは不安な気持ちで胸が一杯だった。

自分でも理由が分からないのだが、何故かそう思ってしまう。


午前の授業が終わり、ナターシャはレンが住んでいる寮に向かう。

不安な気持ちのまま授業を受けても意味がないと思い、カリムに頼んで先生に言ってもらった。

次の授業を担当するのは、見た目は厳しそうだが、意外に優しいローレッタ先生だったのが良かった。


「寮にいるのかな」


ナターシャは、初めてレンが住む寮に行く事に緊張感を持ちながら、そして楽しみにしつつ足を進める。


レンの寮が見えて来た。

自分でもニヤケているのが分かってしまうだった。


すると一瞬、ナターシャが影に隠れ、また日が当たる。

何者かがナターシャの上を通ったのだ。


ふと上を見ると箒に乗った謎の魔法使いがレンの住む寮に向かっているのが分かった。

ナターシャは近くの木陰に隠れて、その者を観察する。


フードを被っていたが、少しだけ見えた。


「仮面?」


その魔法使いは仮面を被っていた。

ナターシャが見ていたのは、レンとヨミを襲ったイシュだった。


イシュは扉をノックする。

ナターシャはイシュにバレないように、近くまで移動する。


残念ながら玄関の扉が閉まってしまった。

ナターシャは耳をすませる。

次の瞬間、扉の近くで大きな物音がする。


自然と息を殺してしまう。

仮面をつけた魔法使いが寮の中に入った瞬間に聞こえたのだ。


ただ事では無いのだろう。

普通は今授業だ。

この付近にいるのはナターシャだけだった。


ナターシャは気が付いた。

この時間帯に、しかも学生であれば普通は授業...

そんな時に訪問するのはおかしいと。


扉の中では物音は静まらない。


「きっと襲われているんだ...!

 行かなきゃ...レンは魔法が使えないんだから」


だが足が進まない。言うことを聞かないのだ。


”あの時と一緒だ”


水晶の前でレンが魔法が使えないと言われた時と...


ナターシャは、動かなかった自分にイラついていたのだ。

助けれなかった自分。声をかけれなかった自分。追いかけれなかった自分。


ナターシャは自分に言う。

せっかくレンが許してくれたのに、また同じ過ちを繰り返すのかと。


神様が、もう一度チャンスをくれたのだ。

ナターシャの足は扉に向かって走り出した。


扉の前まで来たナターシャは、ドアノブに手をかけ、その扉を開ける。


「君は随分と厄介だけど、僕の魔法には敵わないよ?」


仮面の男イシュがそう言って、黒い穴でレンを捕まえ、もう一個の同じ穴で逃げようとしている瞬間だった。


咄嗟にナターシャは黒い穴に手を突っ込む。

この魔法使いがレンを連れ去って行くのだけが、理解できた。


あの時、ナターシャも穴の中に入っていたのだ。

だが何故ナターシャの姿がなかったのか。


それはナターシャが無理矢理、時空魔法にか入り込んだせいで、ナターシャだけ出された場所が違ったのだ。

あの白い空間は時空魔法で作られた別の次元だったのだ。


そしてミラとレンが辺りを攻撃しまくったせいで次元がズレたのだ。

その拍子にナターシャとレンの次元が重なり、ナターシャが現れた。



「アマクサ君、この雌猫誰なのかなぁ?

 もしかしてアマクサ君の大切な人だったり?

 だったら殺さないとなぁ」


ミラが鬼に命令すると、鬼はレンの時と同じ様に一瞬の間でナターシャの前に現れる。

ナターシャはこの鬼の速度は知っていた。


鬼の攻撃からレンを守ったナターシャの魔法【防壁魔法】を発動した。

ナターシャは腕を前に突き出し、少し斜めに防壁魔法を展開する。


その防壁魔法めがけて鬼は金棒を振り下ろすが、少し斜めになっている防壁魔法に流される。


強い攻撃は真正面に受けるのではなく、受け流すことが肝心なのだ。

鬼とナターシャでは、完全に鬼の方が分が悪い。


ナターシャは、鬼が金棒を振り上げる時を待ち、そしてその時が来た時に防壁魔法を鬼の左右に展開する。

そして一気に防壁魔法を動かし、鬼を圧縮させる。


力づくで逃げ出そうとしたが、魔法の力では為すすべもなかった。

鬼は破裂した訳ではなく、細胞から分解されたかの様に消えていった。


だが死んだ訳ではない。

この鬼を召喚したミラの元へ帰っていったのだ。


「私の名前はミラ・ブラッド。

 あなた...お名前は?」


「ナターシャ・シャロンです。」


ミラはナターシャの名前を聞いた後、また何か召喚する気だった。

鬼を召喚した時みたいに、地面を杖で突く。


だが鬼とは明らかに邪悪なものだった。

黒い瘴気が漂いだす。


「ナターシャさん。貴方は私とアマクサ君の物語には必要ないわ...」


だが、急に瘴気が消える。

辺りには邪悪な雰囲気があったが今は無い。


周りを警戒していた目線を前に戻し、ミラを見る。

ミラの姿を見て、ナターシャは驚愕する。


ミラの腹部には、大きな穴が空いていた。

その穴は、後ろの白い世界を映し出していた。



ユニーク数やPV数が上がって来て嬉しいです!

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