使い魔なのか?
魔ねき猫です。
誤字脱字があれば報告して下さい。
感想や評価してくれると嬉しいです。
魔法陣にの前まで来たレンは、緊張してどうにかなりそうだった。
教室にはローレッタ先生と二人だけ。
バカにするものは誰一人としていない。
冷たい風が、教室のカーテンを動かす。
「アマクサ君は、まず手をかざしてみましょうか」
ローレッタ先生に言われた通り、魔法陣に手をかざす。
数秒待って見るが、やはり何も起こらなかった。
やっぱり魔力が無いレンではダメだったようだ。
「ローレッタ先生、ここにいましたか!
学園長がお呼びみたいですよ!」
教室の扉を開けたのはシャーロット先生だった。
シャーロット先生は急いで探していたのか、呼吸が荒かった。
「分かりました。アマクサ君はこれから帰るのでしょう?
気をつけてください」
そう言って先生達は行ってしまった。
だが、丁度良いタイミングでシャーロット先生が来てくれた。
またあの夜の時の様な気まずさはご勘弁願いたい。
「無理って分かってたんだ。
帰るとするか」
レンも、机の上に置いた自分の荷物を持って教室を出ようとする。
扉に手を掛けたその時だった。
レンの背後で、魔法陣は光り輝いていた。
レンは荷物を床に投げ捨てると、魔法陣の前まで行った。
まだこの時は混乱していた。
魔力が無いのに反応するのはおかしいと頭の中で考えていた。
だが、次第に様子がおかしいことにレンは気付く。
魔法陣からは膨大な魔力が溢れかえり、今にも爆発しそうな勢いだった。
恐怖の感情がレンの心を襲う。
レンは急いで自分の荷物を持ち、躓きながらもその場から逃げてしまった。
出口まで全力で逃げて来たので、レンは座り込み息を整える。
「なんなんだあれ!
俺が魔力を注ぎ込んだ訳じゃないのに...まさか、一昨日の報復に来た奴の...」
レンは急いで教室に引き返した。
もし自分が逃げ出した所為で誰かが犠牲に...なんて考えたくなかった。
教室の扉を開けると、魔法陣から発せられていた光は無くなっていた。
普段と変わらぬ教室に、放課後の静けさを取り戻していた。
いつの間にか時刻は19時を過ぎていた。
薄暗い教室を見渡すが、異常は何も無かった。
安心したレンは来た道を引き返そうと身を翻した。
「ニャー」
猫の声は間違いなく、足元から聞こえた。
レンはびっくりして後ろに下がるが、ちゃんと見てみると、そこには綺麗な黒猫がいた。
「迷い猫か。
でもさっきまでいなかったよな?」
何処から現れたのか分からない黒猫は、再びレンの足元へ来てこちらを見ている。
「まさか、この黒猫があの魔法陣から召喚された使い魔か?」
「そうだよ!」
「やっぱりそうなんだ」
レンの推測は合っていた。
でも一体誰が召喚したんだ?
「ん?今この黒猫、喋ったよな?」
喋れる使い魔は、その召喚した魔法使いの魔力が多い人のみだ。
ますますおかしい。
今目の前のいる可愛い黒猫は喋った。
だがそもそもレンは魔力が多い訳じゃない。むしろ無いと判断されている。
「君の主人は誰かな?」
もう良い!
この場合は使い魔に聞けば早いだろう。
黒猫は静かにこちらに近づいて、レンの膝の上に乗りこちらを見る。
「貴方ですよ?ご主人様!」
「お、俺!?
でも俺って魔力無いから召喚なんて出来ない筈じゃ...」
色々疑問が生まれるが、今は自分に使い魔が召喚出来た事を喜ぶ。
一度は無理だと諦めていたが、試して見ると意外にいけた。
ふと、レンは教室の壁に掛けてある時計を見る。
既に時計は19時半を過ぎようとしていた。
「まずい。そろそろ帰らないと」
「私の名前を決めて下さらないのですか?」
黒猫は悲しそうな顔でこちらを見ている。
だがレンも帰って新しい武器の作成とかあるのだ。
「悪い!今は帰らしてくれ。今日は特に疲れたんだ」
レンは黒猫を抱き上げて、寮へと帰る。
シャルは先に帰っているだろうなと思い、少し早めに歩く。
「ここがご主人様の家ですか」
家の前まで行くと、電気がついている事を確認する。
既にシャルは帰っているという事だ。
「た、ただいまー」
玄関の扉を開けると、目の前には仁王立しているシャルがいた。
「レン!こんな時間まで何処に...ってその黒猫は?」
シャルの興味は一気に、黒猫にいった。
最初は説明しようか迷った。
だがバディでもあるシャルに秘密事なんて良く無いと思った。
なのでここまでの経緯を説明した。
今はリビングにあるソファに座っている。
「ご主人様、この女性は誰なのでしょうか?」
「俺の仲間のシャルだ。
仲良くしてくれたら嬉しい」
黒猫はシャルの事をじっくり見た後、まるで見せつけるかの様にレンの膝の上に座る。
「なっ!?
今レンの使い魔が馬鹿にした様な顔でこちらを見てきた!」
シャルが突然ソファから立ち上がり、そう公言する。
黒猫の表情を確認したが、普通の顔だった。
「シャルの気のせいだろ。
そんなことより、本当に俺の使い魔だと思うか?」
「どうだろう。でもレンの使い魔がそう言っているなら信じるしか無いわ。
ところで、この使い魔の名前は?」
そうだ。
名前をつけてくれと要望を聞いていたのだ。
「そうだな。【ヨミ】なんてどうだ?」
「とても気に入りました!ご主人様、ありがとうございます!」
ヨミはレンの膝の上から降りると、ボンっと音を立てて煙を出した。
レンとシャルは突然の事で、唖然としていた。
「ヨミ、大丈夫か!?」
だが、煙が少しずつ薄くなっていくと、人の影が見えた。
「ヨミ...その姿は!?」
目の前には、綺麗な毛並みをした黒猫とは違う生き物になっていた。
猫耳と尻尾を生やした黒髮の女の子がいた。
「ご主人様、これが本当の姿のヨミです!」
女の子の正体は正真正銘、レンの使い魔ヨミだった。
自分にも可愛い使い魔が欲しい。