ストゥルティ
魔ねき猫です。
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あれから、数日経ったが特に何も起こらなかった。
守護鳥の暴走は、シャルが黙秘すると言って、問題には怒らなかったらしい。
今日は休みだ。
レンとシャルは、特に行く所がないので家で過ごしている。
そういえば、首飾りが破損したことに関しては、ヘーゼさんに言っていない。
シャル曰く、あれだけ念を押すヘーゼさんは見た事は無いらしく、破損した事を伝えたら...
ヘーゼさんは案外怖いらしい。
だけど、レンは報告した方が良いと思っている。
「なぁ...シャル、やっぱり報告した方が良いんじゃないか?」
「レンはお母様の怖さを知らないから言えるのよ。
それに、今はそんな話はしていないわよ」
シャルに、俺達魔法使いを敵視するグループについて教えて貰っている。
今朝、新聞を読んでいたシャルが呟いた事で始まった。
「また不可解な事件ね。レンはどう思う?」
突然聞かれたレンは、復習の為に読んでいた教科書を閉じる。
「え?不可解な事件って?」
「あら、レンは知らないの?
魔法使いの敵、通称【ストゥルティ】」
「ストゥ...なに?」
「まさか...知らないの?」
シャルは驚きを隠せない様子で、こちらを見ていた。
レンはここに来てまだ浅いし、魔法使いの敵なんて考えてもみなかった。
「【ストゥルティ】よ。魔法使いを敵視している犯罪者グループ。
その目的は【始祖の魔法使い】の復活...」
「【始祖の魔法使い】の復活?それって結構危険じゃないのか?」
「そうよ。そして、私達【選ばれし魔法使い】の役目は、【始祖の魔法使い】復活の阻止及び、殺害」
「殺害?出来るのか?」
【選ばれし魔法使い】が全力を尽くしても、倒せなかった奴だ。
その疑問をシャルに言うと、シャルは俯いて話した。
「難しいでしょうね。他の【選ばれし魔法使い】もそうだけど、その時の戦いを子供の時に何回も聞かされるの。」
そう言ったシャルはもっと悲しい顔をしていた。
そしてシャルは話し始めた。
古より伝わりし物語を記す。
最果てに【始祖の魔法使い】が現れたのだ。
暗き力は世界を閉ざし、人々を苦しめる。
最果てに【選ばれし魔法使い】が現れたのだ。
十の力は【始祖の魔法使い】を倒そうとした。
だが敵わなかった。
【始祖の魔法使い】は三日三晩暴れ、そして飽きたかの様に眠りにつく。
【選ばれし魔法使い】は、為すすべも無く。
「授業では、【選ばれし魔法使い】が封印した事になってるけど、本当は違うの。
レンにだけしか言わないけどね」
驚いた。
ここへ来る時に、妖精マリンから教えて貰った話と大きく違う。
「俺が聞いて良かったのか?」
「バディだからね。
そしてその【ストゥルティ】は、【始祖の魔法使い】を目覚めさそうとしてるの。
止めないと、魔法界に未来は無いわ」
深刻な顔でシャルは言う。
「でも...眠りについたって事は、いつかは...」
「そうね。でも【運命の魔法使い】がそろそろお告げがあるでしょう」
【運命の魔法使い】は、その名の通り運命を司る魔法使いだ。
未来が分かる魔法を使い、何度も世界を助けたと言う。
初代【運命の魔法使い】はその魔法を使い、【始祖の魔法使い】の動きを先読みしたと言う。
「そのお告げで...魔法界の運命は...決まる」
静まる空気を、打ち破ったのはだれかがドアをノックする音だった。
シャルが椅子から立ち上がると、玄関の方へ行く。
「ローレッタ先生?
どうしたのですか?」
ドアを開けた向こうには、ローレッタ先生がいた。
「今日はアマクサ君とクレアさんに用があって来ました。
アマクサ君はいますか?」
「いますけど、呼びますね」
シャルに呼ばれたレンは玄関に行き、ローレッタ先生と目が合った。
「ローレッタ先生!ちゃんと話すのは入学式の前日以来ですね」
「はい。久しぶりですね。
今日は新入生歓迎会に招待する為に来ました」
「「歓迎会?」」
「新入生だけで開かれる会のことです。毎年行われるイベントです。
背中を守るもの同士仲良くしようという企画です」
アルスマグナ魔法学園は、年に一度だけ開催される魔法校戦というものがある。
魔法校戦で一番の目玉、【バディ対抗魔法戦】で命を落とすものは珍しく無い。
その競技では、アルスマグナ魔法学園が一丸となって選手を決め、他校と戦う。
他校はアルスマグナを合わせて三つ。
【アルスマグナ魔法学園】【アブソリュート魔法学園】【エターナル魔法学園】
それぞれ魔法使いとして名だたる者達だろう。
「新入生歓迎会は、今日の夜に開かれるわ。
会場は南館の一階にあるから」
そう言って、ローレッタ先生は箒に乗って何処かへ行ってしまった。
「新入生歓迎会かー。守護鳥の件があったのに大丈夫なのか...?」
「一応いつも通りにして、生徒絵を安心させる為でもあるんじゃないの?
そんなことより、レンも制服着て、今晩の用意した方がいいわ」
「そうだな。用意してくる!」
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夕日が沈む頃、薄暗い路地裏に三人が密会していた。
「今晩、毎年行われる新入生歓迎会が行われるのは知っての通りだ。
【例の子】は、詳しい情報はないが、魔力を感じ取れ」
「もしすぐに【例の子】の魔力が見付からなかったら...撤退するのか?」
「でないと俺達が殺られてしまう。
あそこには学園長のヴィクトールがいる。長居は俺達の寿命を縮める事と同じだ」
どうやら三人が話している内容は、アルスマグナ魔法学園だ。
【例の子】と言われる人を探しているらしい。
「人は殺すな。もしそれが【例の子】だった場合、上から殺されるぞ」
一人が、震えた声で言うと、他の二人は生唾を飲む。
「今回の任務は新入生歓迎会を襲撃し、【例の子】を見つける。出来れば連れてこいと上が言っていたが、無理はするなとも言っていた」
「クククク。見つけることぐらいは簡単だろうな」
「そうだ。【例の子】の魔力を感じ取ればいいんだ。注意事項は、まだ人は殺すなだそうだ」
「了解だ。
それにしても【例の子】ってなんなんだ?」
「そうか。お前は知らないのか。
【例の子】は、別名【始祖の魔法使い】だ。封印が解けたと言う噂だ。
もし【例の子】が、我ら【ストゥルティ】に仲間入りしたら...この世界は我らのものだ」
男はニタリと笑うと、三人を引き連れて、闇の中へ消えて行った。
不穏な空気ですね。