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2-34 黄金の勇者vs魔王アドレアス(ラウンド3)

 【アクセルブレス】を使用した亜音速への加速。

 木の幹を足場にし、隣の木へ飛ぶ。そのまま目標の木の幹に着地し、地面に足をつける事無く次の木へ向かって3次元軌道でジャンプする。

 物理現象の制約を受けない加速中だからこそ出来る変則軌道。

 木から木へ渡り歩き、敵を捉えて武器を投射―――


「ぐっ!?」


 魔族の喉を狙ったが、ギリギリで反応されて避けられる。

 まあ、それは想定内ですけど、ねっ!!!


【シャドウランサー】


 投射された武器を回避したせいで体勢の崩れていた魔族の脳天を、黒い閃光が容赦なく貫く。


『【魔族 Lv.152】

 カテゴリー:特性

 レアリティ:E

 能力補正:魔力

 効果:魔法使用可

    暗黒/深淵属性強化』


 これで、18匹め!


「ミッ…フー、フー…」


 ぷっハァッ!

 あー、【アクセルブレス】の連続使用は疲れるな……。一度息切れたら、暫くは使わないようにした方が良いわコレ。

 っつうか、魔法使えるようになった途端に一斉に取り巻き共が治癒魔法で回復しやがった。そのせいで、「武器ぶん投げれば倒せる」って単純な感じじゃなくなったのが面倒臭いな……。

 まあ、投射を敢えて見せ球にして、体勢崩したところを魔法でトドメ刺せば良いんだけどさ。

 腐っても俺が装備してる【魔族】の特性はレベル150越えだ。その分魔法の威力も強化されてるし、生半可な相手なら1発で確死できる。

 それに【シャドウランサー】は暗黒属性だから、更に特性の効果で威力が乗るしな。

 いやー、アドバンスさんは良い魔法をくれたわぁ。

 威力高くて、派手なエフェクトかからなくて、その上追尾性能が地味に高いから命中精度がむっさ高いし。まさに忍者向きな魔法じゃない。

 とは言え……流石にこれ以上俺1人で敵を狩るのは危険過ぎるな。

 取り巻きの残り14人。流石に仲間が減っている事に気付いて、勇者モドキ以外にも「何かが居る」って勘付いている奴も居るっぽい。

 見咎められても即殺すれば良い……とも思うが、下手やって俺の存在をアドバンスに伝えられたらそれこそ終わりだ。


 こっからは、【仮想体】を使って真っ向勝負だ!


 【仮想体】は現在アドバンスと鬼ごっこの真っ最中。ある程度は俺が操作しているけども、基本的には「障害物を避けながら逃げろ」と簡単な命令をしてセミオートで動かしている。

 何度か後ろからアドバンスの魔法を食らっているが、全部全力でシカトしている。撃って来るのも俺が持ってる魔法ばっかりだしな。もうちょいレアな魔法を撃ってこんかいボケぇ。

 さて……ほんじゃあ、魔王討伐戦に本腰入れて行きますか! ―――の前に、俺自身は今さっき倒した魔族を回収して木の上に身を隠す。


『【アイスランス Lv.2】

 カテゴリー:武器

 サイズ:大

 レアリティ:E

 付与属性:氷

 所持数:1/10』


 おっ、また属性武器だ。

 いやーすんませんね取り巻きの皆さん、こんなにいっぱい武器を寄付して貰って。アンタ等のボス倒すのに有効利用させて貰いまーす。

 木の上で【隠形】を張り直して……ヨシ、準備完了。


 逃げ回って居た【仮想体】を振り向かせる。

 それを見て、少し距離を開けたままアドバンスも立ち止まった。


「ふんっ、ようやく逃げ回るのを止めたか」


 返事の代わりに、鞘に戻していた旭日の剣を抜いて構える。


「大方、部下が減るのを待っていた……と言ったところかな?」


 おっと……流石に手下が死んでたのには気付いてたか。


「仲間が居るのかとも思ったが、気配が無いところを見ると貴様が何かした……と言う事か。まったく、貴様はつくづくコチラの予想を上回って来る」


 あ、良かった。俺の存在はバレてない。

 気配を消してくれてる【隠形】さんマジでありがとう!


「では、殺し合おうか?」


 魔王がマントの中から漆黒の剣―――青竜刀を抜く。

 え? 何々? アンタ無手格闘系の人だと思ったけど、本当は武器使う人だったの?

 まあ、とりあえずその青竜刀もレアそうだから、マントと一緒に寄越さんかい。 

 アドバンスが動き出すより先に、先制パンチに魔法を放つ―――

 

【エクスプロード】


 小さな赤い光が高速でアドバンスに飛んで行く。

 が、それをまるで当たり前の事のように避ける。


「魔法名の発声すらなく魔法を発動するとは……何度見てもどうやって居るのかが理解出来ん……」


 ボヤキながら突っ込んで来る―――が、まだ本気の踏み込みしてねえなコイツ。全然余裕を残してるって動きだ。

 アドバンスの青竜刀の一撃を旭日の剣で受ける。


――― 重ッ!


 くっそ、本気出してないっぽいのに、剣戟がクソ重いじゃねえか……!?

 辛うじて吹っ飛ばされないように踏ん張って耐えたが、気を抜いてたら腕ごと斬り落とされてたかもしれない。まあ、【仮想体】には落とされる腕なんてねえけど。

 何とかアドバンスの初撃を防いだと同時に、先程放った【エクスプロード】が爆発した。

 大地が振動し、爆風と熱波が周囲の木々を薙ぎ倒す。

 そして……


『【魔族 Lv.157】

 カテゴリー:特性

 レアリティ:E

 能力補正:魔力

 効果:魔法使用可

    暗黒/深淵属性強化』


 これで、残り9匹―――。


「む……! なるほど、先程のエクスプロードは、私ではなくその後ろに居た部下を狙った物だったか」


 大当たり!

 広範囲、高威力の魔法ってこう言う時便利よね? 纏まった敵を爆撃して殺せるし。今まではアドバンスに気付かれるのを注意してたから敢えて使わなかったけど、正面から殴り合いを始めたなら関係ねーし。

 って言うか、今気付いたけど、コイツ等もしかして天術に対しての耐性は張ってるけど、魔法に対しては無防備なんじゃない? じゃないと威力AAの【審判の雷(ジャッジメントボルト)】に耐えられて、威力Bの【エクスプロード】でバンバン死ぬわけねーしな。


「まあ、いくらでも殺すと良いさ」


 あら? 部下をやられても動じないタイプの上司か。魔王のところはきっとブラック企業だな、うん、間違いない。


「部下を何人殺したとて、結局は貴様が私を殺せなければ何の意味もないのだからな?」


 ごもっとも!!

 ぶっちゃけ、30人の取り巻きだの、500人の部下だの、そんな物居なくてもアドバンス1人で人間滅ぼせるくらいの力がある気がする……。

 だから、部下を全滅させたところで、コイツを仕留め損ねたら意味が無い。


 剣と剣で押し合い拮抗した状態。

 お互いに両腕が塞がった状態。だが―――アドバンスには、もう一手残っている。

 マントが不自然にフワッと浮き上がったと思った瞬間、黄金の鎧が横に吹っ飛んだ。


 尻尾か!?


 くっそ! 相変わらず尻尾の動きが早ぇな! 心の準備出来てねえと見えねえよ!

 大体オリハルコンの鎧の総重量何キロだと思ってんだよ! ゴムボールみたいに吹っ飛ばしやがって!!

 まあ、痛くも痒くもないのが救いか……。

 吹っ飛ばされた【仮想体】は、空中で一回転して軽やかに着地。と、同時に―――


「【ライトニングボルト】」


 雷撃が襲いかかった。

 避けられない―――! まあ、別に避ける必要もねえんだけど。

 バチッと空気が弾ける音がして、雷撃の衝撃を受けて【仮想体】が一歩下がる。


「ほう……オリハルコンの鎧であっても雷撃は効くと思ったが、弱点は対策済み……と言う事か」


 いえ、まったく。

 属性対策とか、やり方が分かんねえし。とかツッコミを入れつつ―――


【ライトニングボルト】


 無動作でまったく同じ魔法を返す。

 が、アドバンスの反応が嫌になる程速い。雷の出を見るや否や、マントで【ライトニングボルト】を当然のように弾く。


「おっと」


 チッ……。

 魔王自身の強さもだが、あの防御力がバカ高いマントがやっぱり邪魔過ぎる。アレを何とかしねえとまともに攻撃が入らねえな……!



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