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7-9 猫の朝は早い

 アザリアの朝は早い。

 陽が昇る前に起き出し、モゾモゾとベッドの中で少しの時間ゴロゴロして過ごす。

 そして、ベッドの中でゴロゴロしながら、抱っこされて寝ていた(おれ)を猫可愛がりする。

 そこで俺の目が覚めた。

 「え~、まだ夜明けじゃーん……」と抗議はするが、俺の言葉の分からないアザリアに抗議の言葉が届く訳もなく……、アザリアの心ゆくまでニャンニャンされた……。あ、ニャンニャンつっても、別に「うち、穢されてしもうた……」的な奴じゃねえから。ごく普通に俺がニャンニャン言わされてただけだから。

 俺の事をギュッと抱きしめながら、更にゴロゴロする。


「猫にゃんが居ると、とっても良く眠れるの」


 ………スイマセン、実は中抜けしてました。

 まあ、でも、結果的にお前さんを助ける為だった訳だし、誰からも文句を言われる筋合いはない。


「良し! じゃあ、着替えちゃいましょう」


 寝間着を脱ぎだしたアザリアから目を逸らし、俊敏な動きでアザリアの腕から抜けだし、サッと部屋の外まで逃げる。


「あっ、猫にゃん!」


 まだ陽が昇り始めたばっかりなんだから、大声だすなよ……。

 流石に寝間着半脱ぎの状態で追いかけて来る事はなく、その間に宿屋の外まで逃げる。

 宿屋の外に出るや、何事も無かったようにトコトコと人通りの少ない通りを歩く。

 はぁ……猫好きと一緒するのも疲れる……。

 別にアザリアの事が嫌いって訳じゃない。むしろ、どちらかと言えば好きと言って良い。……なんかバルトの時も同じような評価してたな、俺。

 アザリアの奴、猫好きをもう少し抑えて、俺の事を猫可愛がりしないなら、ちっとは付き合いやすくなるんだけどなぁ……無理か、あの猫キチには。

 朝飯……は、収集箱の中身で適当に済ませば良いや。

 教会の方の様子を今のうちに、もう1度見に行ってみるか?

 周囲に、怪しい気配は無いな? 昨日叩いたお陰で、下手に見張りをつける事は止めてくれたらしい。

 まあ、居たら俺が排除しちゃうからな? 戦力減らすだけって教父爺が気付いたんだろう。


 特に警戒はしないでトコトコとヴァリィエンス教会に向かう。

 敵が攻撃して来てくれると、コッチも突っ込んでいける理由になって楽なんだけどねぇ。

 昨夜俺が倒した見張りの奴等は、俺が戻ってきたら跡形もなく消えていた。

 確実に息の根は止めたし、逃げたって可能性は無い。とすれば、連中の仲間が死体を回収して戦闘の形跡を消して行ったと言う事だ。

 まあ、あの死体は連中にとっては都合の悪い物だったし、当然の行動ではある。

 

 色々考えている間に教会に到着。

 ………?

 なんだか、妙に静かだな? 昨日俺が(つつ)いてビビって引き籠ったのか?

 それでそれで困るが、潜入する分には楽でいいな。

 一応確認だけはしておくか?


 コソッと裏路地に入り、人目が無い事を確認してから……


 【全は一、一は全(レギオン)


 目立たない小さめの短剣とナイフを浮かべ、アクティブセンサーから入って来る情報を適当に並列思考に投げて、必要な情報だけ読み込む。


 町中に【悪魔】の特性持ちは居ない。

 ただし、教会の中にはウジャウジャ居る。

 アクティブセンサーが上手く特性を読み込めない奴が教会の中に居る……多分コイツが教父爺だな?

 もう1つ。

 【勇者】の特性を持ち、神器“冷雹の双剣”を片方づつ持っている2人。

 あの双子も、この教会の中か……まあ、下手に別の場所に居られるよりは分かり易くて良い。


 魔王スキルを閉じる。

 微かな疲れを体に感じながら、思考を回転させる。


 さて、こりゃどう言う事かしら?

 ぶっちゃけ、【悪魔】憑き以外は普通の人間だから、町中に連中の手駒が出ていても分からない。

 だが、【悪魔】憑きを引っ込めたのはどう言う事だ?

 【悪魔】憑きは、耐久力もパワーもスピードも普通の人間を軽く凌駕する。って事は、教父爺の手駒の主戦力は【悪魔】憑きで間違いない。

 なんで、それを引っ込めた……?

 昨日俺と殴り合ったから、何かしら別の動きをし始めたのか?

 裏で何かしら策が動いてる……とか?

 昨日の会話で、何かヤバいらしい物を作ってるとか言ってたしな……。

 

 ま、良いや。

 七色教が何を仕掛けて来ても、コッチはそれをぶち破って教父爺と勇者の双子にリベンジするだけだ。

 あと、ついでに七色教の評判ガタ落ちにして、2度と立ち上がれねえようにしてやりたい。

すいません。諸事情により、いつもより大分短いです……。

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