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1-14 猫は運命と出会う

 深淵の匣が、何の抵抗もなく開く。

 本来ならば呪いでぶっ殺されるらしいが、都合良く【制限解除】のスキルを貰ったお陰で俺はノーダメージです。

 まあ、それはともかく。

 こんな大層な入れ物に、何が入って居るのかしら…っと。


――― 剣


 一本の剣が、箱の底にポツンと置かれていた。

 オリハルコンの鎧と違って、傷がつかないように布に巻かれていない。むしろ雑に放り込まれただけのように思える。

 この剣……明らかに普通の剣じゃないよな?

 二本のチューリップが絡まり合っているような柄。

 仄かな光を帯びた刃。

 吸い込まれそうになる気配。こう言う空気を“神聖”とか言うのかな?

 まあ、とりあえず―――凄いレアっぽい雰囲気がビンビンですね!!

 では、早速。


『【旭日の剣 Lv.382】

 カテゴリー:武器

 サイズ:中

 レアリティ:★★★★★

 所持数:1/1』


『新しいアイテムがコレクトされた事により、肉体能力にボーナス(効果:大)』


『条件≪レアリティ★以上のアイテムをコレクトする≫を満たした為、以下の派生スキルが解放されました。

・仮想体』


『条件≪Lv.100以上のアイテムをコレクトする≫を満たした為、以下のカテゴリーが解放されました。

・カテゴリー:魔法

・カテゴリー:天術

・カテゴリー:特性

以後、解放されたカテゴリーの能力をコレクトする事が可能になりました』


 うん。いや。え? うん。ちょっと待とうか?

 色々ツッコミを入れたいけどどこからやれば良いのか分からん……。

 えーっと……順番に行こう。

 まず、レアリティ★って何さ? ランク外…とか? いや、あの凄そうな剣がF以下の評価って訳はないだろうし、もしかしてAの上のランクって事か? そして、この★の数が多い程レアリティが高いって事?

 Lv.382って何? レベル1ごとに武器性能に+1とかだとしても、能力値プラス382って事でしょ? 何それ? どれだけ強化されてんの?

 所持数の限界が1? 1つしか所持出来ないって事なのは分かる。レアリティが高過ぎるから御一人様1つまでって事なのか? ……スーパーの卵の特売的なノリで…。

 いや、待てよ? レアリティA以上の剣って事は、もしかしてこの旭日の剣とやらは、唯一の(ユニーク)武器か? それなら所持数が1なのも頷ける。だって、世界に1つしか存在しないんだもの。

 だとすると、レアリティ★ってのも、世界に1つしか存在しない物に対しての評価って可能性があるな。だって、世界に1つって事はどんな物であれ希少度最高になる訳だし。その中で更にランク付けする為の別口の表記……とか?

 まあ、もう1つか2つ★のアイテム収集してみないと分かんねえな。一旦保留。

 肉体強化ボーナスが効果(大)……やっぱりレアリティ高いからかな? ログを読み返したら深淵の匣の時も効果(中)だし。身体能力上げたいなら、レアリティ高いアイテムを集めるのが効率的なのか。まあ、そんな簡単に手に入らないからのレアリティの高さなんだろうけど。

 なんか、条件満たして解放されてるのがいっぱい…。

 コレクト対象に魔法、天術、特性が追加された……。魔法は分かります。異形達が使ってた奴でしょ? 天術と特性ってなんだべや? まあ、色々やってればそのうち分かるか…。

 で、最後に……新しいスキル【仮想体】。

 

【仮想体】

『疑似的な肉体を創り出す事が出来るようになる。

 ただし、物体的には存在せず、触れたりする事は出来ない』


 意味が分かりません。

 説明だけ読むと、「え? それ意味あるの?」って感じですけども……。とは言え、スキルとして存在してるって事は、何かしら使い道があるんだと思うけども。

 ヨシ、ツッコミ終了。


 危険覚悟で潜入した甲斐があったな。

 収穫いっぱいで嬉しさ100倍ですな。

 あっと言う間にバリバリっと強化されて、かなり強くなったんじゃないか? まあ、それでも外の異形1人にも勝てる気がしませんけど…。

 さてさて、貰う物貰ったし、さっさとケツ巻くって逃げたいけども……どうしよう。

 正面突破は論外。やっぱり隙を窺ってそっと逃げ出すのが1番現実的だな。

 ……となると、逃げるまでは荷物動かさない方が良いんじゃないか? 逃げるまでに中を確認されたら、その瞬間に俺はジ・エンドだし。

 急いでオリハルコンの鎧、籠手、脛当てを木箱に戻す。布で包み直すのが猫の手だとむっさ苦労した……。

 深淵の匣を置いて、中に旭日の剣を放り込む。

 俺自身は、籠手と脛当ての箱の下の方に隠れておこう。

 後は【バードアイ】を使って外の様子を確認して、脱出のタイミングが来たらアイテムを回収して外へレッツダイブって寸法よ。

 鎧も剣も、箱ごと回収すれば一瞬だしな。

 んじゃ、のんびり機を待つとしましょうか。


 ………


 ……………


 …………………


 などと調子こいた事を考えてから、4時間が経過した。

 やべぇ……異形達が予想以上に隙が無い……。

 軽口叩きあっても、前後左右どこにも死角が出来ないようにそれぞれが歩く位置を変えるし、近付く者あれば問答無用でぶっ殺すし……。

 逃げられる隙がありゃしねえ……。

 時々、馬車を止めて中を確認する事も忘れない辺り、相当この荷物が大事らしい。まあ、レアリティ★の剣ですしね。

 逃げられないどころか、木箱から出る事も出来ない。

 ただ、じっと異形の話しを聞いていたお陰で少しコイツ等の事が分かった。

 この異形達は“魔族”とか言う存在らしい。

 そして、魔族の中でも特に大きな力を持った支配者13人を魔王と呼ぶそうな。で、この荷馬車の御者と護衛は、全員その魔王のうちの1人の配下らしい。

 魔族は人間の敵対者であり、ずっと前に起きた大きな戦いで人間側の最大戦力であった勇者達(勇者って1人じゃねえの?)が全滅し、今の世界では人間は魔族の奴隷になっているそうな。

 ……コッチの世界は、なんだか複雑ですなぁ……。まあ、元の世界も負けず劣らず面倒臭かったけど…少なくても現代日本に奴隷なんて無かった分ましか。

 その魔族の方々と馬車を一緒して4時間……。

 そろそろ空が白み始めるんじゃないかなぁ……とボンヤリ思い始めた頃、思いがけない物が見えて来た。


 町―――そして、それを囲む巨大な防壁。


 おお……夢にまで見た町だ!?

 これでついに俺にも静かな生活が……おっと嬉しさに涙が。

 いやいや、待てよ? 感涙してる場合じゃなくね? 町に着いたって事は、ここが目的地って事じゃないか? だとすれば当然荷を下ろしますよね? 中を(あらた)めますよね? 俺見つかる。ジ・エンド。

 アカンッ!!? このままだとバッドエンドコースじゃねえか!? 早いところ脱出しねえとまずい!!

 どうする…どうする? 本当にアイテムには手をつけずに逃げるか? いや、ダメだ。結局荷車から出られないんじゃ意味ねえ…。

 ………こりゃ、本当に強行突破覚悟しなきゃいけない流れか…?

 勘弁願いたいなぁ。逃げ切れる自信も、生き残れる自信もまったく湧いてこない。

 まあ、戦うような展開は本当に最後の最後だ。ギリギリまで、穏便に逃げる可能性に賭ける。

 無事に逃げる事最優先。その為ならここに有るアイテムは全部諦める。行動方針はそんな感じで。


 馬車が町に辿り着く。


 門の前に居た見張りらしき人間数名と異形……魔族1人。

 御者の鼠頭が、見張りをしていた魔族に何かを言うとそのまま見張りを素通りして町の中へ。

 そのまま中央通りを静かに駆け抜け、町の奥にある一際立派な御屋敷に向かう。いや、もう屋敷って言うか、小規模な城?

 ああ…いかん。完全にあそこが目的地っぽい……。

 やっべぇ……本当にどうしよう……!



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