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4-15 暗殺者のように

 俺にとっての最高にヤバイ展開は、マジンと因縁のある魔王達の耳に俺の情報が届く事だ。

 アビス曰く―――野郎以外のマジンと因縁のある2人の魔王……エトランゼとデイトナとやらも、アビスに負けず劣らずくそ強いらしく、俺がエンカウントすれば間違いなくぶち殺されるそうな……。

 それに、アビスのように気まぐれで見逃すような事もなく、戦いになれば死以外の結末はない……らしい。

 まあ、最大の懸念であった「アビスが他の奴らに俺の事を話す」って展開はなかった……と思っている。だって、もし話していたら、とっくに俺の前に(くだん)の2人が現れて殺されてるだろうし。

 で、アビスが話をしていないとなると、なおの事俺の情報が出回る事を止める必要がある訳だ。


 俺の最終目的がアビスを倒せるようになる事である以上、どこかでこの2人にも戦いを挑む事になるのかもしれないが……少なくてもそれは今じゃない。と言うか、こっちは「戦う為の準備が整っていない」どころか「準備を始める段階にすらなっていない」ってのが本当のところ。

 ……いや、だって仕方ないじゃん? アビスとやり合ってから旅立って、それから何か大きな変化も無いし……。


 まあ、ともかく―――だ。

 (おれ)が魔法を使うところを見られた以上、この魔族共を生かしておく訳にはいかない!

 いや、一応俺の名誉のために言っておくが、積極的に殺しに行きたい訳じゃないのよ? 俺の魔眼【紛い物の幻(フェイクミラージュ)】で幻を見せて誤魔化すって手も考えもしたしさ?

 例えば、(おれ)が人間に見える幻。すると、相手は当然「猫が人間になった」ではなく「人間が猫に化けていた」と思うだろう。

 だが―――だが、それでもリスクはリスクだ。

 こいつ等の装備品がそこそこ良い事を考えれば、この魔族共には装備品を提供してくれる後ろ盾が居る。まあ、それが魔王かどうかまでは知らないが……その後ろに居る奴に「魔法を使う猫」なんて単語を言われて、それが魔王に伝わったらそれこそ面倒な事になる。


 勿論、ここで後ろ盾のある魔族を殺す事もリスクである事は理解しているが……どっちのリスクが大きいかと考えれば、そのリスクは……まあ、飲み込めるレベルだ。


――― っつう訳で……


 【重力魔法(グラビティ)


 俺を中心とした約100mの範囲を重力で押し潰す。


「がぁッ!?」「ぅぐっ!?」「なっ……!?」


 騒ぎに気付いて近付いて来ていた魔族27名を纏めて地面に縛り付ける。

 まずは敵の逃げ足を封じる。

 よし、敵の中に【術式解除(ブレイクスペル)】でこっちの魔法を(はず)してくる奴は居ねえな?

 まだ、この場には居ない仲間が居る可能性がある。こいつ等を始末するのなら手早く、かつ静かに、だ。



 悪いね魔族諸君? 君等には特に恨みはないんだけど、コッチの事情で全殺しだ。

 こんな場所で俺に出会った不幸を恨んでくれ。



 【仮想体】に旭日の剣だけを持たせ、遠くの敵から片っ端から首を刎ねて殺していく。

 同時進行で俺も猫の爪で近くの魔族を引っ掻く。まあ、“引っ掻く”とか可愛く表現してるけど、俺の引っ掻くは、並みの魔族相手なら体をゴリッと(えぐ)り斬って殺しちまうんだけどね。

 ついでに消音性の高い【シャドウランサー】を飛ばして鎧ごと魔族の心臓を撃ち抜いていく。


 魔族達は悲鳴すらあげない。

 あげる余裕がない。

 だって、そもそも今目の前で起こっている事が理解できていないから。


 剣が勝手に飛び回って仲間の首を刎ね、猫の前足が振られるたびに魔族の体から血飛沫(ちしぶき)が舞い、猫が魔法を放つだけでも驚いているだろうに、その魔法の威力が魔王級だと言うのだから、そりゃあ混乱して悲鳴も出ないだろうよ。

 まあ、悲鳴も断末魔もないのは、静かに事を終わらせたい俺としては有難い。

 

 27名を全滅させるのにかかった時間は約10秒。相手が抵抗どころか身動き取れないんだから妥当な数字だろう。

 大規模な範囲魔法使って良いなら1秒で終わったんだけど……それは言っても仕方ない。

 さてっと、誰かに見られる前に証拠隠滅しねえとな?

 【仮想体】と旭日の剣を引っ込めて、魔族の死体に触れて装備ごと収集箱の中に入れる。

 サスペンスドラマだと、死体の処理で犯人が困るって描写をよく見るけど……俺には無縁の話だよなぁ。

 どうでも良いことを考えながら死体を放り込んでいると―――気になる物を発見。

 死体の1つが持っている武器に見覚えがあった。

 確かこれ、アレだよな? レティの馬車が襲われてた時に近くに居た魔族が持ってた弓だよな?


『【風鳥の羽(ゲイルフェザー) Lv.23】

 カテゴリー:武器

 サイズ:中

 レアリティ:C

 属性:風

 所持数:1/10

 この弓から放たれた矢には、貫通効果(小)と追尾効果(中)が付与される』


『新しいアイテムがコレクトされた事により、肉体能力にボーナス(効果:微)』


 お、レアリティCだ。

 ってか、貫通と追尾効果付与ってやっぱそうじゃん! 俺が取り逃がした魔族が持ってた弓だよ!!

 ……いや、でも1品物って訳じゃないし、たまたま同じ物を持ってるだけって可能性もあるか……。いや、ねえだろ!! レアリティCだぞ? こんな短い期間に同じ装備を持ってる奴にエンカウントしたら、そりゃ同じ物だろう。

 って事は……こいつ等はあの逃げた魔族の仲間って事か?

 だとすると、こんな深夜に町の近くをうろついて居たのは、またレティを狙ってた……とかか?


 うーん……考えても分からん。

 とりあえずこの問題は保留で。

 とにかく、誰かに見られる前にさっさと屋敷に戻るべ。


 速足で屋敷を目指しながら、ログが流れている事に気付き、ついでなので確認しながら戻る事にする。


『【銀の矢 Lv.8】

 カテゴリー:素材

 サイズ:小

 レアリティ:E

 所持数:28/30』


『【銀の籠手 Lv.11】

 カテゴリー:防具

 サイズ:中

 レアリティ:E

 所持数:1/10』


『【銀の脛当て Lv.15】

 カテゴリー:防具

 サイズ:中

 レアリティ:E

 所持数:1/10』


『【銀の鎧 Lv.17】

 カテゴリー:防具

 サイズ:中

 レアリティ:E

 所持数:1/10』


『新しいアイテムがコレクトされた事により、肉体能力にボーナス(効果:微)』


 お、銀装備だ。

 さっきの弓持ってた奴の装備か。てっきり魔法銀(ミスリル)装備かと思ってたけど……むしろランク下だったわ。けど、まあ、新しく収集(コレクト)出来たのだから結果オーライ。


『条件≪100種類のアイテムをコレクトする≫を満たした為、以下のうちから1つボーナスを選ぶ事ができます。

・肉体能力強化(効果:大)

・特性装備のスロットを1つ追加

・新しいスキルを取得する(ただしランダム)』


 おっとー、ついにアイテム数が100突破した。

 おめでとう俺。よく頑張った俺。まあ、全然まだまだ通過点だけどな?

 さってさて、お楽しみの選べるボーナスな訳ですが、どうしましょうかねっと。

 肉体強化は毎度の如くスルーで。

 いつもならランダムでスキルを貰うところなんだけどねぇ。このスキルガチャどうやらハズレは入ってないみたいだし。何が出ても損しないように出来てる超優良ガチャみたいですし。

 ……けども、今回はパスで。


――― “特性装備スロットを1つ追加”


 これってアレでしょ?

 今まで1つしか特性装備出来なかったけど、これで2つ装備できるようになるって事でしょ?

 【魔王】の特性プラス【魔族】の特性でも付けとけば、魔力のプラス補正が凄い事になるんじゃない? 人型相手にする時は【処刑人(エグゼキューター)】に切り替えたって良いわけだし。

 それに、これから先にもっと役に立つ特性が手に入る可能性だってある。その時の為にも、装備枠は多いに越した事はない。

 って訳で、装備スロットの追加でお願いします。


『特性の装備スロットが1つ追加されました』


 ヨシ、とりあえず【魔族】の特性でも付けて……いや、待てよ?

 【魔王】の特性の効果で経験値プラス補正かかるじゃん? でも【魔族】の特性ってレベルカンストしてるやん? これってちょっと損じゃない? ……いやいや、再び待て俺。【魔王】の特性にはもう1つ効果があるじゃん。“能力限界突破”があるから、もしかして【魔族】の特性もカンスト状態からもっとレベル上げられるんじゃね?

 ………とりあえず試すだけ試してみるか。

 っつう訳で、【魔族】を装備で。


『【魔族】の特性を装備しました。スロットが埋まった為、特性を変更する場合は現在装備中の特性を解除して下さい』


 これでヨシっと。

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