研究室の主(後編)
研究室の主編が終了です。
後はマルスが話すようになっていた。
わしはそう頼んだからだったが、不滅の隠者は機嫌がよくなかった。
その昔、不滅の隠者になる前の話だった。
ミクルはこの地下宮殿に一人で研究を続けていた。他の世界と隔絶していたが、突如としてやってきた同じ不滅の隠者の男にだまされてしまい、封印されていたようだ。その後はよくわからないということだった。
長い間封印されていたため、生前の世界も、今の世界もよくわからなかったので、イリバーにいろいろ聞こうとしたが、教えてくれず、そんなに知りたければ自分で見ればいいだろうという一言で、ここを出る決心をしたとのことだった。
もともとここ以外のことはあまり知らないので、外には興味があったらしい。
しかし、屍龍が主を倒されたことから、制御が効かなくなってしまいあの数は面倒だと思っていた時に、真祖の言葉を思い出したようだった。
それはわしらの来訪を告げるものだったらしい。
待つのは得意だからずっと待っていたということだった。
そしてわしの魔法に興味を持ったということだった。
「あたしも、長いこと魔術師やってるけど、あんな魔法はみたことないのよねぇ。どうやって構築したのか興味あるのよぉ。」
そういうことだった。
「その死霊の壺はどこにあるのかの。あと、その辺に地縛霊がいると思うんだが、何か知っているか?」
わしは一応丁寧に魔法のことを話した後、そう尋ねていた。
「ああ、この屋敷の地下室に置いてあるわぁ。それとそこにその地縛霊がいるわぁ辛気臭いのよぉ。一応話を聞いてあげたけど、奥さんを殺されたとかぁ、何とか公爵が悪いだとかぁ、恨んでやるとかの一点張りでねぇ。貧相な真祖が言うには、この上で怨念を持って死んだからここにいるんだろうってぇ。あと、あの壺はいまあの地縛霊が制御しているわよぉ」
重要な情報をありがとう。
わしは心の中だけで感謝していた。
「役に立てたかしらぁ?」
不滅の隠者のミクルがそう言って満足そうにわしを見た。
心が読めるのか?
わしは、焦ってしまった。
「いや、デルバー。おまえ手握られてるから・・・・。」
マルスがニヤつきながらそう言ってきた。
「おおう!」
情けない叫びをあげていた。
二人は爆笑していた。
「大丈夫ようぉ。吸精はしてないからぁ。呪いもかけてないわよぉ。」
笑顔で手をひらひらさせていた。
ひとしきり話した後、必要な情報を得たわしたちは、不滅の隠者のミクルに感謝を告げていた。
不気味な庭での会談を終え、旅立つ不滅の隠者のミクルに注意しておいた。
「くれぐれも姿を現さないこと、無暗に接触しないこと。人に危害を加えないこと。」
これが送り出す条件だった。
「いいわよぉ。あたしもこれから外の世界を見てくるわぁ。魔術の基本は好奇心だものねぇ。また、どこかで会えるとうれしいわぁ。あと、死んだら会いに行くわぁ。」
縁起でもないことを言うやつじゃった。
「よし、じゃあ行くかの。」
和やかな雰囲気にはならない庭でのひと時の安息に似た何かの時を過ごし、わしたちは、わしたちの目的を果たしに、屋敷の地下を目指していた。
マルスがまた短剣で何かを書いているのを、水の魔法で消し去っておくことをわしは忘れずにいた。
いよいよ、目的の場所にたどり着く?




