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魔法学校に筋肉は不要ですか?  作者: おんぼろ
2/2

ミッションNo.0


《黒鉄仁、病院に運ばれる》



「う……そ……」


少女が信じられない光景を目にしたかのように唖然としている。同感だ。死ぬかと思ってなりふり構わず振り回した拳が、まさか巨人を粉砕するなど思えるだろうか。思えない。少なくとも俺は思ってなかった。


「……おぉぉぉぉぉぉ?!え、オエェェェェェ!」


死を前にした緊張感。生物を撲殺した罪悪感。ツンと鼻をつく鉄のような血の臭い。様々なものが胸を去来し、俺は吐き出してしまった。


「ちょ……あ、アンタ大丈夫……なの?」

「う……うぅ……」


何故かわからないがとめどなく流れる涙のせいと、生まれてこのかたロクに人と話していないせいで言葉に詰まる。とりあえずわからないが伝えなくてはーー


「助けて……くれて……ありがとうござい……ます」

「い、いや!良いのよ。アタシは大したことして無いから」


どこか怯えつつも少女は笑みをこぼしつつそう言ってくれた。


「そんな事より早く病院に行かないと!今連れて行ってあげるから!!……っ!」


少女は自分の痛みなんて気にしないかのように俺の心配をしてくれる。明らかに少女の方が重傷だ。特に地面と激突した左肩は赤黒く染まっている。


「俺は大丈夫ですからーー」

「オーガの一撃くらって大丈夫なわけ無いでしょ。ほら早く行くわよ」


緑色の瞳に少し呆れを宿しながら少女は俺を連れて行こうとする。頑として折れそうに無い意志を感じるし、正直自分がどれ程ダメージがあるのかわからないので、抵抗はせずに病院に向かうことにした。


「アナタ、名前は?」

「俺は……黒鉄仁です。黒いに鉄。仁義の仁で、仁です」

「そう、アタシはレイア=ユーフィミア。レイアでいいわ」


そう言うと屈託の無い笑顔で少女は笑った。その笑顔で緊張の糸が切れたのか、俺の意識は途切れてしまう。


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