天ぷら
掲載日:2015/05/25
油の中に、衣をつけて。
とぷん。
きつね色の、海に。
とぷん。
僕は、ダイビング。
ねっとりと、思ったよりも粘度が高い油は。
僕を、やわらかく包んで、離さない。
下へ、下へ、引きずり込んでいく。
着飾ったまま、底についた。
溶けだした気分は、泡になって。
時々、上に上っては、パチリ。
中まで、よく火が通って。
溶ける気分も、絞り切って。
軽くなった体を、放り上げ。
気分を掬って。
絡まった油を切れば。
きっと、ご飯によく合うだろう。
少し。
忘れ物をした。
少し、軽くなった。
僕は。
油の中に、何を忘れてきたのだろう。
鍋を見れば。
残してきた気持ちが、寄り集まって。
玉になって。
それはそれで。
天かすになったら、使い道もあるだろう。
そうしたら、忘れ物も、悪いことじゃない。
きっと、それはそれで、いつか。
日の目を見ることも、あるんじゃないかな。
そんなことは、さっくりと上がった後に、考えればいいじゃないか。
それとも。
天かすは。
かき揚げなんて、羨ましくもないのかもしれない。
オイシイデスカ?




