#10.
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「感情など無用なものだ。貴様は我が王国の兵器だ。ただ命じられた任務を遂行することだけが、貴様の存在意義であることを肝に銘じよ」
いつからこんな言葉を聞かされてきたのか、記憶にない。ただずっと昔、彼がまともな思考を持つ前から、同じ言葉を聞かされてきたことだけを覚えている。
私は兵器だ。
殺し、壊し、消し去ることだけが私の存在意義だ。
感情も思考も必要ない。ただ命じられるがままに遂行するだけの人生。
幼い頃は、命令に対して疑問を抱かなかった。年を重ねてからは、疑問を抱くことさえ許されなかった。いっそ命令通り、心のない人形になれたなら、どれほど楽だっただろうか。
心を持ってはならないのに、命を奪えばその分だけ心が痛んだ。
感情を持ってはならないのに、緑あふれる世界を目にすれば、どうしようもないほどの充足感に満たされた。
人を殺したくない。誰かを不幸にしたくない。しかし、呪いのように絡みつく命令は、彼に自由を与えなかった。
兵器にも人間にもなれない。中途半端な存在として生きてきた彼の世界は、いつも赤く、暗いだけだった。
死にたい。
疲れ果てて倒れ、気絶するように眠りにつく前、リュエンはいつも同じことを考えていた。これ以上生きたくない。しかし、心を裏切る利己的な肉体は、いつも彼を絶望のような朝へと放り出すのだった。
一体いつになったら、この悪夢は終わるのだろうか。
いつも同じことを考えていた。数十年間続いていたその思考が途切れたのは、わずか三年間。
そう、その三年間だけは、死にたいと思ったことがなかった。血生臭い戦場の中で、彼が殺すべき命たちの中で、輝く「夜明けの光」を見た時。リュエンは初めて、死にたいという願いを忘れることができた。
彼女と対峙した瞬間のことを覚えている。
血と肉片、凄惨な叫びと呪詛の言葉が飛び交う中で、孤高に立っていた幼い子供。
夜空を混ぜて染め上げたような漆黒の髪と、黎明を閉じ込めたような青紫色の瞳は、揺らぐことなくリュエンを見つめていた。
あの華奢な体のどこから、あれほどの力が出るのか分からなかった。しかし、周囲の大人たちが皆倒れ伏す中でも、彼女は最後まで戦場の真ん中に立ち続けていた。
自分よりも大きな盾を構え、皆を守りながら。
まるで長い夜を終わらせ、夜明けを連れてくるかのように……。
リュエンの前に立つ者たちは、いつも死んでいった。死なないのは、彼に命令を下す少数の「王族」だけ。
だが、プリシラがリュエンの前を塞いでいる時は、リュエンは誰一人として容易く殺すことができなかった。どれほど執拗に攻撃し、袋小路に追い詰めても、プリシラは生き残り、彼女の周囲を守り抜いた。
何度も、何度も。プリシラはリュエンの前に立ちはだかった。美しい夜明け色の瞳を見つめていると、息がつけた。
プリシラの前に立てば、リュエンは人間でいられた。彼女の前でだけ、リュエンは人間でいることができた。プリシラと向き合っていれば、朝が怖くなかった。死を考えることもなかった。
戦争は永遠に終わらない。だから、永遠に彼女と向き合っていられるのだと思っていた。
しかし、彼の願いは泡のように消えた。リュエンの祖国であるガエル魔導王国は、魔力暴走による王国崩壊という名の下に、虚しく幕を閉じた。
突如として、悪夢は終わった。しかし、リュエンの人生は何一つ変わらなかった。相変わらず彼の世界は、どす黒い赤色だった。いや、一度光を見てしまったがゆえに、以前よりもさらに暗く、苦しく沈んでいった。
数万人が見守る前で、両腕と舌を切り落とされた。苦痛のあまり気絶することさえ許されなかったリュエンは、奴隷となり、世界中を売り飛ばされた。リュエンが無残に変えてしまった数多の国々で、彼は自らが犯した罪の分だけ、苦しみ、悩み、痛みに悶えなければならなかった。
苦しい。死にたい。
けれど、死ぬことができなかった。彼がこれほどまでに苦しいのは、彼の業であり罪なのだと、誰もが言った。
私は無様に生き残り、死ぬその瞬間まで苦しまなければならない。容易く死んではならないのだ。私が殺した人々の分まで、苦しく、辛く、痛みに耐えながら生を繋いでいかなければならない。
それが、私の罪だから。
それが、私の存在意義だから。
戦争が終わって三年。リュエンは世界中に罵倒され、人間以下の扱いを受けてきた。これほど経てば慣れても良さそうなものだが、痛みには慣れることができず、相変わらず苦痛に満ちた日々が続いていた。
だが、それも長くはもたないようだった。少し前から体に感覚がなかった。起きていても眠っているようで、眠ることも食べることもできなかった。
終わりが近づいている。一生願ってきた宿願のはずなのに、あまりにも辛かった。生きたかった。
死が訪れるのなら。せめて一度だけでもいい。
(あの時の、夜明けの光を見ることができたなら。)
微かに明滅していく視界の中で、抱いてはならない願いが浮かんだ。あってはならない願いなのに。私は苦しみながら死ぬべき存在なのに。
声にならない呻きが、苦痛とともに漏れ出した。
夜明けの光が彼を訪れたのは、その瞬間だった。奇妙な浮遊感とともに視界いっぱいに映ったのは、暗い夜を溶かして染めたような黒髪、うなじが露わになった短い髪と、あどけない白い顔。透明なほどに輝く、夜明けを閉じ込めた青紫色の瞳。
[黒き、防壁]
声すら出ない乾いた喉から、彼女の幼名が漏れた。どれほど崩そうとしても、壊そうとしても、漆黒の髪をなびかせながら孤高に立ち続ける黒き防壁。
リュエンの呟きに、気づかれたのが意外だと言わんばかりに彼女の瞳が見開かれ、やがて三日月のように細められた。
疑問を口にする暇もなく、プリシラはリュエンを抱き上げた。最期の瞬間に目にするのが彼女の顔だなんて。自分の悲惨な人生を同情した誰かが、慈悲を授けてくれたのだろうか。
それなら、永遠に彼女の腕の中で眠りにつきたい。かろうじて保っていた意識が途切れるのは、一瞬のことだった。
***
固く閉じられていたまぶたが、ゆっくりと持ち上がった。薄暗い夜明け。彼女の瞳の色に似た青灰色の空が、四角い窓いっぱいに映っていた。
ここはどこだろうか。
ベッドに横になったことなど、人生で片手で数えるほどしかない。この三年間は、まともに眠ったことさえなかったはずなのに。
久しぶりに深く眠ったせいだろうか。記憶が曖昧だった。ただ、長い暗闇の中で夜明けの光を見たことを覚えていた。必ず戻ってくると約束したことを覚えている。
それとも、今この状況すべてが都合のいい夢で、自分はまだ道端に転がっているのだろうか。もしそうなら、絶対に夢から覚めたくない。
リュエンはぼんやりと瞬きをした。存在するはずのない腕に、温もりを感じた。思わず視線を落とすと、彼の手をぎゅっと握ったまま突っ伏している小さな人影が見えた。うなじが露わになった短い黒髪。長いまつ毛が白い頬に影を落としている。節の細い、しかし傷跡だらけの荒れた手は、リュエンの手を絡め取るように握っていた。
呆然と……ただ呆然と、自由な方の手を持ち上げ、白い額に散った髪をそっと撫で上げた。高級な絹のように柔らかな髪が、指先の間で流れていった。
「プリシラ……」
思わず名を口にすると、黒いまつ毛が微かに震え、夜明けと生き写しの青紫色の瞳がリュエンに向けられた。
まだ眠気に誘われているような、それでも彼に応えたいというような。微かな微笑みを浮かべながら、プリシラが口を開いた。
「おはよう、リュエン。よく眠れた?」




