第4話「貴族」
------------領内の山林・中腹
3歳の僕は今日、父上とともに狩りに出かけた。どうやら父上も僕に色々、経験させたいようで、3歳ながらにしてバイコーンの乗り方を覚えた。
バイコーンは前世でいう馬のような存在だがうちにはこれで十分。どうやら皇族や公爵家の方々だと更に上位のアレイコーンやユニコーンもあるようだ。ちなみに最上位の馬型魔物はスレイプニルだとされていて人気がある。
今回狩るのはウサギ型の魔物キラー・ラビットやボーパルバニー。鹿型の魔物であるエイクスュルニル、ケリュネイアなどだ。ちなみに鹿型の前者は牡鹿で後者は牝鹿になる。どちらの名前も前世で聞いたことがあるような気がしないでもないけど、現在の異世界では特に気にしていない。
「父上、あれは?」
「でかしたぞカイル。あれは上物のキラー・ラビットだ。兎肉のスープができると思うぞ。」
「ベネディクト、あとどれくらい狩る必要があるんだ?」
「旦那様、それはあと80体ぐらい狩らないと私ども含めて使用人が食べれません。」
どうやらベネディクトも今回、付いてくるようだ。僕は楽でいい。前世では狩りは兄上とともにやったことがあったっけ?まぁいいや。
「どうやら今回は野営する必要性がありそうです。」
「ベネディクトの言うとおりだ。なあに、馬車には食糧がある。それよりも兎肉をなんとか干し肉して保存できたりしないかそっちが心配だ。」
父上の言うとおり、日が暮れてきた今日は野営する必要性がある。狼型の魔物や熊型の魔物の心配はあるがとりあえず今日は野営したほうがよさそうだ。
僕たちは川辺から近づきず遠からずの場所に野営テントを敷き、野営をし始めた。僕は父上に弓矢の扱いを教わる。さすがにまだ3歳には危ないと父上も思ったのか弓矢には僕は触れず代わりに見せてくれたりだけに留まっていた。
------------領内の山林・川辺
相変わらずこの異世界の空は青色と青緑色の月が2つあって大小様々な星がある。
「父上、今日も星が綺麗ですね。」
「うむ。あの星々は綺麗だな。まるで私達の先祖のようだ。」
「さて、カイル、おまえこのまえアイスドラゴンと出会った件だが..........」
「???」
「私とベネディクトとおまえだけの秘密にしたい。お母さんとは一度、私が詳しく話している。」
「とりあえず、今日はもう寝よう。」
------------アゼルスタンの館・執務室
「ほう。甥がアイスドラゴンと出会っただと?」
「はい。襲われておらず、アイスドラゴンに認められていたような感じでした。」
「うむ。甥は.......竜勇者か........。アゼルウルフ兄さんは話してはくれなかったがそれが理由か.......。」
「ありがとう。ゼノ、もう休んでもいいぞ。」
「執事としては私より先に旦那様が休まれてほしいのですがね.........。」
「仕方がないぞ。私はアゼルウルフから分家として一応、認められてアストリア侯爵家領の一部を男爵領として貰っているのだ。」
「なのでこの街ジュドーを俺達、ヴェルトマルト男爵家で盛り立てていこうではないか。」
「はい。お手伝いさせていただきます。」