第1話「王になれなかった三男王子〜異世界転生してしまう」
みんなは異世界を知っているだろうか。これは失礼。初めまして。アゼルウルフと言う三男王子。つまり末の子だ。私は七人の兄弟がいた。兄にエゼルウルフ、アルフレッドがいた。みんなはノーサンブリア王国を知っているだろうか。7世紀頃にゲルマン系アングロ・サクソン人が建てた国の一つだ。私も王になりたかったがなれなかった。
「ぜはぁ、ぜはぁ。エゼルウルフ!!クソ!!こんな曇り空では何も見えないじゃないか。」
「アゼルウルフ!!覚悟しやがれ!!べバンバーグ(※現バンバラ)には行かせはせん。」
「くそう。エゼルウルフ...........ああ、矢が........。」
私は気がつくと逃げていた。逃げに逃げてヨークまで逃げてきたがどうやら倒れてしまったようだ。
「私の命もここまで...........か..........。」
「願わくば......もう一度......王に........」。
雨が降ってきた。ああ、私は死んだのだな。偉大なる主よ。どうか私にもう一度、やり直す人生を。
――…………………――
「やぁ、我が子よ。産まれてきて誇りに思うぞ........。」
ああ、私は産まれ変わったのか。これも主の導きか。
「あなた........。」
「お疲れ、ソニア。今夜はもう寝てていいぞ。」
「今日、この子が誕生した。我がアストリア侯爵家のカイルが..........。」
「旦那様、書状が周辺の貴族門閥から届いておりますがどうしましょう?」
「うむ。親戚の貴族と別の家の貴族の手紙は別にして私の書斎に......運んでおいてほしい。ベネディクト。」
「旦那様、かしこまりました。」
今日、アストリア侯爵家に長男が誕生した。カイル・シャルルマーニュ・アストリアである。彼が後にこの異世界で王となる。それはそんな壮大な物語にすぎない。