ミラーリング
先日の活動報告で言及したミラーリングについて、掘り下げます。
本来のミラーリングとは、相手の仕草や言動を真似る行動です。
同じ仕草や言動をすると親近感が湧いて、好感度が上がります。これの最たる例がペアルックです。
ミラーリングを効果的に使うと、異性との仲も親密になるでしょう。相手の良い部分を真似して取り込んでいけば、素敵な人物に成長できるはずです。
そのミラーリングの手法を応用して、相手の言葉を立場を逆転させて返すことがネット上で猛威を奮っていました。
例示すると、「日本人男性は働き過ぎなので、休ませて女性を働かせましょう」という内容をミラーリングして「日本人女性は働き過ぎなので、休ませて男性を働かせましょう」となります。
ここで実際の統計データと比較します。
統計データが2020年の古いものしかなかったのですが、
日本人男性で週49時間以上も働く割合が20%
日本人女性で週49時間以上も働く割合が7%
でした。男女併せた年間の平均労働時間は1600時間ですので、男性の労働時間はかなり長いと言えます。
これで「男女で家事を分担」と考えると、男性側の家事の時間が短いのは企業による拘束時間が長いからという結論に至ります。
自称フェミニストが「男女平等を実現するには何が必要か?」とフィンランド社会を参考にした結果、「男性の労働負担を減らす」という回答が出ました。
この回答について自称フェミニストは黙殺したようですが、ネット上では以前より「男女の賃金格差は、単純に労働時間の格差」と言われ続けています。賃金格差や待遇改善を男女平等に合わせると、男性の労働時間を減らして、残業代を減らせば賃金格差も減少するという話です。
昭和の御代、男性は企業でバリバリ働き、女性は専業主婦として家庭を守るのが政府想定の標準世帯でした。
この標準世帯の場合、男性の年収は六百万円を超え、それが世帯収入となります。その代わり、男性は長時間労働を強いられ家庭を顧みる余裕もなく、育児や家事の全てを専業主婦である女性に任せきりになりました。
それでは女性の社会進出の阻害になるので、広報などを通じて男性の家事従事時間を増やす方向に社会が動き、女性も勤めに出る機会が増えます。
そして男女共同参画社会にあっては、政府想定の標準世帯は男女共働きで世帯収入が年収六百万円、つまり男女共に年収三百万円が想定されています。
自称フェミニストが婚活で求める年収六百万円の男性というのは昭和世代の企業戦士であり、平成・令和の御代では幻想世界の存在です。
実際にフィンランドでは男性の就業時間が短縮され、それに応じて収入も下がり、男女の格差が小さくなりました。その結果、晩婚化や非婚化が進んで、少子化社会になっています。
1965年以前のフィンランドの特殊合計出生率は2.5以上でしたが、1970年代には急激に低下して1.6、それからやや回復して今世紀初頭には1.8前後を推移していましたが、2020年を過ぎて急激に低下し、1.5を割り込みました。
子育て支援や育休制度の充実など、育児環境は整備されていますが、出生率の改善には繋がりません。
この点に関しては自称フェミニストの主張に耳を傾けて良いと思います。
自称フェミニストの主張する結婚を意識する理想の男性像はいわゆる「三高」です。
・高身長(180cm以上)
・高収入(年収1000万円以上)
・高学歴(大卒以上)
なおこれをミラーリングして女性に当てはめると、
・低身長(155cm以下)
・巨●(Eカップ以上)
・若さ(25歳以下)
となるそうです。私は健康的で、常識さえあればそれで良いと思うのですけどね。
自称フェミニストの主張を採用してゆくと昭和に戻りますし、何なら夫婦別姓などは江戸時代以前の風習に戻ってしまいます。
時代の流れに取り残され、意識を新しい時代に合わせて更新できない方々の末路は恐ろしく悲惨なものになるでしょう。
そうならないためには自らの頭で考えて、人類全体が幸福になる提案を打ち出してゆくしかありません。過去には失敗事例が多くありますから、それらを避けるだけでも時間的余裕が得られます。これを温故知新と呼びます。