神の暇潰し
『神』それは人々が生み出した幻想。『神』それは人々がすがる希望。『神』それは全ての誕生の起源。『神』それは頂点に君臨する存在。『神』それは、それは…
そこは過去か未来か、はたまた現在か、そんな時間という概念から隔絶されたその場所にそれは存在していた。
自分たち以外の生命が一切いないその場所でそれはあまりにも深刻そうに、しかしまるであまりにも軽々しく恒例の会議を行っていた。
「それじゃあ今回はアチシの内容で決定ということでOK?」
恒例と言っても数か月・数年単位で行われるものではなく、数千年間隔で行われるその会議は死ぬことのないそれ―――『神』にとっては生死に―――死ぬことはないが―――関わるといっても大袈裟な表現ではなかった。
「で、どうするんだ。適当に寄せ集めてくればいいのか?」
「ノンノンノンですね。適当では面白くなーいのです。選べるのは各々一つだけ,そしてそれは知的生命体であることが条件でーす」
それだけではない。神Aは神Bの質問に答えると、突拍子もなく重大すぎるルールを追加する。
「勿論、優勝者には景品を上げちゃいまーす。なんと、その景品は、『次回の暇つぶしの決定権』でーす。OK?」
普段の場でこんなことを言っていたなら絶対に袋叩きになるであろう内容。
しかし今回の神Aの内容はその発言を許すことの出来る内容だった。
否、その発言の―――景品のために考えた可能性も高い。
故に誰も神Aに対して意見を呈することはなかった。
「沈黙はOKということで、うーんどうしよっかな…。まぁいいや皆が選び終わったら開始ということで解散!」
その暇潰しの内容は、まるで命の尊さを知らない子ども。もしくは道徳を学ぶことなく成熟した大人が考えたような非道なゲームだった。
しかしそんな言葉が当てはまるはずもない。何故なら奴らは『神』なのだから。