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ひとのひのおもいで
「何を持ってきたの?」
アルエは笑って訪ねます。
リランは姉の手を取り、今そこでむしり取ったものを触れさせました。
「あら、素敵ね」
アルエは柔らかい花弁を優しく撫で、力強い茎をなぞって言いました。
「この花は太陽へ届くのかしら」
そんなもの知らないと言わんばかりに、リランはその目を遠くへと向けています。
この花畑が戦火に呑まれ、やがて炭となり、人の血で描かれた狂乱を咲かせるのだと彼は知っているからです。
「その時までは一緒にいてくれる?」
弟の考えなどお見通しだと、アルエは柔く微笑みました。
そうだといいな。
言葉は、彼の口から零れることはありませんでした。
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