シズマ Ⅱ - ③ インターミッション
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意識が明瞭になった時、石築シズマは魔女達の屋根裏部屋に戻っていた。
この場を離れた時と同様に、彼は茶髪の魔女の前に立っていて、彼女も変わらず寝椅子に腰掛け、愛らしく佇んでいたが、その顔色は優れなかった。
「おかえりなさい。それと、お疲れさま。私、ちゃんとできてた?」
努めて明るい声を出し、彼を労う茶髪の魔女に、シズマは礼を述べてから気遣う言葉をかけた。茶髪の魔女は弱々しく微笑み、「大丈夫」と小さな強がりを言った。
シズマは金髪の魔女を省みた。彼女はかぶりを振って答えた。
「一つの柱を建てるという事は、一本の世界樹を植えるという事。それがどれだけ小さな時間と空間であったとしても多くの力を必要とします。魔法を使えない誰かの代わりとなるなら尚の事。そして当たり前ですが、力を使えば消耗するのです」
茶髪の魔女は気が咎めたのか、申し訳なさそうに上目遣いで言った。
「ごめんね、やっぱりちょっと疲れちゃったみたい。少し休むね」
シズマはもう一度、謝意を伝えてから魔法の杖を返し、茶髪の魔女の許を去った。
そして、彼が金髪の魔女の前に立つと彼女は意味深長に笑って、こう言った。
「お戻りですか、我らが哲人王。あるいはその胚芽」




