九
本当にただ書いただけ。珍しく急いでもいたし、まあ、もし何かあれば、何か、はは、何か、あれば、直すけど。けど……はは、もう駄目だな。
睡魔もあったかな、焦りで忘れていただけで、――今、何を書こうとしたかも忘れた。
直す事を前提に書いていた事を忘れて、その運びの儘終わらせてしまったのか。思い出したというより今気付いたのだが、――今もそれは変わらないな。どうせ直せないと思っているのにも拘わらず、という意味に於いて。
何も彼も忘れてる。
而も、……後から気付いた。敢えてそうしたなら未だしも、あれは明らかに怠惰だ。いや確かに、重ねたのは敢えてだ。然し、……少し考えれば分かった筈だ。あの漢字はない。単なる誤字だ。何故違和感を忘れていたのか、後悔が残る。少し反省しよう。文字に限らず、こういう間違いはきっと良くあるものだ。それが場合によっては、取り返しがつかない事もある。……今度のは未だ、未だいいか。敢えてと取れなくもない。
もう少し上手く書けば、笑っても貰えたろうか。確かにそれは、――漢字が少し、残念だったな。それに関しては、不運と割り切ってもいい――、笑うには中途半端か。
私自身は思う以上に堪えている。それが滑稽だと思うのだが、自分で思ってしまえばそれも中途半端なのだろうか。
こうなるともう、敢えてと取れなくもない事が反って、いや、抑誤字だと気付かれる可能性が低い事が反って、……残念だ。
この方が広く知られているから寧ろ、そういう意味に敢えてと、そうも取れるだろうか。
何が正しいやら、明確には、――そんな事も考えていたような気がする。未だ一話分には満たないし、またそんな事を考えるのも、悪くないな。
正しさは常識ある。そんな投げ遣りな、稚拙な皮肉も浮かんだが、これが案外、正しいのかも知れないな。
そういえば、別の意味で、そんな事をつい最近に書いた。つい最近に、だから、あれは何か、メモの類いだったか。
まあ、言い訳だな。
言い訳ついでに、――はぁ、愈々崩れ始めた。これでは最早、エッセイですらない。
書きたい事を此処に書いて、で良いか。全て……ははは、浮かびかけて、
もうおしまいだ。
恋にしか酔えないんだしょうがないだろう。
今日酔いが覚め掛けた頃、酔う程に愛したいと、確かそんな様な……台詞が浮かんだ。きっとそう思ったという訳じゃない。ただ浮かんだだけだ。今ふと、恋と、この心地とを思い、感じて、思い出した。
全てやり直したい。と、新たに書き始める。或いは続きとして。こんな矛盾すら笑えない私は、――続きが浮かばない。
無理に生きようとしなくても良いか。とも思えない。全てがどうでも良いような気はしている。どうだってかまわないと。にも拘わらず、衝動に近い意思が、……あぁ、やっぱり、駄目だな。酷い。……醜いよ。
生きるのなら生きなければならない。死ぬのなら、死ななければならない。これもきっと弱さなのだろう。曖昧を受け入れられない。
いや単に飽きただけなんだろうか。目的が無ければ何も出来ない。が、……はは、そうか、受け入れられないのは、退屈さの方か。世間体を気にしてもいる。
きっと、まだ生きているのかとは言われたくないだろう。
愛国心や郷土愛や、それに類した感情も有している。役に立ちたいとまでは思わないが、というより、そんな気概は私にはないが、少しは何か与えねば、得られる物も無いと信じている。少なくともその方が、生き易くはある筈だ。
然し否定ばかりが浮かぶ。例外ばかりが過る。自信さえ持てれば、楽しめるだろうか。
ああ、そうか。無理に書かなくても良いか、とも思えないのか。また、何を書いていたか忘れ。
眠れずにいる。全て、ただそれだけの事か。