かき集めた青
世界が、ひとりの歌うたいを忘れるまでの物語
◇
二年前の夏、彼女はマイクを置いた。
誰も疑問を持たなかったし、覚えてもいなかった。わたしだってそうだった。
けれども今、目の前で歌をうたっている彼女は。
あの頃の面影はどこにもなく、今にも消えてしまいそうに、儚く笑っている。
――たったひとつだけ。あの頃と同じ、世界でいちばん美しい旋律をのせて。
だからわたしは、ただひたすらに言葉を落とす。
わたしが、わたしだけが、あなたを決して忘れないように。
20XX年、東京の片隅。
「超感覚」と呼ばれる能力に翻弄される若者たちがいた。
◇
二年前の夏、彼女はマイクを置いた。
誰も疑問を持たなかったし、覚えてもいなかった。わたしだってそうだった。
けれども今、目の前で歌をうたっている彼女は。
あの頃の面影はどこにもなく、今にも消えてしまいそうに、儚く笑っている。
――たったひとつだけ。あの頃と同じ、世界でいちばん美しい旋律をのせて。
だからわたしは、ただひたすらに言葉を落とす。
わたしが、わたしだけが、あなたを決して忘れないように。
20XX年、東京の片隅。
「超感覚」と呼ばれる能力に翻弄される若者たちがいた。
1章 あなたにであうことを、のぞんでいた
再び、アオが始まった日
2024/07/01 09:02
誘惑の新歓
2024/07/01 10:15
嵐の前も、それなりに
2024/07/01 12:59
うたわない歌うたい
2024/07/01 15:59
ピアノのフジサキ(前編)
2024/07/01 19:20
ピアノのフジサキ(後編)
2024/07/01 23:03
2章 みからでたさびにおぼれる
スタジオは便利に使おう
2024/07/02 07:13
ささやかな夜
2024/07/03 09:16
アオは選択されない
2024/07/04 06:44
線路沿いサンライズ
2024/07/05 12:13
沈黙する部屋
2024/07/06 07:20
3章 それでも、うたうことをやめられない
岸のおやつ(前編)
2024/07/07 09:27
岸のおやつ(後編)
2024/07/08 14:02
涼しい風と長話
2024/07/09 17:59
トウカは遊びたい
2024/07/10 08:09
雨に溶ける
2024/07/11 13:04
ほんとうの言葉
2024/07/12 07:56
幕間
幕間 とある展望室にて
2024/07/13 16:18
4章 なんどでも、なつのおわりをくりかえそう
ドーパミンのような
2024/07/14 16:33
始めるための音
2024/07/15 19:49
飴玉に映る声
2024/07/16 07:39
グラスに付いた水滴
2024/07/17 07:53
見える色はどんな色
2024/07/18 07:56
夏の思い出は移り変わり
2024/07/19 07:21
5章 わすれていた、ほんとうのことをしる
その輪郭は曖昧になり
2024/07/20 14:23
夢と羨望と嫉妬(岸の場合)
2024/07/21 21:32
夢と羨望と嫉妬(碧の場合)
2024/07/22 08:19
青い秋
2024/07/23 08:18
色褪せた世界で
2024/07/24 07:55
トウカの独白「アオを選択するためには」
2024/07/25 08:03
6章 のばせば、てがとどきそうなきがしたから
夕立は唐突に
2024/07/26 07:27
碧色は揺らぐ
2024/07/27 22:50
誰がための能力(前編)
2024/07/28 18:40
誰がための能力(後編)
2024/07/29 08:02
空っぽの歌
2024/07/30 08:15
そして、アオが終わる日
2024/07/31 20:22