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ということで、キッチンでカゼミさんと一緒に飴を作った。事前に話が行っていたのか、それともカゼミさんはこの館の中ではもう顔パスのような存在になっているのか、あっさりと厨房の一部を貸してもらえることとなった。
パッケージのデザインからして子供向けのようだったけれど、材料や必要な道具まで全てそろって入っているようだ。このキット以外に必要なものは、鍋と温度計くらい。
砂糖を水に溶かして、型へ入れて冷やすだけ。まさにべっこう飴の作り方だ。
いつかお世話になったお礼として、べっこう飴を作ったら喜ばれるかな? なんて考えていたけれど、まさかこんな商品があるなんて。まあでも、よく考えたら、飴が盛んな国だったら、こういう商品の一つや二つ、あって当たり前か。
調理過程自体は難しくなく、レシピもシンプルで読み解くのが楽だった。カゼミさんは、授業、と言っていたけれど、普通に一緒にお菓子を作っただけ、という気分。
ビニールにいれて、綺麗にラッピングすれば完成である。
イタリさんの目のような、綺麗な金色のべっこう飴ができた。食紅も何色かキットの中に入っていたから、色を付けてカラフルにすることもできたのだろうけど、こっちの方が、イタリさんに渡すにはふさわしい気がしたのだ。
作れたことに満足して後片付けをしていると、横で手伝ってくれたカゼミさんが、少し不思議そうに『それにしても』と声をかけてくる。
『アルシャさん、初めてにしては結構手際が良かったですわね? お料理の才能があるのかもしれませんわね』
『そ、そうですかね……。一人じゃなかったからかもしれないですね。あはは……』
実際は前世でバンバン自炊して、たまにお菓子作りもしていたから手慣れているだけである。
でも、綺麗に作れたのは横で手伝ってくれたカゼミさんのおかげでもあるから、一概に前世が全ての理由、とも言えないわけだけど。
『きっと、明日、イタリ様喜んでくださると思いますわ』
ちゃんと作れはしたけど、それでもこの世界で何かを作るのは初めてのことだし、そもそもイタリさんの食の好みを把握しているわけじゃないから、気に入ってもらえるかな、と不安になっていたのだが、それを見越したように、カゼミさんが言ってくれる。
『喜んでくれると、いいんですが……』
『可愛い婚約者からですもの。喜ばない殿方は存在しませんわ』
それは恋愛小説好きなカゼミさんの幻想なのでは……と思ったけれど、力強く行ってくれるのに、そう言ってしまうのは水を差すようなので黙っておく。
まあ、でも、喜んでくれるといいな……。




