土砂
次の日、彼女は意外にも時間通りきた。なぜ意外かというと、彼女は授業に遅刻してきたり、教師にため口、授業中にトランプ、さらに大半の女子に嫌われているため、いい噂を全くと言ってよいほど聞かない。そのイメージがある僕は、時間に遅れてくるorそもそも来ないのではないかとすら思っていた。
「じゃ、はじめるか」
彼女はゲームを開き、通信待機状態にした。そして、僕が釣れなかったシーラカンスを一緒に釣りに行ったり、ミニゲームを何度もやった。僕も伊達に毎日同じゲームをやっているわけではないので、初戦は完膚なきまで彼女を負かしてみせた。
「え、市川弱くない?」
「うっさい。死ね!もう一回」
から始まり、10回、20回…
「え、まだやるの?」
「ほかので勝つからいい…」
となるまでやった。今思えば、本当にゲームに没頭していて、パンツを見た女の子と薄暗い教室で二人きりという状況に気付かないで、毎日同じことを繰り返していた。日数としては、夏期講習機関だったので、10日間ほどだっただろう。毎日が素直に楽しいと感じていた。それは、異性と仲良くできたからではなく、友人と楽しい時を過ごしたからだろう。しかし、当時の僕には「思春期」という底なしの泥沼に片足突っ込んでいたことには気づけなかった。