黒猫 クロの思い出 ショートミステリーストーリー 続・小夜物語 続編 第1話
あれは、、たしか、、、、
わたしが小学生位のころだったと思う、
そのころ、我が家には真っ黒い、大きな猫がいて、
名まえはたしか、、、、クロといった、
兎に角大きな猫で、そのあたり一帯の、ボス猫だった、
耳がぴんと立っていて、毛並みはつやつやで光沢があり、
なんというか黒光りしていた、
全身真っ黒で、てかてかとつややかなのである。、
クロが、、オスだったか、、、雌だったかの、、記憶がない、
どっちだったのだろうか?
私は幼いころ、小学生の頃は、今のここではなくて違うところに住んでいた。
そこは地方都市の町はずれの、、ひなびた一体で、たしか?昭和40年ころだったと思う、
そのあたりは、、、、野良猫がいっぱいいる地域で、、それらの猫どもが、
しばしば、、我が家にも不法侵入?しては、食材の魚・肉などを盗んでいったものだった。
そもそも、、元々我が家には猫はいなかった、猫は飼っていなかったのだ、
だがいつのころからだろうか
黒猫のクロが何時しか我が家に住み着いていたのだった、
いつからなのか
どうやって来たのか
定かな記憶はない。
気が付いたらクロが、住み着いていたのだ、
だからクロはすでに我が家に来た時には大人の猫だった。
ということは?クロは。元は野良猫だったということになりますね。
どうして我が家に受け入れられたのか?
他の野良猫みたいに追い出されなかったのか?
何しろ遠い過去なので、、今となってはわからないのです。
クロが来てからは、ほかの野良猫は来てもシャーーと、威嚇されて盗みに入れなくなり
その点は助かりましたね。番犬?じゃあなくって「番猫」?となったわけです。
そんな、黒猫のクロとの思い出はいっぱいある。
クロは
元、野良猫ですからすごい野生的でして、在る意味、狂暴そのものでしたね。
例えば、、日中などクロがじっと何かを見据えて物陰から身構えているので
私が眺めていると、、
急に飛び出して、手足と牙で抑えて、、地面で草の種子などをたべていた雀なんかを、さっと捕まえて
バリバリと食べてしまうんです。おいしいところだけ?たべて、あとには羽と、血だらけの頭や、手(翼)足が残ってるだけです。
クロはそのままどっかに行ってしまうので、、、、
仕方がないので、、庭に出て、私がそれを拾って庭の隅に穴を掘って埋めるのです。
まあ、今どきの狩猟本能ゼロ・闘争本能ゼロの
キャットフードしか受け付けないような飼いネコとはエラい違いですよね。
あんな舐めるようなジェル状のキャットフードなんてありもしなかった時代でした。
当時はいわゆる「猫まんま」、、、、残りご飯に鰹節をまぶしたくらいが一般でしたからね。
あとはサンマの骨とか、、そんなものでした。
だから?当時の猫は、自分で肉を調達するしかなかったのです。
もともと猫は肉食系ですから、、でんぷん質のご飯 (ねこまんま)だけでは栄養不足になりますからね。
肉の補給?それがスズメであり、ネズミであり、鳩だったのです、
クロはネズミがりも大得意で、当時はネズミもいっぱいいたし、
首根っこを咥えて得意そうにネズミを運んでる光景もよく見ましたよ。
お気に入りの庭の隅に持って行ってそこで、ガリガリと骨ごとかじって食っていましたね。
どういうわけか、しっぽだけは食べないで残してあるんですよ。あの肉質の赤い色した長いしっぽですよ、
おいしくなかったんでしょうか?
その血まみれのしっぽや血だらけの頭の残骸を私が庭に埋めるのです。
それからクロは鳩狩りも得意でした。鳩といっても、山鳩 (キジバト)ではありませんよ、
カワラバト、、つまりお寺や神社や、公園で野生化してる、あれ (土鳩)ですよ。
そこらには、土鳩がいっぱい、いますから、それらが神社とか、畑とか、空き地とかに下りてきて
穀粒を拾って食うわけです、
それを、クロが狙いすまして襲うのです。
遠くから見てると、実に巧妙です。
夢中で穀粒を食ってる鳩を風下からソーーと、抜き足・差し足で、近づき、
いきなりジャンプして襲い掛かります。
正にあっという間の出来事です、。
鳩は首を噛まれてバタつきますが、すぐに息絶えるのです。
それをバリバリ。ガリガリと、かじって食うのです。
内臓と腹の肉だけ食べて、羽や頭や足は残します。
其処は、うまくないのでしょうね。多分?
残された血だらけの頭部や羽や後脚は、、そうです、私が拾って庭の片隅に埋めるのです。
クロは日常は、いつも出歩いていて家にいることはあまりなかったです。
でも時々帰ってきて、ガラス戸をガリガリ爪でひっかいて
「中に入れてくれ」と合図するのです。
わたしが座ってると膝の上にまあるくなり、気持ちよさそうに寝るのです。
でも、
夜は、、ほぼ、家には戻らなかったですね。
猫は夜行性ですから、、そしてもともとがクロは、野良猫ですから夜じゅうどっかを
ほっつき歩いていたようです。
目つきはもともと、野良猫ですから、鋭いです。
怖いくらいでしたね、。
それがじっと天井を見つめていたりすると、なにかそこにいるような?
なにもいないはずの空間をクロがじっと凝視している、、そういう場面がしばしばありました。
其処には私には見えない「何か」?が、、たたずんで、でもいたのでしょうか?
しばらくすると、クロはおもむろに視線をそらして、私のほうを向いて
「ゴロニャアー」と、優しい声でまるで「もう大丈夫だよ。あれは行っちゃったからね」
、、、とでもいうように鳴くのでした。
猫は魔除けといいますが、まさにクロは守り猫?だったのかもしれない。
クロが来てから、、我が家は、なんというのか守られているような
そんな猫でした。そのころ、私自身。いつもおびえてるような、霊感体質?の子供でした。
見えはしませんが闇の中に何かがいるようで、、怖がり少年でしたね。
でもなぜかクロがいるとそういう霊気・悪気みたいなものがスーッと消えて
怖くないのです。そんな不思議な?猫でした。
わたしの、記憶に残る大きな出来事としては。、、。。。、
例えば、、、、
母が自動車にひかれて瀕死の重傷を負って、助からないといわれたのが奇跡的に
一命をとりとめて、、半年入院してましたが無事退院して後遺症もほぼ残らなかったのも
まもられていたのでしょうか?
また、、、、
私自身もあと少しで死ぬという交通事故から、間一髪免れたこともありました。
あと、数十秒遅れて居たら、、
あと数十秒そこにいつづけてたら、、多分まきこまれて、、、私は死んでたでしょう。
これも?クロのおかげ??
そんな不思議な猫でもあったのでした。
というか、、これって?もしかしたら?
後から私がこうして、クロをそういう「霊猫」に仕立てて美化してる?のかもしれないですよね?
だから、あの頃本当に、クロのおかげで?助かったのかどうかの真相はわかりませんけどね。
そのほかいろいろと
それから、、、それから、、クロとの思い出は尽きません。
蛇を咥えてずるずると引きずってきたこともありました。
庭をクロが、蛇を咥えて歩いていたのです。どっかで蛇を仕留めたのでしょう、
でも食べる様子もなく、死んだ(殺した)ヘビをクロはじっと眺めていました。
そのままクロは行ってしまいました、爬虫類とか両生類はクロもたまに捕獲することもありますが
ほぼ食べないですね。多分あまり、おいしくないのでしょう。よほど飢えれば食べるでしょうが、
ハトやネズミやスズメの方が、、まあ、私が想定しても、、そっちがおいしそうですものね?
こうしてクロとの思い出は尽きませんが、、まあ、、ほとんどは忘却の彼方ですね。
でも、、、それからしばらくして、、、
そこ(旧住所)を確か小学生の終わりころ?に引っ越して、、、
今のところに来るとクロはいつの間にかいなくなっていた。?
今の住所には私の記憶では、、クロはいません。
引越した時にクロは置いてきた?のでしょうか?
分かりません。
私にはそういう記憶がないのです。
兎に角、、引越してきて今のところにはクロはいなかったのです。
かろうじて私のおぼろなきおくを整理してみると、、
クロは、、、私が物心ついた6歳ころから、、多分?12歳ころまで?いたんだとおもいます?
それから、、、月日は、、、、瞬く間に、、、、過ぎて、、、。
やがて、私は、、そんなクロの事なんかことはすっかり忘れてしまって、、、
わたしは、、やがて高校生になり、大学生になり故郷を離れた、
そしてたしか?大学4年生(22才)の、夏休みだったろうか?、
実家に帰省すると、
嫁いだ姉も,偶然、来ていて、、よもやま話の時に、、ふと、、昔のことに話が及んだ、
私は、、、、、、、、、、、、、、、
「そういえばむかしさあ、クロって猫がいてかわいかったよね」 私
「え?なにそれ?」 姉
「クロだよ、ほら、」 私
でも、、いくら私がクロのことを今書いたようなクロの思い出を語っても、、、、、
「うちには今まで猫なんか飼ったこと一度もないよ」、と姉も父母も全否定。
「え?何言ってるのほらあの時クロがああしてこうしてみんなで感動したよね」 私
私は必至で説明。「あ、、そういえばよく、クロを写真に撮ったよね。写真があるはずだ」
といって私は必至で、実家の押し入れから
古いアルバムを探して全部くまなく見たがどこにもそんな猫など映っていない、
わたししか覚えていない。
姉も
父母もそんな猫いたことはないという。
一体?
じゃあ
クロって何だったのでしょうか?
ということは?
クロってさびしがり屋の幼い私が心の中に作り出した「イマジナリーフレンド」だったのだろうか?
今まで私の記憶にいたはずの猫が、、たしかに写真撮ったはずのアルバムのどこにもいないんです。、
わたしがいくら説明しても
「え?クロってなに?」姉
「何じゃないよ、猫だよ猫、ほらあの黒い大きな猫さ」私
「何言ってるの、猫なんて大嫌いで今まで一度も、飼ったことないじゃないの」と母、
「え?そんなばかな」私
私はもう、訳が分からなくなって混乱状態です。
じゃあ?
一体クロって、
何だったんでしょうね?
まったく
さっぱり
わからないのです。
今この時に至っても
まったく皆目
わからないままなのです。
もしや?先ほども言ったように、、
幼い私が空想のお友達猫?として
作り上げた、、想像上の空想猫?だったとでもいうのでしょうか?
いいえ
そんなバカな
クロはちゃんといましたよ、
現実の昭和40年にね。
でもそれを残念ながら、、証明することができません。
たかが猫です、
戸籍があるはずもなく
もとは野良猫ですし、
存在証明をすることが できないのです。、
いなかったことにされてしまったクロ
その存在さえも、否定されてしまったクロ
、、、、、、、、、、、、かわいそうなクロ
終わり




