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変な人白書  作者: 紅頭マムシ
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第二十七話 まさひろくんなりの問題解決 パターン2

 ある日の夕暮れ、小学3年生のまさひろくんは空き地の前を通りかかった。


 空き地にはまばらに雑草が生え、その真中には誰がいつ置いたのか謎の古い土管があるのみ。いかにもアナログでやる気のない仕様となった空き地の隅っこを見れば、知った顔が4つあった。


 いかにも悪ガキの顔をした3人、そしてその3人に迫られて縮こまる弱そうな1人、パッと見て勢力はこの二つに分かれていたことが見て取れた。


 賢いまさひろくんはすぐに状況を理解した。今自分は、いじめっ子がいじめられっ子を追い込む現場を目撃しているのだ。


 まさひろくんが4人に気づいたように、空き地の4人もまさひろくんに気づいた。


 加害者も被害者も、それがあったことを他者に知られると具合が悪い。4人は揃ってまさひろくんを見たまま視線を逸らさない。


 まさひろくんは4人の側へ駆け寄った。


「待てお前達!」


 4人皆がまさひろくんに注目する。


「おい、1人に対して3人がかりなんてフェアじゃないだろ?」

 確かな内容をまさひろくんは口にした。


 いじめっ子三人は顔を互いに顔を見合わせる。そう言えばそうだと納得したようにも見えるが、一方でそんなことを言われるとまさひろくんへの不満も膨らむらしく、ムカついているようにも見える。いじめっ子三人の目がまさひろくんに向く。


「だからこうしよう。3対1を1対1にしよう。それで3セットやればいいじゃないか。こうすれば、虐めから決闘へ、随分とイメージが良いものになる」


 何を言ってるんだコイツ。ちょっと怖い。一同がそう思った。そして何で急に仕切るんだと不満にもなる。


「おいおい、じゃあ3人一緒でないと、たった1人にも勝てないっていうのか?3人分の攻撃が一人分に減るんだからお得だろ?」

 いじめっ子にもいじめれっ子にも、自分のアイデアは悪くないだろとまさひろくんは勧める。


 仕方ないので、4人はまさひろくんのアイデアを受け入れることにして続きを行う。


 それからしばらくしてのこと。


 空き地にはいじめられっ子が1人倒れている。三人はこちらに背中を見せて退陣中だった。


「そうかぁ~。3人相手でも1人相手でも結局勝てないのか。だったら、一度に三人分の攻撃を受けてさっさと済んだ方がマシかもなぁ。無駄な提案だったのかもしれない……」

 

 自分のアイデアについての反省と考察を口にしながら、まさひろくんもまた空き地を去るのだった。

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