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変な人白書  作者: 紅頭マムシ
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第二十六話 まさひろくんなりの問題解決 パターン1

 ある日の夕暮れ、小学3年生のまさひろくんは空き地の前を通りかかった。


 空き地にはまばらに雑草が生え、その真中には誰がいつ置いたのか謎の古い土管があるのみ。いかにもアナログでやる気のない仕様となった空き地の隅っこを見れば、知った顔が4つあった。

 いかにも悪ガキの顔をした3人、そしてその3人に迫られて縮こまる弱そうな1人、パッと見て勢力はこの二つに分かれていたことが見て取れた。

 賢いまさひろくんはすぐに状況を理解した。今自分は、いじめっ子がいじめられっ子を追い込む現場を目撃しているのだ。


 まさひろくんが4人に気づいたように、空き地の4人もまさひろくんに気づいた。

 加害者も被害者も、それがあったことを他者に知られると具合が悪い。4人は揃ってまさひろくんを見たまま視線を逸らさない。

 やがていじめっこの1人が何かを口にしようとした。

 しかし、それを遮ってまさひろくんは元気よく言葉を発した。


「あ~あ~もう~見ちゃった、知っちゃったじゃないかよ~」

 まさひろくんは頭を抱えて言った。


「俺は見たくもない、知りたくもないことを知ってしまった」

 まさひろくんは自ら4人に近づいて行く。


「他人が虐めをしていることを知りながら、それを黙って見ている。虐められた者を助けない。それもまた虐めに加担しているのと同じとされる。そんなことがこの漫画に描かれていた」

 と言うとまさひろくんは、買ってきたお気に入りの漫画を鞄から取り出して見せた。


「でも俺は人を虐めるのも面倒、虐められているのを助けるのも面倒。あくまでも中立でいたいのに、それを知って中立を決め込んで何もしなかったら虐めた側にカウントされる可能性がある。あ~いやだいやだ。面倒に関わりたくない。お前達、なんてものを見せたんだ。虐めるも、虐められるも、俺に知られないところでやれよまったく」

 まさひろくんは、いじめっ子にもいじめられっ子にも平等に文句を垂れた。


「よし、こうしよう。今後何があっても、虐めがあったことを俺が知っているという事実を事実ではないとして考え、俺のことはずっと黙っていてくれ。関わり合いになりたくないんだ。いいか?」

 

 4人はうんともすんとも答える隙を与えられなかった。そのくらいすぐにまさひろくんは次の行動に移ったのだから。


「ほら、皆手をだして」

 4人が出した手の上に、まさひろくんは順番に金平糖を乗せて行った。


「誓いの金平糖だ。さぁ食べて」

 4人は金平糖を食べた。


「美味しいだろ?」

 その言葉に四人はうんうんと頷く。


「よし、じゃあこれでこの件は手打ちだ。じゃあ、あとは続きをやりなよ」

 

 まさひろくんは空き地を後にした。

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