PLUM PIG GANGSTA FAMILY ~PART1~
有害指定都市ツチューラ市 超暴力団警戒区域 極悪町 アッチャン御殿。午後13時02分。
要塞のような、物々しい建物が、今日は賑やかである。
それもそのはず。
アッチャンとマドカの待望の第一子が誕生したのである!
それで本日『罵多悪怒愚』一同が、お祝いの為集まった。
梅豚、マナ、タケシ、カグラ、カズキ。
ユキヤは今日は、県外出張の為欠席であるが、出発前に大量の祝い品を届けてくれた。
そして主役のアッチャンとマドカ。
その二人の子供。
やはり予想通りの男の子である。
名前は『蓮』と名付けた。
名付け親は梅豚がなった。
当初はかなり心配ではあった『罵多悪怒愚』一同であったが、梅豚にしてはかなりなナイスネーミングである!
梅豚はこの名前に、仏教の象徴的な花である蓮の花を連想させることから、和の雰囲気もった優しい心を持ち、凶悪で修羅な人生を送ってほしいという願いを込めて、梅豚はチョイスしたのだ!
なにより、蓮は茨城の象徴なのである!
マナとカグラは可愛いレンに夢中である!
「キャー、オメメがくりくりなトコ、マドカさんソックリー!アッチャンに似ないで良かったね~レン」
カグラが至極全うな意見を飛ばす!
マナはレンを抱っこして離さない。
マドカはタケシとカズキに、出産の際の激痛の時、心底アッチャンを恨んだなどと、毒舌もあらわに話している。
一方の主役のアッチャンはとゆうと・・・・・。
!?
何故か『ピシッ』と正座し、聖書を読みふけっている。
・・・・・・・・。
無能である。
梅豚もそのアッチャンの肩に『ちょこん』と掴まり、聖書を盗み見ている。
・・・・・・・・。
やはり無能である。
そんな二人に、マナが激を飛ばす!
「ほら、二人共!こっち来て!アッチャンももうパパなんだからさ!梅豚くんも!来て!抱っこしてみる!?」
梅豚は恐る恐るマナに抱っこされてるレンに近づく!今度はアッチャンが梅豚の肩に『ちょこん』と掴まっている!
無能にも程ってモンがある!
そして梅豚はレンの頬を人差し指でツンツンした!
「ほら~、超可愛いいっしょ?」
マナは満面の笑みで言う。
すると、レンは、梅豚の人差し指をニギニギしだした!
くりくりなレンの目は梅豚を見つめている。
!?
突然、梅豚は後方に尻餅をついて倒れてしまった!
「梅豚くん?どしたの?」
マナが不思議そうに聞くと、梅豚は外に飛び出してってしまった!
※
外に飛び出した梅豚は、自身の胸を強く押さえる!
苦しい!
背中から、胸へ、脳髄まで、今まで梅豚が苦しめ、殺害した人物達の怨念が襲いかかって来て、例えようがない激烈な痛みが突き刺さる!
《貴様は幸せなんて感じるな!地獄へ堕ちろ!くたばれ!死ね!死ね!死ね!あの赤ん坊の命も長くはあるまい!一族もろとも滅びるがいい!》
怨念の言葉が、梅豚の頭蓋を駆け巡る!
「ウルセー!レンに手ぇだしてみろ!俺が地獄まで行ってまたテメェら皆殺しにしてやる!」
そう吠えると、身体中の激痛に耐えられなくなった梅豚は、身体を『つ』の字に曲げ、倒れこんでしまった!
生まれたての、純粋無垢なレンに触れた事で、梅豚を恨む怨霊達の逆鱗に触れてしまったのだ!
しばらくのたうち回った後、徐々にではあるが、痛みは退いてく。
その場にタケシが立っていた。
「梅ちゃん。辛ぇか?」
「タケシィ、オメェは中に入ってろ」
苦しみ、のたうち回るアタマの姿など、梅豚は仲間に見せたくなかった。
タケシは思う。
梅豚とは幼稚園からの付き合いだ。
子供の頃から一緒に悪さをし、その悪さもエスカレートし、暴力と破壊の限りを尽くした。
このツチューラとゆう街を赤く染め、羅刹の地へと変貌させた。
色々な梅豚をタケシは知ってる。
しかし、こんなに苦しんでる梅豚を見たのは初めてだ。
先の抗争から、梅豚は弱ってきたように感じる。
年齢も、もう若くない。
こんな梅豚をタケシは見たくなかった。
やがて梅豚は呼吸を整え、落ち着きを取り戻す。
立ち上がろうとする梅豚に、タケシは肩を貸す。
そして立ち上がると、梅豚はセブンスターを咥える。
タケシがジッポで火を着ける。
大きく紫煙を吐き出す梅豚。
そして
「誰にも言うな。この事は。アッチャンにも、もちろんマナにも」
「ああ」
タケシは珍しく自信無げに返事する。
すると、
!?
梅豚の頭髪が灰を被ったように真っ白になっている!
こ、これは!?
極度の激痛。
極度のストレス。
それにより、一瞬にて白髪になってしまった。
一気に20歳以上歳をとった。
タケシは言葉を失くす。
「この姿はみんなに見せられねぇ。家まで送ってくれ。タケシ」
タケシは梅豚の言葉に従うしかない。みんな、驚愕してしまうだろう。すぐに梅豚を床屋に連れて行き、白くなった髪を黒に染めなければ。
ヨロヨロと歩く梅豚の歩行に合わせ、タケシが後に続く。
※
この二人のやり取りを建物の影で、
マナが声を殺し、崩れ落ち、泣きながら・・・・・
泣きながら見ていた・・・・・。
きっと・・・・・
きっと梅豚は・・・・・・
もう長くは持たないかもしれない。
師走の冷たい風が、マナの涙を氷のように冷たくした。




